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公式マガジン『東京マサラ部、インドをつくる』

インドに行けない僕らが東京にインドを作り上げるまでの挑戦の記録。 カレーは手段ではなく、常に目的である。カレーを作り、カレーを食べ、カレーについて考え続ける。都内某所に存在する…
・カレーシェアハウスのヒト、コミュニティ、家についてクローズドで配信します。 ・東京マサラ部室の活…
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#インド料理

随時更新:『東京マサラ部、インドを作る』のガイドブック [index]

旅に出られない僕たちが東京にインドを作るために始めたカレーシェアハウス東京マサラ部室ですが、早いもので設立より半年が経過しました。まだまだインドは完成していませんが、少しずつカレープレイヤーの集まる場として機能し始めています。数字で言えば、いままでに500を超えるカレーが作られ、来客述べ人数は100人を超えました。 カレーシェアハウスで生み出されたカレー、遊びに来てくれた人、カレーの基礎研究レポートについて発信するカレーシェアハウス公式マガジン『東京マサラ部、インドを作る』

ジャイナ教徒の食の実践について

グジャラートに行った時にジャイナ教徒の人と立て続けに話したら価値観が揺さぶられた話を書こうと思う。1月後半にふらっとアーメダバードに行った際に、大学院の同期の伝でたまたま訪問することができたIITガンディナガル校でジャイナ教徒4名と、アーメダバードのボージャンサーラで会った少年1名からジャイナ教の食に関する実践について話を伺った。 ジャイナ教はインド生まれの古い宗教であるが、全人口のうち450万人、約0.4%に過ぎない。殺生を禁じるため農業従事者が極端に少なく、金融業などに

カキナダでアーンドラグループ社長パラマタさんの実家メシをいただいた

ちょっと前の話だけど印象深かった体験なので書いておこうと思う。アーンドラ州湾岸部のカキナダに行った時の話だ。カキナダは日本語で書いたら蠣灘とでも書かれそうだが、確かにアーンドラプラデーシュの小さな港町である。実際に牡蠣が取れるかどうかは知らないが。 もちろん目的は東京でアーンドラグループを経営するパラマタさんの実家を訪問することだった。日本では考えられない気がするけど、本人不在でインド人の実家訪問をした経験は何回もあるし、特に問題はない。 パラマタさんには何かとお世話にな

ビリヤニはなぜ湯取りで作るようになったのだろうか?

お正月らしく、ビリヤニをつくるときはなぜ湯取りするのだろうか?問題。 プラオのような炊き込みご飯は、どうしてムガル帝国時代に米を茹でて重ねて蒸す(湯取りしてダムする)ようになったのだろうか? 新年早々waccaの三浦さんとそんな話のやり取りをしていて考えたことをまとめてみる。文化的・歴史的背景があって、合理的な収斂結果として湯取りをすることになったのだろう。これを読むとビリヤニを炊き込みご飯と呼ぶことに違和感を持つ理由もわかると思う。 ビリヤニとプラオという二項対立

2024年もありがとうございました。 #カレーだいしゅき手記

・今年もありがとうございました。来年も引き続きよろしくお願いします。今年の振り返り日記をお送りします。箇条書きにすると人は何故か文章が書ける。構造を意識しなくて済むからですかね。こんなんだったらなんぼでも書けるんだけどな。 ・「コロナでインドにいけなくなったから日本にインドをつくろう」という趣旨で始めて、結局3年ちょっと続けた東京マサラ部室というシェアハウスを解体して京大の大学院に通い始め、屋台活動も始めた今年。これはかなり大きな変化で、東京と京都とムンバイを行き来する3拠

ムンバイでイラーニーカフェ巡り

ムンバイの街を歩いていると、街中に独特の雰囲気を漂わせるコロニアル風の建築物を見かけることがある。レトロな雰囲気が漂っており、天井にはファンが回り、ショーケースにパンやビスケットが並び、重々しい木でできた扉は開くのか開かないのかわからない。築100年以上経過しているものも珍しくはないようだ。 これらは俗に言うイラーニーカフェというカフェであり、ムンバイやプネー、ハイデラバードに多く存在している。日本の喫茶店のようにゆっくりできるわけではないが、地元の人たちが朝からチャイやバ

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長野に鹿を狩りに行って全部インド料理にした ※一部写真閲覧注意

「めっちゃでかい鹿が罠にかかったんだけど明日引き取りに来れる?明日来れるなら解体は待つけど、明後日までは待てない」 もう一年前の話だが、突然連絡が来た。長野の知り合いの猟師さんからだ。偶然知り合った無職の人に紹介してもらったのだが、実家の隣町だったこともあり鹿がとれたら連絡が来ることになっていた。 無職は、誘われたら次の日に狩りに行けるのが強みだ。 獲物が100キロを超えると聞いて、同じく体重100キロを超える親方を誘うことにした。無職の機動力をもち食欲への妥協をしない

デリーのビリヤニについて

結局ビリヤニばっかり食べてしまう。 1週間のデリー滞在中、ビリヤニを食べる機会があった。インドではビリヤニの三大聖地としてハイデラバード、コルカタ、ラクナウが有名だ。しかし、ムガル帝国の影響を色濃く受け継ぐデリーにはビリヤニにおいても他の地域とは異なるスタイルが形成されていると言っても良いだろう。 典型的なデリーのビリヤニとしてよく出てくるのはこういうやつ。特徴として言えるのはセーラ米を使用していること、フードカラーで着色していること、青唐辛子のアチャールが入っていること

現代インドにおいて高級料理文化が発展しているのはどこなのか?デリーで過ごした一週間のフィールドノート

なぜか画像がアップされていなかったのでやり直しました。 そろそろ3ヶ月のインド滞在も折り返しのため、雑記を残していこうかなと思い書きます。10月からムンバイのファインダイニング「Masque」でインターンとしてキッチンに潜入し4週間が経ちました。こちらもそろそろ折り返し。書きたいことは本当にたくさんあるのですが週6で通っていて帰りは深夜なのでマジで時間がない。そちらに関しては全部終わってからまとめて書く。 そもそも「Masque」を選んだのはイギリスのメディア企業が主催す

ムガル料理とはなにか

デリーといえばムガル料理だ。柄にもなく高級レストランDum Pukhtのラムビリヤーニーを食べた。店内はムガル帝国宮廷をイメージしてか銀白色の装飾で満ちており、ラクナウ風のビリヤニで全体的にしっとりしており、柔らかく炊かれたラム肉は最高に美味しかった。デリーで食べたものの中で一番美味しかったかも。肉をおいしく食べるために少し米が軽視されている感じはしたが、お世辞なしで美味しかった(なますてクッキングとインドで会うと基本ビリヤニばかり食べている気がする)。 店名にもなっている

日本料理とインド料理の構造分析【生のものと火を通したもの】

人間は料理をするが、料理こそが人間と動物を区別する象徴的行為である。 最近京都で日本料理のお店に連れて行ってもらうことが多いが、その度に日本料理のことをあまり知らないということを実感する。そもそもインド料理の選択肢が本当に少ないというのもあるが、京都で料理関係者の方と食事に行くとだいたいインド料理以外になる。 ただ、オーセンティックへの敬意や、技術へのストイックな姿勢、素材への気の配り方、サービスや演出においても東京にはない(もしくは東京では自分のような人間には見えなかっ

インドパンカードゲームATSU ATSU !! Parottaに掲載されている東西南北インドパン事典

東西南北のインドパンを遊びながら知ることができるアナログゲーム「ATSU ATSU !! Parotta」を制作してから一年以上。おかげさまでそろそろ売り切れそうなので、改善点を考慮した上でそろそろ改訂版を作る予定。 去年の後半は全国行脚をして勝手に大会を開催してきたのでそのことを振り返りつつ、ゲームに登場するインドの12種類のパンについて紹介する。 販売は残りわずか。 勝手にアツパロ大会全国行脚昨年の夏にクラウドファンディングに成功し、京都大会、福岡大会、名古屋大会、

3種類のチャパーティーを食べ比べるイベント「第一回リアリズムインド料理比較探究会」に参加

「第一回リアリズムインド料理比較探究会」に参加してきました。インドの伝統的な無発酵薄焼きパンであるチャパーティーの地域別比較がテーマ。 チャパーティーはインド全土で共通する料理でありながら微妙に仕上がりが異なります。家庭ではもともとロティと呼ばれていてチャパーティーという言葉が実は最近外部からもたらされたかもしれないというのはとても興味深い話でした。そういった名称とともに作り方も変わってくる可能性があり、そういう意味ではインドでもおばあちゃん世代くらいまでいかないと伝統を探