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【備忘録】ホールドオーバーズ置いてけぼりのホリディ【映画】

観たいと思っていた映画ホールドオーバーズがアマゾンプライムにきていたので観ました!


以外、ネタバレ注意です


「どの家にも、聞かれたくないお経がある」
これは中国のことわざらしいのだが
私はこの映画を見てこのことわざを思い出した。
誰の人生にも、苦労や見られたくない事がある。
どれだけお気楽そうに見えても、その裏には辛い経験がある。

舞台は、全寮制の男子校。
生徒は殆どがお金持ちの家の子だ。

ハナム教授は、
変な人(生真面目で、例えが全部歴史上の出来事で、クリスマスツリーは飾り無し)
だが、
いい人(給食料理人を『使用人』呼ばわりした生徒を真剣に叱る)
である。

テディ?という生徒がマジで嫌なやつで
給食料理人を使用人呼ばわりしたり、他人の家族写真に落書きしたり、かなり年下の子の手袋を森に投げたり
(ただ、それこそ、彼の人生にも何か辛いもの、親との確執など、があり、彼は他人に意地悪をするという行動をしてしまうのだろう)

主人公のアンガスは、一見神経質そうでとっつきにくい感じがするが、実はいい人なのだ
(おもらしをした年下の少年に、「シーツは俺が隠してやる」と言う)

冬休み、
学校に残される事になったアンガスは、
ボストンの精神病院にいる父親に会いに行く。
ハナム教授は、それについていく。
「父さんに会いたかった…
でも同時にすごく怖かった
俺は父さんみたいになるんじゃないかって…」

「君はお父さんではない
君は君という一人の男だ」


血縁て本当に難しいものだと思う。
別人で、別人格なのだけど、血が繋がっているし、一緒に暮らしてた時期があれば必ず自分の人格形成に影響を与えている。
どこまで切り離して考えるか。
あと自覚なく自分と親(や血縁者)を同化していることもままある事だと思う。

かなり深い精神的な悩みを吐露する事ができ、
そこで「君は君だ」と言ってもらえたアンガスは
幸運だった。


父親の精神病院に行った事で咎められるアンガス。
高校を辞めさせ、陸軍学校へ入れると言う母親とステップファザー。

そこでハナム教授は、
「私がお父さんに会いに行こうと提案しました」
と言い、
自分がクビになる事でアンガスを守るのだ。

子どもを守るという大人のあるべき姿
(自分の子どもじゃなくても!)
が描かれていた。

そうするべきと分かっていても、自分が同じ立ち場にたたされてハナム教授と同じ行動が出来るだろうか。


ハナム教授の陥った境遇を、悲劇と見るか、希望の物語と見るか。

土の時代なら、ハナム教授のこれからを悲劇と見るだろう。
ハナム教授は、大学時代ルームメイトに卒論を盗まれて卒論できず、臨時教師としてしか就職できなかった。学歴もない(卒論盗まれて卒業できなかったから)、おそらく正規教授ではないため貯金もたくさんは無いだろう。教え子が校長になるくらい歳も取っている。
そんな状況で、職を失い、今までの時代ならこれは悲劇という他ない。

しかし、ハナム教授は「行きたいところはあるか?」と聞かれた時、カルタゴなど世界じゅうの歴史のある場所を答えていた。
解雇された事で、出身校に引き籠もって教授をしていたハナム教授が「自由」になった、とも言える。
そう考えるとこの話は希望を残して終わる物語とも取れる。
ぜひ私はこちらを推したい。

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