生きる意味とアノミー
生きる意味がなければ世界に繋ぎ止めておけないというのなら、それは束縛力、馴染みのある言葉で言えば垂直抗力であると言える。
ここでも慣用的な表現を用いるならば、世界をレールに見立てることができる。
世界というレールに歪みや破断があれば、そこでは垂直抗力、つまり、生きる意味がなくなる。それはまさしくアノミー的状態である。
このことからも、いかに人間が(連続かつ)安定した世界の中でしか意味を、価値を見出せないかが分かる。
世界の変容とそれによって束縛力を振り切ってしまう現象は他にもある。弱い力の作用である。中性子を電子が(反電子ニュートリノとともに)陽子に束縛された状態(崩壊の直後)と見るならば、それは強い相互作用の場から電磁(弱)相互作用の場への転移、言わば、ゲマインシャフトからゲゼルシャフトに存在の場を移すくらいに劇的な事態である。
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