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ICT機器の選び方(大学生向け・2021年春版)

はじめに

2021年4月に中学、高校に入学する人向けへ、どのようにICT機器を選ぶべきかの指針を書いてみました。すると、大学で情報の授業を担当している友人からメールが来ました。「大学だと事情が違うので、大学版も書いてくれ」とのことです。また、大学の場合はパソコンの選択に際して、「生協パソコンを選ぶか否か」という悩ましい問題も生じます。そこで私の経験と、友人とオンラインで話し合った結果を基に、「大学生向けのICT機器の選び方」を書きたいと思います。
(注 この文章は、「大学で指定されたパソコンがない場合の選び方」です。大学で指定がある場合は、それを選んでください。念のため)

結論…1台目にChromebookを選ぶのは危険

結論から書きましょう。現状では「Chromebookを1台目に選ぶのは危険」です。
また「iPadだけでは大学の学びには対応できません」
「WindowsかMacがとにかく無難」です。

Wordのフル機能が必要

なぜChromebookを選ぶのは危険なのでしょうか。それは、多くの大学では、レポートや卒論に、文字数と行数の指定があるからです。
「進学先の大学名 卒論 要項」で検索すると、卒論の書き方が出てくると思います。そこで、文字数と行数が指定されている場合は、フル機能のWordが必要になるのです。
Chromebookでは、Word、Google Documents、有料のWPS Officeが使えます。ですがいずれも、明示的に文字数と行数を設定することができないのです。
iPadも同様の問題を抱えています。iPad版のWordも、Pagesも、明示的に文字数行数を指定することができません。
いずれも、行間隔や余白を設定することで、擬似的に文字数行数を設定することはできます。ですがそれは非常に面倒で、トライアンドエラーを繰り返す必要があります。この段階で、ChromebookとiPadは、大学では「使えない」のです。
文字数行数の指定がない場合、Chromebookでも問題ないでしょう。ただ、テストやレポートで、文字数行数が指定された文書の提出を求められる可能性があります。そのため「WindowsかMacがとにかく無難」なのです。
家電量販店では、Chromebookを「だいたい同じですよ」と勧めていることもあるようですが、こと大学ではChromebookはメインマシンとしては使えないことが多いのです。入学する大学の情報をきちんと調べた上で、1台目のパソコンを決める必要があります。

生協パソコンをどう考えるか?

生協で紹介されているパソコンや、大学斡旋のパソコンは、かなり割高に感じます。例えば東京インターカレッジ生協のパソコンは税込み17万5千円です。
こんなに高いパソコンが必要なの?と思うかもしれません。「生協パソコン」と検索すると「ゴミ」「高い」「情弱」とサジェストされますね。それはかつて、生協パソコンといえば、型落ちの機種(しかも重量も動作も重たいもの!)にプリンターなどの周辺機器や過剰なサービスをつけて、ぼったくり的な価格で売るものだったからです。ですが私が今回調べてみたところ、機種は最新のもの、軽いものが多く、諸サービス込みで本体価格の5割増し程度が最高でした。サポートを考えると、それほど高くはないかと思います。そしてこのインターカレッジ生協のパソコンは、同等のパソコンを富士通から直接買うと、18万円弱(しかも納期は3週間)になります。生協パソコンは、4年間の保証がついている分、割安とはいえるのです。
値段が高いのは、ハイスペックのパソコンだからです。このパソコンのCPUはi7で、CG、動画編集など、マシンパワーが必要な用途向けです。この程度のマシンパワーが必要な学部学科もあるでしょう。一方、文書作成や資料調べが中心ならオーバースペックです。カリキュラムや講義の内容をよく調べたうえで、選択する必要があります。
また、学生さんの性格によっても選択基準は変わります。社交的で、周りにパソコンに詳しい友達がいるなら、生協パソコンは不要でしょう(サポートは友達にお願いするのです)。一方、あまり社交的でなく、友達を作るのが苦手な場合は、4年間のサポートがある生協パソコンが選択肢に入ってきます。
生協パソコンについては、学部学科の学習内容や、学生さんの状況によって、考え方が大きく変わってきます。高いパソコンではありますが、使い方や状況によっては割安になることもあるのです。
ただ、重さは次に述べるように、絶対に軽いものがよいです。1.5㎏を超えるような据え置き前提のパソコンは、選ぶべきではないでしょう。

Windowsパソコンの選び方

では何を選べばよいのでしょうか? Windowsパソコンは非常に種類が多く、簡単には選べない状況です。
方法その1は、量販店に行って、実際に触ってみることです。長期間、頻繁に使うパソコンですから、持ち運ぶ気になるもの、使って気持ちいいものを選ぶとよいでしょう。
方法その2は、比較サイトを使うことです。kakaku.comでは、重さなどの条件を設定して、絞り込むことができます(リンクはオススメの条件で絞り込んだ後のものです)。kakaku.comである程度絞り込んで、実際に量販店に行って確かめるという方法もあります。
それではオススメの条件を挙げていきましょう。

決定的に重要なのは重量です。上限は1.3㎏と考えるべきです。1㎏を下回るのが理想です。1㎏程度だと、どこでも持ち運びができ、あらゆる場所が仕事場になります。
CPUは学部学科、やりたいことによって変わります。kakaku.comの「CPUスコア」が大まかな目安になります。
→文書作成、資料調べが中心なら、2400が最低ラインです。6500を超えるとほぼストレスなしになります。
→CG、動画編集、数値計算なら、10000からになるでしょう。
メモリーは文書作成なら8GB、創作に使うなら16GBからです。
ストレージ256GBからです。
●オンライン授業に備えて、カメラ付きを選びましょう。720p(HDとあるもの)以上が望ましいです。
●キーボード分離型のパソコンは、キーボードが薄くぺらぺらのもの(Surfaceなど)は、きちんと固定された机でないと使いにくいです。電車内で使う可能性がある場合は、がっちり固定できるものを選びましょう。
Officeの有無については、大学がMicrosoft365に加入しているかどうかで変わります。加入している場合は、在学中無料でOfficeが使える契約になっていることが多いです。この場合はOfficeなしのものを選びます。学校に問い合わせてみましょう(フル機能のOfficeが使えない契約もあるので注意)。
●Macも選択肢としてはアリです。画面は明らかにきれいですが、もっとも軽いMacBookAirで約1.3㎏あります。持ち比べて比較すると良いでしょう。
通信環境も重要です。ひとり暮らしの場合は、光やCATVなど、常時接続回線があるのが理想です。携帯回線の場合は、容量が多かったり使い放題だったりする回線を選びましょう。

個人的にオススメのマシンというと……私はLG Gramの2年前の型を使っていますが、現在でもほとんどストレスを感じません(メモリ8GBでは少し不足かな、と感じる程度)。最新のGramはこちらです。表示されているのは16インチで、14インチが1㎏を切り、CPUスコアは10000くらいになります。

これはいいな、と思うのは、HPのProbook 635 Aero G7ですね。高性能なRyzen(CPUスコア10000超え!)を積んで、ちょうど1㎏で、税込み84700円! 生協パソコン1台でこれが2台買えちゃいます。すぐにでも買っちゃいたいぐらいです。
あとはやはりMacBookAirですね。噂のM1チップの性能を体験してみたいと思います。

Chromebookの使いどころは?

1台目としては向かないChromebookですが(iPadも)、2台目の情報端末としては非常に優秀です。1台目に慣れたとき、もっと情報端末を活用したいと思ったときに、軽くて安いものを買うと良いでしょう。
今後、ソフトのバージョンアップによって、Chromebookでも文字数行数の指定ができるようになるかもしれません(そしてその可能性は高いでしょう)。そうなったら、Chromebookも1台目のパソコンの選択肢に入ります。状況が変わったら、また新たに記事を書きたいと思います。
(下の機種、記事作成時はなんとびっくり2万円切りです!)

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