【EP紹介】DREAMS / fish in water project (2021)

こんばんは。

今日は、私の中での激オシ・インディーバンド、fish in water projectをご紹介します。

アーティスト紹介:fish in water project

群馬出身の4人組ロックバンド、fish in water project。

2015年に結成し、ライブを精力的にこなしつつ、YouTubeにもMVをアップしています。

オルタナな曲調で、過去作聴いているとクリーンめな音作りが特徴だったようですが、最近の作品はシューゲイザー系の音を用いた、疾走感のある夢のような幻覚のような曲調。今回紹介するEPも、かなりシューゲイジングです。

……と、情報はこれくらいです。色々と調べたんですが、あんまり出てこなかった。あと、UKロックっぽい進行感も感じます。

とにかく、Apple Musicでディグっている時にたまたまぶち当たり、大興奮で記事書いています。

EP紹介:DREAMS

で、ご紹介するのが、この2021発売のEP『DREAMS』です。

本EPは、前回EP『Light up』(2019)以降のシングル曲をまとめた、ミニアルバムのようです。

01.「Daydream Daydream」

"daydream"、日本語では「白昼夢」ですが、これは起きているにもかかわらず夢のように、妙に現実的な実感を伴う空想世界に入り込んでしまうことです。

なんでってわけじゃあないんですが、すごく好きな言葉です。これが2回も連なってるんだから、タイトルからして魅力的ですね(?)。

失恋の歌なのでしょうか。失恋や生き別れを振り返って、楽しかった日々を"daydream"になぞらえる曲は意外に多いですね。例えばこんな曲も。

シューゲイザーのようなリバーブと音作り、そこに女性ボーカルのコーラスが薄く被さっていることで、本当に白昼夢にあるような浮遊感のあるサビになっています。

メンバーは男性だけなので、コーラスは外注のはず。こりゃ気合が入っている。でも、曲を通しで聴いてみると、なくてはならないコーラスですね。

02.「Dreamin' girl」

続いて2曲目も"dream"。こちらもシューゲイジングなサウンドですが、幾分ボーカルがはっきり作られていますね。

こうしてまじまじと聴いてみると、Vo/Gtのシオジリハヤトの声は、やわらかくもありながら、決して弱々しくなく、むしろ通る声であり、でもやはりどこか浮いているような、そんな不思議な魅力があります。

こちらも、サビ部分で盛り上がりつつも、突然浮遊するような曲作りになっています。

全曲通してですが、fish in water projectの曲は休符が多いです。歌詞カードを見てみると、文字数が少なくてびっくりする。

結構インディーズの曲って、とにかくしゃべっている曲も多くて辟易することもありますが、fish in water projectの曲は正反対。この「間」があるからこその、作品の雰囲気なんでしょうね。

03.「SETSUNA-BLUE」

さて3曲目。

休符が多いとは言いましたが、それでもなお、美しくキャッチーな旋律も魅力的なfish in water project。

イントロの20秒を過ぎたあたりに入ってくる、ギターのリフだけで、「おっ!この曲はいいぞ!!」という感じがしますね。

サビも印象的。アウフタクト+順次進行で2フレーズ行きますが、その後突然「全部、全部が思い出なんだ」で5度跳躍で曲の最高音へ。ものすごく印象的です。

これも全曲通してですが、シューゲイジングで浮遊感のある曲調でありながら、常に疾走感がありますね。結構BPMも早い。

この疾走感が、ふわふわとした夢のような曲を成立させるエネルギーになっている一方で、夢がとめどなく流れていくような現実味のなさにも一役買っています。

04.「quake」

このEPの中で、唯一「夢」からは遠いような、ちょっと毛色が違う曲です。

カッティングとシンセのモチーフから始まり、ファルセットのボーカルが入ってきます。というかずっとファルセット。

縦ノリ、暗めの曲調、かなり歪ませた音に、しかも歌詞の入りが「見えない未来」。他の曲との違いが際立ちます。

(なぜか、歌詞がこれだけなく、ファルセットなので聴き取れない部分もありました……。)

05.「Musician」

ミュージシャンであることや、歌うことについて歌った曲ってのもままありますね。例えばこんなの。

やはり、何かを生み出す(創作する)というのは、生きがいである反面、非常に厳しい側面もあります。自分を切り売りするような感覚や、同世代の他人との比較、時には生活やお金がちらつくこともあります。

それだけに、こうした曲には、それなりのエネルギーと感情がこもっていることも多いです。この05.「Musician」もそんな曲。

このEPの中では比較的ゆっくりなBPMと、力強く印象的なコード進行。歌詞もかなりリアリティのあるものになっています。

06.「Teenage Romance」

今回、紹介するきっかけになった曲。

イントロからものすごくシューゲイザー!「10代のロマンス」という意味の曲名ですが、これも過去を振り返り、夢になぞる曲です。

これは、私の音楽性癖なんですが、サビがボーカルの歌い込みじゃない曲、すごく好きなんです。極端にはこれとか。

この曲も、サビはギターのフレーズが先行して、ボーカルがオブリガード(対旋律)のように追いかける、という構図になっています。もう、大好き。

こちらも、女性ボーカルのコーラスが効いていますね。これが切なさを2倍3倍にしてる。良。

こんなにワンワン鳴っているのに、高音成分が多いからでしょうか、不思議と透明感があるのも最高ですね。

新シングル「YOU」(2022)

今回、記事のメインとしてはある程度まとまった量のあるものということでEPを紹介しましたが、今年(2022年)の1月に出たシングル「YOU」についても少し。

シンセが特徴的な、ゆったりとした曲。ちょっと全然違う感じだったのでびっくりしちゃいました。

ボーカルの聴こえ方が全然違いますね。こんな艶っぽい歌い込みもできるのか。
(スタジオが違う感じもします。)

EP『DREAMS』以前の曲は、どうもそこまでシューゲイジングな感じがしなかったりと、幅広い音楽性を持っているようでまた違った音楽観が見えますね。今後のリリースが楽しみです。

終わりに

今回通しで聴いて思ったのが、結構イントロが長いな、ということ。

少し前まで、イントロって15秒〜20秒くらいあるのが普通だったんですが、最近はイントロから耳を掴まないと聴いてくれないってんで、どんどん短くなっていて、イントロサビの曲も非常に多いですね。

そんな中、これはいい意味でイントロが長かった。

最近は何でも、ともすれば消費意識を刺激する合成着色料みたいなものが多い中で、とても良かったです。これからも追っていきたい。

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