ホラー小説「ドールハウス」第1話 目覚め
あらすじ
奇妙な連続失踪事件が起きている街。
古い洋館の一室で目覚めた二人の女性。その部屋には人形のように死体が飾られていた。
目覚めた部屋を出て、洋館を歩き回る二人は連続失踪事件で捜索されている女子大生の死体とその死体に話しかける謎の少女を目撃してしまう。
洋館から脱出を試みる二人は連続失踪事件の真実を知ることになる。
登場人物
田中美夏
気が付いたら、古い洋館に居た専門学生。
何者かに首を絞められたみたいで、目覚めた時少し息が苦しかった。
洋館から脱出する方法を模索することになる。
中性的な顔立ちをしている。
川崎春香
美夏と同じく、古い洋館の一室で寝ていたトップの進学校に通う女子高生。
寝る前の記憶が無い。なぜか、眠そうにしている。
高校では写真部に所属している。
眼鏡が特徴的。
小柳百合
数か月前から行方不明になっている大学生。
百合の失踪の後も行方不明者が出ているため、警察は事件性があるとみて捜査していた。
佐々木愛美
川崎春香と同じ高校の生徒。
小柄で長い黒髪が特徴的な美少女。
成績優秀で家はお金持ち。
春香とは同じクラスの友達という関係で部活も一緒。
わたし
のおうちにふたりの新しいお人形さんがきてくれたの。
いっしょにあそぶのが楽しみだな。
マリーちゃんも新しいおともだちが来るのを楽しみにしてるみたい。
早く、かわいい服をきせてあげたいな。
お人形さんのおともだちがふえてたのしいな。
1.美夏
ハァハァ、息が苦しい。あたしは義絶していたようだ。
気づいたら、持っていた持ち物が無い。スマホも財布も。
さらに、目が覚めたら知らない部屋に居た。しかし、目覚める前の事が思い出せない。
そこはレトロでエレガントみたいな感じの部屋だった。
床はフカフカなカーペット。天井にはきれいなシャンデリア。
倒れて病院に運ばれたわけではないのなら、ここはどこだろう?誘拐された?あたしは混乱していた。
周りを見渡すと、部屋の隅には椅子に座っている人が居て、あたしの隣には女の人が倒れていた。私は話しかけた。
「すみません、ここはどこなの?」と声を掛けた。
倒れていた女の人が目を覚ました。あたしと年が近い少女だった。
「ふぁ~おはよう。」彼女は眠たそうにしていた。
しばらくすると、「ん、あなた誰?」と眼鏡をかけた少女は聞いてきた。
あたしは自分の名前を名乗った。「あたしは田中美夏。あんたは誰なの?」
「私は川崎春香と言います。」彼女はそう言った。
「あたし、目が覚めたらここにいたの。ここはどこなの?」と彼女に聞いてみた。
「あれ?知らない場所だ。私もわからない。寝る前の記憶がぼんやりしてて、思い出せないの。」彼女も誰かに連れ去られた?
次は椅子に座っている人に話しかけようと近づいた。
しかし、あることに気づいた。椅子に座っている人は死んでいた。
本物の死体は初めて見た。脈もなく、顔色も悪い。
しかし、顔色の悪さとは対照的なきれいな服を着ていて、金色の髪もきれい。
だが、左の眼球には造花のバラが刺さっている。まるで、趣味が悪い人形のようだ。
目覚めると、不気味な死体が人形のように飾られている部屋に居た。
ここは地獄なのか?
後ろに居た春香も隅に居る死体に気づいたのか目を背けている。
この部屋から出た方が良いかもしれない。「とりあえず、こんな気持ち悪い部屋から出ましょ!ねぇ、一緒に出ない?」春香にこの部屋から出てみないか聞いてみた。
怖がっている春香には悪いけど、実際は一人でここから出るのは心細かった。この部屋から出たら、死体が転がってそうで、怖かった。
でも、春香は「その方が良いかもしれない。こんな場所気味が悪いわ。」と言った。
2.春香
こんなおぞましい光景を見てしまった。離れた場所から見ても残酷だ。見たくない。
私の事を気にしてくれたのか、この部屋で一緒に居た美夏さんはこの「部屋から出てみるのはどうか」と提案してくれた。私もそう考えていた。
美夏さんは私が目覚めた部屋に居た全く知らない人。見た感じ私より年上みたい。
美夏さんも目が覚めたら、この部屋に居たみたいだった。
美夏さんは目つきが悪くて少し怖い雰囲気。悪い人なのかな?
今はこの部屋に居る理由とか、美夏さんが何者かとか考えるより先に死体が居る気味が悪い部屋から出たかった。
この部屋のドアのノブを回した。鍵はかかっていなかった。
出てみると、そこは二階の廊下だった。下から一階のロビーを見渡せた。
「美夏さんは普段は何してるんですか?」
私はそのタイミングで気になっていた美夏さんの職業を恐る恐る聞いてみた。
美夏さんは「あたしは専門学校でデザインを学んでるよ。」と言った。
本当に悪い人ではなさそう。
私も「高校二年生です。」と簡単な自己紹介を済ませた。
私は何かないかと思って、廊下の柵から下を覗いてみた。
この屋敷の出口と思われる扉を見つけた。
私は「出口がある」と美夏さんに言った。
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