【イベントレポート】EM・テックリード必見!ドメインにディープダイブするプロダクト開発の裏側
こんにちは、広報の上島です。
PharmaXでは、2023年より月1ペースでテックイベントを開催していくことにしました。
プロダクト開発の中で組織体制など課題を感じている企業も多いのではないでしょうか?
私たちPharmaXも薬剤師とエンジニアをはじめとするプロダクトチームが一丸となってプロダクト開発を進めるなかで、さまざまな課題に対して模索しながら乗り越えています。
そのようなとき、他社はさまざまな職種が関わり開発を進めていく中で、どのような施策をしながら課題解決をしているのか知りたいなと思うことがあります。
そこで毎月1つの課題にフォーカスして、各々の登壇企業ごとにどのように改善しながらチーム一丸となって開発を進めているのかについて発表していただこうと、コラボテックイベントを企画することにしました。
1月のテーマは
「ドメインエキスパートとプロダクト開発チームがどのように連携しながらプロダクトや開発組織を作っているのか」
金融、花き、薬局と異なる業界のスタートアップ企業が集まりディスカッションいたしました。
業種は異なるもののそれぞれ独自のドメイン知識が必要であるという共通点がある3社。どのような議論がされたのかレポートします!
(お時間がある方はアーカイブとあわせてご覧ください)
今回の登壇者とLT紹介
では今回の登壇者・モデレーターのご紹介と各企業のLT資料をご紹介します。
ファンズ株式会社 取締役CTO・プロダクト開発部長 若松 慶信さん
LTタイトル「金融領域におけるサービス開発の進め方」
ユーザーライク株式会社 MGR 朝倉 達也さん
LTタイトル「花き業界のサプライチェーンを繋げるプロダクト開発の進め方」
PharmaX株式会社 取締役・開発責任者 上野 彰大さん
LTタイトル「複数業種が協働してプロダクト開発するカルチャーの作り方」
PharmaX株式会社 エンジニア 尾崎 皓一(モデレーター)
ドメインエキスパートから知識をキャッチアップするための工夫
今回のパネルディスカッションでは、各社LT発表をもとに2つのテーマについてお話いただきました。
モデレーターのPharmaXエンジニア尾崎さんより、各々に質問していただきましたので内容をご紹介します。
テーマ①ドメイン知識のオンボーディングについて
まずはオンボーディングについて3つのポイントをふまえてディスカッションしていただきました。
エンジニアに求める期待値は?
慣れない領域でキャッチアップするための工夫は?
どれくらいの期間でキャッチアップできるのか?
PharmaX尾崎 :ではパネルディスカッションということで、テーマを2つ用意しています。 まずはエンジニアに対してのドメイン知識のインプットについて。特に入社当初は不安があったり、マネジメントの観点ではスタート時点でどのようにドメイン知識をオンボーディングするかだったり、初速を出すいう意味でも結構重要かなと思いますので聞いていきたいなと。 そこからもうちょっと深掘りして、ドメインエキスパートといっても三者三様でいろんな領域の人がいると思うんですけれど、その方たちとのコミュニケーション面についてディスカッションしていければと思っております。
それでは一つ目のテーマからいきたいと思います。 まずは「ドメイン知識のオンボーディング」というテーマについて、PharmaXの上野さんにお聞きします。 薬局のオペレーションのシステムを構築するうえでいろいろ知識が必要かなと思いますが、キャッチアップの工夫やオンボーディング面で管理されていることなどはあるんでしょうか?
PharmaX上野さん:そうですね、Zoomを繋いでリモート薬剤師(PharmaXでは薬剤師のリモートワーク体制を整備している)の業務見学や薬局店舗見学など、薬局の中での動きを実際にみていただくことや、実際にご自身で薬を受け取るフローを一通り体験していただくことも徹底しています。
事業については、医療業界の法律や医療系スタートアップのポジショニングやマップなどを代表が一通り説明している動画を入社後みなさんに見ていただいたり、事業の最新の状況やドメイン知識に関する内容について朝会などで共有したりとアップデートできるようにしています。
キャッチアップできる期間は人それぞれですが、オンボーディングすることで数ヶ月ほどで患者さんについてや法律関連について理解いただけることを期待していますし、深く理解していただけるようサポートしています。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。(私自身PharmaXの社員なので)業務見学は最初の段階でやれると解像度が上がるなと感じます。あとは法律面のキャッチアップについて個人的には結構大変だなというイメージがあったんですけれど、全体像を捉えて要点を押さえてもらえる体制があれば、思っていたほど大変ではないかなという印象でした。
ファンズの若松さんにも伺いたいなと思います。LTでも法令や金融商品・会計のようなドメインが多岐にわたるというお話もありましたが、まずエンジニアに求めるドメイン知識について、どの程度欲しいかなとお考えでしょうか?
ファンズ若松さん:そうですね、前提としてエンジニアの方にドメイン知識をフルで持ってもらうことは私も含めて難しいと思っています。ただ、他のドメインエキスパートとの話がわかることは一定必要だと思うので、そのぐらいのレベルは期待するところかなと思います。とはいえ、よく採用の場面で「金融は経験したことがないけれども大丈夫ですか?」聞かれるんですけれども、全然問題なくて、入社後に社内にいれば一定キャッチアップできるような環境にはなっているかなとは思っています。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。やはり特に専門領域だと採用の場で(私自身も面談するんですが、大丈夫ですかと)聞かれますよね。ファンズさんもドメインの人と話ができるレベル感であれば大丈夫というイメージですね。
それではユーザーライクの朝倉さんにもお聞きします。個人的には花のサプライチェーンとか花の加工とかあんまりイメージがつかないのですが、どういうドメイン知識をエンジニアに求めているか、オンボーディングではどういうことをされているのかお聞かせいただけますでしょうか?
ユーザーライク朝倉さん:はい、ユーザーライクもドメイン知識はそこまで深くはいらないかなとは思っています。 花き業界に限らず、一般的なサプライチェーンの流れに理解があれば良いと思います。 例えば、モノが生産者でつくられ、市場に卸し、工場で加工され、小売店で販売され、消費者が購入する、このようなモノの流れやサプライチェーンが花き業界でもありますので、それぞれの登場人物がどのような役割を果たすか、その一定理解があれば問題ありません。
また、キャッチアップしやすい工夫や期間についても、独自の取り組みがあります。
「D10」という「入社して10日間で自走できる状態にする」という施策です。 「D10」の中で、全部門と1on1を行う機会があるので、各部門とコミュニケーションをとり部門の理解や連携に関する確認ができます。 また、周りがサポートしながら実際にリリースする経験が早々に積めます。 それにより、実際の動きの理解に繋がりますし、各職種ごとにカバーする動きを設定しているので、 心理的な緊張や不安があっても安心して仕事していただけるのかなと思っております。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。D10 のDはアルファベットのDですかね。DayのD?
ユーザーライク朝倉さん:そうですDay10です。
PharmaX尾崎:D〇〇はPharmaXにも導入しようかな。ありがとうございます。
ファンズの若松さんにもオンボーディング面はどのようにされているかお聞きしてもよいでしょうか。
ファンズ若松さん:そうですね、オンボーディングでいうと入社された方には、まず一通りの機能に触ってもらっています。またチームがサポーティブです。僕らの場合だと、基本フルリモートでSlackベースのコミュニケーションが多いんですけれども、1人ずつのチャンネルみたいなものがあるので、こういうところが疑問だとか、これよくわかんないなとか投稿があると誰かが助けてくれるので、キャッチアップの手助けになっているんじゃないかなと個人的には思っていますね。
PharmaX尾崎:あとLTの中でインシデントの共有会があるとのことで、個人的には振り返りができていいなと思ってました。ありがとうございます。
それではQ&Aも拾えればと思います。
「ドメインエキスパートがどういう方なのか」気になっている方が一定数いるようですね。
特に花き業界の場合ではあんまりドメインエキスパートのイメージつかないということですけれど、どういう専門の方がいるのですか?
ユーザーライク朝倉さん:社内には、フローリストと呼ばれるお花のプロや、工場のオペレーション管理や商品の品質管理をする方がいます。 また、社外ですと市場の方や生産者さん、町のお花屋さんとも連携しておりますので、その方々がエキスパートになるのかなと思っております。
PharmaX尾崎:なるほど。よりイメージできました。ありがとうございます。
テーマ②ドメインエキスパートとのコミュニケーションについて
2つ目はエンジニアとドメインエキスパートとのコミュニケーションについて、3つのポイントをふまえてディスカッションしていただきました。
ドメインエキスパートとプロダクト開発チームがどのように情報共有をしてプロダクトに落とし込んでいるのか?
どのようにアイディアを吸い上げてバックログとして扱っているのか
プロダクトの最新の開発状況をどのように他の職種のメンバーに共有しているか
PharmaX尾崎:続いてコミュニケーション面。LTの中でのプロダクト開発のフローなどとあわせてお話を伺えればいいなと思っております。
まずはユーザーライクの朝倉さんに伺います。
LTの中でもKPIごとにチームを切っているとの話がありましたけど、開発チームと各職種の方々との情報連携部分で工夫されていることなどありますでしょうか?
ユーザーライク朝倉さん:はい、そうですね。プロダクト開発専門の部門というのはなくて、KPIごとにチームがわかれています。KPIに紐づいた施策の検討を行うので、そのチームがエキスパートと直接連携や開発チームとのハブになっているイメージですね。そういう中で連携や施策などが進むので、そこに知見がたまっていくという形です。
例えばマーケチームの場合、新規獲得に関する施策を繰り返し実行する中で、LPや登録導線についての知見がたまったり、エキスパートとのコミュニケーションについて一定のルールが出来上がったりと仕組みができてきます。
エンジニア側として全体イメージを理解しつつ仲介メンバーがいる中で開発をしています。
PharmaX尾崎:そこがすごい特徴的だなと思いながらLTのお話も聞いていましたが、新規獲得部分のKPIを追う中で施策を回すとその部分に知見がたまったりノウハウの解像度が高くなったりするところはすごいメリットですね。
続いてファンズの若松さんとしては、コミュニケーション面で工夫されているところをお聞かせください。専門家が多い中で、どのように要望を吸い上げているのか伺えたらと思いますがいかがでしょうか?
ファンズ若松さん:そうですね、弊社の場合、プロダクトや他の事業開発などいろんな要素を含めて総合力で展開していくビジネスであるところは、ユーザーライクとは異なるのかなとお話を聞いていて思いました。
情報共有的なところでは、プロダクトも一種の専門家のような感じなんですね。そのためプロダクト側もドメインエキスパート側も、他の部門に対してリスペクトがあるかなと思っています。
その中で「こういう風にしたいけれどできるかな?」のような会話から始まり、お互いどのようにコミュニケーションを取れば伝わるかを考えながら、「プロダクトとしてはこういう風にすればよさそうだね」というコンセンサスを進めることが多いかなと思いました。ふとしたSlackでの会話の中からアイデアが出てきています。あとは公式のリクエストや要望を受付けるSlackのワークフローでフォームを作っています。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。要望を吸い上げた後、具体的に実行しますという開発に落とし込む段階まではどういう風にその施策を選んで決めていくイメージですか?
ファンズ若松さん:そうですね、一つ一つの施策もいろんな観点で検討する必要があるので、ある程度調査を進めてみないとわからないことも多くあります。ある程度のものであれば、あとは事業的なKPIに落とし込んだときに効果があるのかないのかの優劣で判断しています。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。そうしたら(PharmaXの上野さんに)PharmaXのプロダクト開発面の話と情報共有の仕方について聞かせていただければと思います。
PharmaX上野さん:そうですね、改めて2社のお話を聞いていて思ったのは、我々の特徴でもある「すべてがプロダクトで繋がっている」ということ。
薬剤師さんも患者さんからみると一種のプロダクトだし、薬剤師さんはプロダクト画面を見て患者さんとコミュニケーションしており、本当にスクラムに取り組みやすい体制になっているなと思いました。
社内にドメインエキスパートが当然いて、その人たちがプロダクトを使い、患者さんと対話する中でいろんな発見が生まれている。だからこそ、SaaSじゃなくて自分たちがオンライン薬局を運営するというスタンスをとってこのような体制になっていることは、我々の強みなんだなと改めて思っています。
Gatherみたいなバーチャルオフィスを使って薬剤師さんとエンジニアがこまめにコミュニケーションをとるとかも普通に起こっているし、プロダクトについても垣根なくコミュニケーションする体制は改めて築いているのかなと思いました。
またうちの会社の特徴として、勉強会などで発表することが好きな人が多いのかなと思っています。例えば、薬剤師さんから薬剤師さんやエンジニアに向けた勉強会や、エンジニアから薬剤師さんに向けた勉強会など頻繁に行われている文化なので、引き続き大切にしていきたいなと思いましたね。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。そうですね、Slackでの話やコミュニケーションでの支え合いが大きいというお話になりましたけど、勉強会などでドメインの情報を得ていると自然とエンジニアも徐々に知識がついてきていることは多いのかなと思います。
若松さんとかは社内で金融系の話をするような設定とかあったりするんですか?
ファンズ若松さん:そうですね、社内全体での会議などの場面で、勉強会というか社内の研修はありますね。
PharmaX尾崎:ありがとうございます。朝倉さんはいかがですか?エンジニアとしては(勉強会など)あるとありがたいし、(関係性が)深まっていくなというのは個人的には感じていますけれど。
ユーザーライク朝倉さん:そうですね、エンジニアもそうですしエンジニア以外の部門でも勉強会やレビュー会などを開いて発表したりしてます。 また、お花の撮影を社内でしたりするんですけど、撮影で使ったお花とかを実際に切ってみんなでブーケを作る中で、感じる事もありますし、お花に触れる機会も多くありますね。
PharmaX尾崎:面白いですね。ありがとうございます。
まとめ
三者三様のオンボーディングやコミュニケーションの工夫があり、かなり盛りだくさんの内容となりました。
共通点としては、以下が挙げられます。
入社後早い段階で一通りプロダクトを体験してもらうフローがある
入社後も知識や情報をキャッチアップしやすい環境を整えている
Slackなど気軽にコミュニケーションを取り合う場所があることでメンバー同士が支え合っている
それぞれ専門性の高い業界だからこそ、エンジニアとドメインエキスパートが連携しやすい体制を工夫しているし、だからこそ安心してプロダクト開発に挑めている環境なのだなというのが伝わるディスカッションでした。
今回ご登壇いただいたファンズの若松さん、ユーザーライクの朝倉さん、各社関係者のみなさん、ありがとうございました。
ぜひみなさんも各社のサービスをお試しになってみてください!
お知らせ
2月は「フルリモート体制でのプロダクト開発」というテーマで、金融業界のモニクルさん、不動産業界のスタイルポートさん、薬局業界のPharmaXという、異なる業界でフルリモート体制を取り入れているスタートアップ企業3社が集まり、あらためてリモートワークによりプロダクト開発やチームワークにどのような問題が生じたか、またどのように乗り越えたかについて、各社の事例をふまえてリモートワークの実態をディスカッションします!
ぜひご参加お待ちしております!
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