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薬局内におけるアンガーマネジメント。忘れちゃいけないストレス発散

仕事場での怒りやストレスは、切り離すことが難しい現実である。特に閉鎖的な空間となりやすい薬局では、感情を外に出すということ自体が、経営者スタッフ間だけでなくスタッフ間での不満やストレスが溜まりやすいとも言える。そこで鍵になるのが、アンガーマネジメント(怒りのコントロール)と適切なストレス発散方法である。

1. 怒りのメカニズムを理解する

怒りは、自分の価値観や欲求を阻害されたときに生まれる自然な感情である。大切なのは「なぜ怒っているのか」を明確にすることである。怒りそのものが悪いわけではないが、コントロールを誤ると対人関係や健康に悪影響を及ぼすというのは明らかであろう。

  • トリガーの特定:具体的にどんな言動や状況が怒りを引き起こすのかを書き出す

  • 感情と事実の切り分け:起こった事実と、自分が感じている感情を分けて客観的に捉える

  • 5秒ルール:一気に爆発しそうになったら、まず5秒だけ深呼吸する習慣をつける

2. 怒りをコントロールする具体的な手法

アンガーマネジメントには、多くの手法が存在する。代表的なものを挙げる。どの手法が自分に合うかは是非見極めて欲しい。

  1. タイムアウト法
    感情が限界に近づいたと感じたら、意識的にその場を離れる。少し散歩するだけでも思考がリセットされ、落ち着きを取り戻しやすい。

  2. セルフトーク(自己対話)
    「本当にこれほど怒る必要があるのか?」「何を優先すべきか?」といった質問を自分に投げかける。冷静な思考に切り替えるための合図となる。

  3. アサーション(適切な主張)
    怒りを溜め込まず、相手に自分の気持ちを伝えるときは「自分は~だと感じている」の形で表現する。攻撃や批判ではなく、あくまで自分の感情を言葉にする。

3. ストレス発散の重要性

怒りをコントロールするだけでなく、日常的なストレス発散も不可欠である。怒りは蓄積されたストレスによって増幅されるからだ。以下は代表的な方法である。

  • 運動やストレッチ
    軽いジョギングやウォーキング、ヨガなどの身体を動かす習慣を取り入れる。血行が良くなり、心もリフレッシュしやすい。

  • 趣味や娯楽
    仕事や家族のことを一時的に忘れられる活動を見つける。本を読む、映画を見る、ゲームをするなど、何でも構わない。

  • 外部への吐き出し
    家族や職場の人には話せない悩みも、友人やカウンセラー、あるいはオンラインコミュニティなど「外部」に吐き出すだけで気分が軽くなることがある。

  • 小さな成功体験の積み重ね
    新しいスキルを身につける、目標を設定して達成するなど、達成感を得ることで自己肯定感が向上し、ストレス耐性が高まる。

なかでも、外部への吐き出しというのは存外悪くない。ただ、話す相手を選別するというのは心がけてもいいように思う。愚痴を聞くこと自体がストレスに感じる人もいれば、外に吐き出したいのに聞き下手な人を選んでしまえば、うまく吐き出せずに消化不良となるケースも少なくない。

4. 外部の力を借りる選択肢

それ以上に深刻な怒りやストレス症状に悩んでいる場合は、専門家の力を借りるべきである。メンタルクリニックやカウンセリング、場合によってはコンサルタントなど、客観的に話を聞いてもらうことで新たな視点を得られることもあると私は思う。

5. まとめ

ことの本質的には、“怒らないこと”を目的にしがちなアンガーマネジメントもストレス発散も『自分を守る』手段であるということだと私は思う。

双方の手法を組み合わせれば、過剰な怒りやストレスを抑えることで自分自身を守ることが可能となり得る。またそれに伴い、外部とのコミュニケーションを円滑にする一つの手法になり得るのではないかと思う。

怒りや不満は根本的に悪ではないが、それが暴走すれば大きなトラブルや健康被害につながるのは明白だろう。まずは「感情を客観的に捉える」「余裕がないなら物理的に距離を置く」など、小さな実践から始めるのが得策である。

怒りやストレスはコントロール可能な要素が多い。自分に合った方法を試し、限界を超える前に対処することが、自分自身と周囲を救う第一歩であるのではないだろうか。ましてや、薬局という閉鎖空間では怒りやストレスの逃げ道は自分自身で作ることも長く働いていく上では必要不可欠な要素とも言えると感じる。



あぁ薬剤師を辞めたい。

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