The Archdiocesan Shrine of Our Lady of Guidance, Manila, エルミタ教会、マニラ
マニラ市エルミタ地区(Ermita)にあるThe Archdiocesan Shrine of Our Lady of Guidance、エルミタ教会(Ermita Church)とも呼ばれます。エルミタ地区は、歴史地区イントラムロスの南東側を取り囲む形をしており、古くからマニラの中心の一つとして栄えているエリアです。戦争により大きな被害を受けましたが、いくつかの建物は昔の面影を残しています。現在は、リサール・パークと呼ばれる大公園、国立博物館や大学等の文化・教育施設等も有する商業・ビジネスエリアとなっています。
エルミタ教会の成り立ちは、修道会により建立された他の教会とは異なるようです。16世紀後半にスペイン人がマニラに入植した時、女性像を祀る小屋があったそうです。その像について、16世紀前半にフィリピンに到達したマゼランの探検隊の遺物等諸説あるようです。その後、17世紀初めに聖像に捧げる教会が建てられ、エルミタ(La Hermita/Hermitage)と呼ばれるようになったそうです。教会がある辺りは、16世紀後半にスペイン人が建築した城塞都市イントラムロスから数キロしか離れていませんが、当時は離れた場所だったのかもしれません。教会は地震や戦争の被害を度々受けますが、再建され、現在の会堂は、フィリピンの建築家Carlos A. Santos-Violaのデザインにより1953年に完成されたものです。
Our Lady of Guidance(スペイン語名 Nuestra Señora de Guía)の聖像は木製の黒いマリア像でBlack Madonnaとも呼ばれるそうです。16世紀頃の作とされ、地震や戦争といった困難の中、信者により守られ、フィリピンにおいて最も古い聖像の一つだそうです。導きの聖母という意味になるのでしょうか。現在は、海外旅行や海外で働くフィリピン人の守護者としても信仰を集める聖像だそうです。
会堂はクリーム色でモダンなスタイル。少しアール・デコ的な印象もあります。会堂の裏手の高層ビルが写りこんでいます。
2021年3月に訪れましたが、マゼランがフィリピンに到着した1521年から500周年と聖像が発見されてから450周年の二つの横断幕が飾られています。(聖像が発見された年は、1571年になりますね)
会堂の中へ。高い天井を持つシンプルな会堂。ステンドグラスの影響と思われますが、会堂内は緑がかった色に包まれています。丁度ミサが終わるタイミングでした。前方の上部にPAX ET BONUMの文字が見えます。
青い背景の中、空色と金色の祭壇が美しい。
照明が消されました。窓からの光だけですが、会堂の内部は明るいです。聖像の大きさは、50センチ程だそうです。聖像の下の細長い物体は、常緑高木であるパンダン(日本名 タコノキ)の葉を模しているそうです。他の教会においてもフィリピンの植物と聖像との関係性が見られましたが、言い伝えによって植物は異なるようです。
会堂後方。心が穏やかになる落ち着いた空間です。
会堂の外へ。会堂正面に設置されたマリア像の足元にも葉のようなものが見えます。
街中にある教会の周りは、ジプニーが走り、ペディキャブやバナナを売る屋台等フィリピンの日常がひろがっています。
2021年3月訪問。