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演奏の着眼点

自分自身の演奏のほか、私は仕事でアーティストにオファーさせていただくこともしばしばありました。
大きなメディアに出る前の橋渡しとして、これから活躍しそうな方々に毎度お声がけしていました。

その際に、彼らの情報を片っ端から確認していってオファーに至ったわけですが、その中で特に演奏について、どういった点に注目してきたのかが現時点でまとまったので、今回はわかりやすく3点に分けて綴ってみようと思います。

これは音楽の仕事だけではなく、実際に観客として観に行く際にも参考にしていただけるかと思いますし、ご自身の演奏の参考に見ていただく際の基準にもお役に立てていただけるかと思います。


①バッハ・モーツァルト・ベートーヴェンの精度

もし演奏レパートリーにモーツァルトがある場合は特に注目します。モーツァルトは音数が少なく、誤魔化しが効かなく粗が出やすいため、シビアに実力が出ます。
また、バッハやベートーヴェンもレパートリーとして上がっているようであれば、そこにも注目します。
リズムや指捌き、正確性などのテクニックはさることながら、構築的に演奏を組み立てられているか、表現力の部分に至るまで総合的な能力が問われ、コンクールや大学受験の課題曲にも採用されているほどです。

②同曲の聴き比べ

もし時期違いで同曲を演奏している場合、そこについても同曲だからとスルーせず、必ず確認します。
実際に私が感じた例として、本来コンクールに向けてしっかり仕上げていたはずなのに演奏会で練習不足ないしは手を抜いていたり、逆に、もとから完成度の高い演奏ではあったものの、海外留学などで師事する先生が変わったりした場合、表現力や解釈が変わり、格段にレベルアップしていることもあります。
練習不足や手を抜くことは論外ですが、レベルアップしていることは、表面上の変化だけではなく、本人の向上心や努力など内面の姿勢が見えるため、かなり大切な注目ポイントです。

③演奏会に足を運ぶ

レコーディングや配信では誤魔化しが効きますが、演奏会では嘘がつけません。演奏の姿勢の部分からコンディション、アンコールに至るまで、彼らの素が見えます。
大きい会場と小さい会場、リサイタルと演奏会(ソロか協奏曲か)など比較で見られればなお良いですが、一会場だけだったとしても、たいてい演奏会ではすでにレパートリーのものを演奏するため、同曲チェックも可能です。
また、そこでご自身がどう感じるかを確認しにいくためにも、生演奏を聴くことが肝要です。

なかなか仕事する立場で聴くことはないと思いますが、これらを意識することで、いろんなアーティストをあたってたくさんの演奏に触れることができ、ご自身の演奏ブラッシュアップにも役立てることができますので、ぜひ試してみてください。


さて、あなたはこの演奏、どう感じますか?

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