ライバルはマエストロ
はじめに
クラシック音楽にまつわるいろんなマインドについて、脳改革講座THE GATEでの学びや、私自身の経験をもとに綴っています。
前回語った記事内では、私自身が憧れを憧れのまま終わらせなかったエピソードを記しました。
今回はそれをさらにメリットという視点で掘り下げて綴ってみようと思います。
ライバルはマエストロ
マエストロ、ここでは音楽の大家を総称してそう呼ぶことにしましょう。
私はモーツァルトみたいになりたいと思っていると綴りましたが(下記記事参照)、幼少時にすでに時代の寵児のマエストロに魅了され、実際にデビュー早々共演したというアーティストも珍しくありません。
ジャンルが違っても珍しくないお話ですよね。
憧れを憧れのままで終わらせないこと、私の考えるメリットは大きく分けて下記の3点です。
①目標として具現化される
②行動の基準値が上がる
③実現する過程で、副次的に他の能力も身に付く
さて、上記に沿って、一つずつ紐解いていきましょう。
メリット①目標として具現化される
これはメリットというより、前提に近いかもしれません。
ただ漠然と夢だと捉えているうちは永遠に夢のままです。
潜在意識にどう刻まれるかを考えてみるとこの前提、意外と馬鹿にできないのです。
たとえば、私のプロフィールに書いてあるコンチェルトを例にとると、「いつかピアノコンチェルトを弾きたいなあ」の設定だと、脳は「いつかピアノコンチェルトを弾く」=「今はピアノコンチェルトを弾かない」と見做し、ずっと「今はピアノコンチェルトを弾かない私」の現実を起こし続けることになります。
一方で、「18歳までにピアノコンクールで入賞してオーケストラと共演している」の設定であれば、(18歳までに)「ピアノコンクールで入賞する私」「オーケストラと共演している私」に見合う現実を脳が拾ってこようとするのです。
※ここで出てきた「潜在意識」というのは何かというと、いわゆる「無意識」と呼ばれる領域のことです。
我々が普段「意識している」時に指すのは「顕在意識」と呼ばれる領域ですが、実は顕在意識は全体からするとわずか5%、潜在意識が実に95%を占めており、潜在意識の力は侮れないどころか、莫大な影響力を持つのです。
メリット②行動の基準値が上がる
かつて練習の"歯磨き"化という記事でも触れましたが、基準値をどこに置くかで目指すべきゴールが大きく変わります。
①の設定で「憧れ」という漠然としたものが実現を前提とした「目標」に置き換わったことで、一般的には高いと思われる目標に対しても、できる現実を集めにいくので、"歯磨き"基準が上がるのです。
具体的にいうなら、どちらが良い悪いではありませんが、
A. (先生の顔色を伺い、怒られないために)ミスタッチをしないように、音符を正確に読み、つっかえないように弾く
B. リサイタルで(まるで内田光子のような)シューベルトの演奏をする
→リサイタルの当日までに、楽譜を正確に解釈し、テクニック的にミスのないように暗譜して体に覚え込ませ、その上で楽曲分析をし、作曲者の意図を汲んだ上で自分なりに表現する
この二つのゴール設定、どちらが基準値が高いかは明白でしょう。
このように、積み上げていく基準値が自ずと上がることもメリットです。
※ちなみに本当の意味でシューベルトを弾けるピアニストは本当に数少ない。モーツァルトと並んで、ピアニスト自身の実力があらわになります。シューベルトというところもミソでした。
メリット③実現する過程で、副次的に他の能力も身に付く
最後に、目標実現に伴う「なんとかする力」がつくのも大きなメリットです。
高い目標を掲げるということは、たくさんのハードルがあります。
自分自身の弱さとの戦いもある、ドリームキラーもある。
そもそも挑戦できるチャンス自体が少ない。数も少ないし、門戸も狭い。
もうダメだと思いかけても、周りに反対されても、チャンスを掴みにいく、説得しにいく。
そういった際に「できる前提」で「なんとかする力」がつくのも大きなメリットでしょう。
これはジャンルを超えて応用できますし、たとえ失敗があったとしても、今の私に思いつことは全てやりきったと思えると、自信にもつながります。
光があれば陰もあるわけで、もちろんハードルが上がれば大変なこともたくさん生まれますが、乗り越えた分のメリットも大きく、その目標に向かった経験自体が大きな資産になることでしょう。
ところで私は次の目標を見つけてしまいました。恐怖です。
しかし、「これは恐怖だけど向き合うやつ」という直感があるので、取り組んでみることにしました。怖いよー。
本日の1曲
本日は、本文中にも出てきた、内田光子さんのシューベルトで締めることにいたしましょう。