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ヴィラン(悪役)達のオーケストラ!?
スペインの古典演劇の様な音楽を
オリジナルで作り、
死と、墓と、信仰のユーモアを
歌うオーケストラが存在します。
人呼んでスペイン風楽団・・・。
それが「墓の魚(PEZ DE TUMBA)」です。
先日に引き続き、
今日もうちの楽団の紹介をしていこうと思います。
前のブログで、この楽団の多くの作品には
[魔女]と呼ばれる人達が登場すると説明しました。
そして、この楽団の[魔女]とは、
正統派からの追放者の寓意(アレゴリー)であると。
魔女、詐欺師、社会主義者、墓堀り人、悪霊・・・
そんなキャラクター達が
「墓の魚」の作品(chanson funerailles)には登場します。
マニアックな編曲で作られた妖しい楽曲達は、
まるでディズニー映画の悪役(ヴィランズ)の歌そのものですが、
この楽団には[悪役の歌]しか存在しないという所が
変わっている所です。
善の側の歌が存在しないのですね。
いや、ある意味、[善]は登場するのですが、
それは、古典作品の様に、
キリスト教の天使達として作品に表れます。
しかし、この天使達は、黒実の作品においては、
人間が自らの魂を救おうとする時に垣間見る象徴、
救いの寓意(アレゴリー)に過ぎません。
人生の中で、寓意でしかない
[救いの姿]に焦がれる人間達。
「救い」が実在するか、しないかわからない
その現実と願望の狭間の世界で
人々は滑稽な芝居を繰り広げます。
そう、その葛藤にこそ
ラテン世界の信仰の哲学があるのです。
また、「墓の魚」の戯曲の中で魔女と呼ばれる者達は、
作中で魔法の様なものを使ったり、
空を飛んだりする描写はほとんどありません。
作品の中で、彼女達は政治思想の話をしたり、
人間の本質について机に座り、
辛辣に語るだけです。
それは黒実の作品の中で魔女という存在が、
人間の寓意として書かれているからです。
悪役と言うと、
多くの人が敬遠する存在かもしれませんが、
ラテン世界のキリスト教が、
全ての人は罪人である・・と語る様に、
悪人とは、舞台の中で、
私達の代弁者である事がわかると思います。
そしてまた、[悪人の側]にも主張があります。
それは、この世界の理不尽への叫びであり、
この世界を斜めに見た
諧謔者(道化)からの神への挑戦です。
そうした劇の中で淡々と語られる詐欺師や魔女達の
「スペイン墓場での対話」。
それが「墓の魚」の作品なのです。
[美]ではなく、[虚栄]や[陰]を追求し、
悪役(ヴィラン)しかいないオーケストラ。
いかがでしょうか?
嘆く社会主義者、
いつまでも起きないキリスト、
墓を掘る女・・・
世界を斜めに見る
異端の作曲家・黒実音子の作り出す
皮肉と風刺たっぷりの[魔女達の歌]と、
そのラテンの信仰の物語を
ぜひ、応援していただけますと嬉しいです。
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