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CDプレーヤーを懐かしむ
今や映像も音源も配信が主流になっており、CDやDVDなど物理メディアの売上は激減とのこと。SONYが民生用ブルーレイディスクの生産中止を発表したのも記憶に新しいです。
この「円盤はいらねえ」世の中にあっても、大切なソフトは円盤で残しておきたいと思っています。理由はまた別の機会に。
さて、世界初の民生用CDプレーヤーが発売されたのが1982年。
あの当時はメモリのバッファリング回路が実装されていなかったため、リアルタイムで如何に正確なディジタルデータを読んで吐き出すかは、ドライブ&ピックアップ系に大きく依存していたわけですよね。
かつてオーディオメーカーのメカニックが叡智を結集して開発したドライブメカニズムはとても興味深いものです。
バッファリングやエラー補正技術が飛躍的に進歩した現在、「安物の外付けディスクドライブでも十分。凝ったCDプレーヤーなんていらないじゃん」とのご意見はありましょうが、仮にそれらの技術が今や「ギミック」に過ぎないとしても、開発者たちに敬意を表して振り返りたく思います。
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優雅で美しく印象に残っているのは、SONYの光学固定式メカニズム。他のディスクドライブではレーザーピックアップがディスクの回転に追従するところ、コペルニクス転回でディスクスピンドルを追従させる設計。
ピックアップを動かすサーボの電流が信号系を乱すのを防ぐ、という理屈だったと思います。
ディスクがピックアップに対して公転するさまを透明リッドから覗けるのは楽しいものでした。
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こちらはCEC名物のベルトドライブメカ。
上記のSONYと同じくトップローディング式で、重いスタビライザーを載せて動かすもの。
特異なメカニズムですが、普通のCDプレーヤーと同じように扱えます。
音質上の利点は・・・と問われると答えづらいですね・・・。
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ティアックのVRDS-25も使っていたことがあります。
こういうメカニズムを見ると心が踊ります。
オーディオ専門誌では「かっちりした曖昧さのない緻密な音」などと評されていましたが、CDロード時の「ガチャッ」というソリッドな音からくる連想に過ぎないのでは?と思いました。
まとめ
この投稿の動機は、TEACが今もなおVRDSメカニズムのCDプレーヤーを製造販売していることを知り、それへのオマージュです。
ディジタル技術の飛躍的進歩により、凝ったドライブメカニズムが必ずしも音質向上に繋がらなくなったことは誠に皮肉です。
しかし、音の受け手である私たちの側に技術への敬意があれば、今や「ギミック」とみなされるものであっても、満足度を高めるスパイスになるのでは、と考えます。