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フランスの朝ごはんのはなし

フランス人の夫は毎朝同じものを食べる。

コーヒーとビスケット。

それだけ。

たまに前の日のバゲットが残っていると焼いて それにバターとジャムを塗って食べる。

夫にとっては普通の朝。 私にとっては不思議な朝。

「朝ごはんどうする?」と聞かれて 「いらない」と答えると 「日本人なのに?」と不思議そうな顔をされた。

日本人は朝ごはんをきちんと食べる人たち というイメージが根付いているらしい。

確かに実家では 焼き魚に味噌汁 納豆にご飯 卵焼きに煮物 お新香に海苔。

でも私は ここでは朝ごはんを食べない人になった。

どうしても朝からの「甘い」が苦手なのだ。 

週末になると 夫は焼きたてのクロワッサンを買ってくる。

「今日くらい一緒に食べよう」 そう言って誘ってくる時の顔は まるで子供のよう。

つい誘惑に負けて食べてしまう。 そして必ず後悔する。

なぜって すぐに 猛烈な眠気が襲ってくるから。

血糖値スパイク!

フランス人の同僚が 「週末の朝食は最高よ」と言う。

「ベッドの上で クロワッサンを食べるの」

私は思わず聞き返した。 「ベッドの上で?」

クロワッサンって 食べるとポロポロこぼれるのに。

さすがの夫もこれには驚きの様子

パンくずまみれのベッド。 それがフランスの週末の朝なのか?

なんて優雅な…。

そして誰が片付けるんだろう。 

なんて。

夫が日本の旅館に初めて泊まった時 朝食に焼き魚が出てきて 驚いたらしい。

「朝から魚?」

私も同じように 「朝からお菓子?」と思っている。

きっとお互い 朝ごはんに対する考え方が まったく違うんだろう。

これはお互いどーしても譲れないよね。 

今の私の朝は 水とコーヒーだけ。

シンプルな朝が 心地よい。

夫は相変わらず 甘いビスケットを食べている。

その様子を見ていると なんだかほっこりする。

これも 二つの文化が ゆっくり混ざり合って できた 私たちの朝なのかもしれない。

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