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蜂姫ヘッドドレスについて

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

今回は蜂姫ヘッドドレスについてのnoteです。
蜂柄のジャガード生地を使った少しエキゾチックでガーリーなヘッドドレスです。

以前から時々お話ししていることですが、私は生き物を見るのが好きで、昆虫も大好きです。特に色の綺麗な甲虫が好きで、以前は虫の刺繍を飾ったヘッドドレスを作っています。

大学時代の友人グループで集まると虫の話で盛り上がってしまう日もあります。蝶の標本を作るのを生き甲斐にしている人がいて、日本各地の虫取りのお土産話を聞くことができてとても楽しいです。

蜂は刺されると痛そうなので実際に遭遇した時避けていますが、映像で見るのはとても好きです。
好きなYouTubeで毎年蜂の巣作りから繁栄までを追うチャンネルがあり、数年前から楽しみに見ています。毎年さまざまなエピソード、ストーリーがあって思わず涙が出てしまう回もありました。
(寄生蛾の幼虫なども出てきます。苦手な方もいると思うので視聴は無理なさらないでください)

蜂は社会性のある生き物だと聞いていましたがそれぞれの性格にもこんなに個性があるとは驚きです。小さいからって大して意識したこともなかったことでした。(そして個体見分けるのすごい)
この方の動画を見てから蜂や虫、生き物達に対し今まで以上に親近感を感じるようになりました。

今作で使用した蜂柄の生地は一目ぼれが使用のきっかけです。フランス製のかなり高価な生地だったため出会ってからずっと悩んでいました。
ブランド内では様々なモチーフを指輪にした"petit ring"を販売しています。沢山作った中で蜂のモチーフが人気だったことから蜂のヘッドドレスを作ることを決めました。

petit rings 過去の写真です

カラーバリエーションは"グリーン"と"ブルー"の2種です。珍しく寒色のみの展開となっています。

ヘッドドレスについて

メインに個性的な柄のジャガード生地を使用しています。このヘッドドレスではデザインを生地の柄に依存することを思いっきり楽しんでみました。

ヘッドドレス自体の大きさは柄の出方を見ながら決めました。シンプルな長方形の形を選択し、装飾の色は生地に使われている色やゴールド、グレーなどのベーシックな色を選択して柄の雰囲気を邪魔しないように心掛けています。
また、一番のこだわり部分ですが生地の表面に縫い目が出ないように装飾・縁取りのレースの縫い付けや表布と裏布の縫い合わせは全て手縫いでかがっています。

「蜂のヘッドドレス作るぞ~!」と意気込んで、大まかなデザインが決まった時点で生地や候補の材料いくつかを購入。型紙を作ったり候補の飾りを当てて試していると第一の壁にぶつかりました。
蜂が一方向のため、普段通り一本の長方形に切ると一方は蜂が上向きに、もう一方は下向きになってしまいます。
この「うーん」を克服するために、柄のちょうどいいところで左右のどちらから見ても蜂が上に向かうように縫い合わせをすることにしました。継ぎ目の位置の目安はハーフアップやハーフツインテールをした時の結び目の高さよりもほんの少し上を目指しました。
実は一度完成し、マネキンに着用させた時に継ぎ目がこの"目安の高さ"よりも上すぎたので最初の型紙から作り直したという悔しいエピソードがあります。


継ぎ目はチュールフリルとレースで隠しています。レースはお花のような模様のゴールドのケミカルレースを使用しています。
チュールはプリーツ入りのもので”ブルー”は生地よりも少し明るいグレイッシュな青を選びました。レースのゴールドとトーンが近く、アイテム内に明るさを感じる部分ができました。
”グリーン”は黒を選びました。こちらはレースの模様をはっきりと目立たせてくれ、より「装飾」感が強くなったと感じています。
この飾りはまるで蜂が巣に戻っていってるようにも見えて好きなポイントです。


普段、布の折りしろは基本的にアイロンをかけて癖づけをしています。この生地はアイロンに強くなかったためロールでコロコロする道具で癖付けした後、目立たないように蜂の柄に沿って細かく縫い留めをすることで折りしろを作っています。

ヘッドドレスの周りのフリル部分も蜂柄を引き立てるために普段より控えめなものを心掛けました。
ゴールドの細かいケミカルレースはプチエクランエトワールでも何度か登場している、三角が連なったような形のものです。

Mélangeヘッドドレス(販売終了)
SNSのアイコンにもよく使っているアイテムで、この周りを囲っているレースと同じものです

先ほど書いた柄の継ぎ目を隠すために飾ったレースが少し甘めのデザインだったため、こちらのレースは甘さ控えめでバランスが取れたなと感じています。

真っ平らなヘッドドレスに対し、飾りのリボンは少しぷっくりとボリューム感があります。ミツバチのおしりのシルエットをイメージして厚みのあるリボンで作ることにしました。
このリボンはきめが細かく光沢の強いリボンです。ジャガードの手触りとは異なりつるつるとざらざらで質感のアクセントが生まれること、なによりツヤツヤの光沢を見てはちみつみたいだと感じたことから選択しました。

当初は小さいリボンを2つ上下につけて、計4つのリボンが付属する予定でした。しかし実際作ってみたときに蜂が隠れてしまう面積が多かったことからリボンを2つくっつけたダブルリボンを左右に一つずつつける現在の形になりました。

リボン中央にはクリスタルガラスとビーズで作った小さなビジューを飾りました。
ビーズ刺繍はシンプルに2周にしています。内側はブロンズっぽい細かなビーズ、外側はそれより少しだけ大きいビーズの3種のカラーを規則的に並べて縫い付けました。

カラーのものは普段使用している日本のメーカー製のビーズと異なり、チェコガラスでできたビーズを使用しています。一粒一粒の発色が綺麗で一目惚れして購入しました。
3種のビーズを順番に縫い付ける作業は頭の体操みたいで、最初の一個目を作った時は「ハァー!脳がこんがらがりそう〜」なんて独り言を言いながら行っていました。
中央のクリスタルは左右で異なる色を使用しました。"グリーン"は琥珀色と赤、"ブルー"は暗いシルバーと赤を選びました。赤はジャガードの蜂にときどき赤い胴体の蜂がいることから飾りに取り入れています。
この飾りがヘッドドレスのエキゾチック感をより強くしてくれたと思います。

左右非対称なデザインになったため、気分によって向きを選べるよう着脱はリボンで結ぶタイプにしました。
こちらのリボンは扱いやすさからグログランリボンを選択。色味はそれぞれの飾りのリボンに近い色を選びました。

アイテム名について

今作のアイテム名は作りながら決まりました。
蜂柄の生地はところどころ胴体が赤い蜂がおり、この蜂の位置をヘッドドレスのどこへくるようにするか悩んで作成しました。
私を悩ませたこの赤い蜂はもしかしたら女王蜂なのかも、と考えています。
アイテム名を考えながら「女王蜂はもういるしなぁ」と思ったのが「蜂姫」と名付けた由来です。

この生地は柄のテイストや色味に甘さのないデザインになっています。これをリボンやレースなどで少しガーリーな雰囲気に仕立てたため、女王よりも姫が似合うなと思っています。
出来上がりを見て、異国のお姫様を想像しながら写真を撮ったり説明文を書いたりしました。ゴールドベースやアクリル素材の大ぶりアクセサリーとあわせるときっと可愛いだろうなと思っています。

虫や生き物モチーフのアイテムも作るのが楽しいのでまた是非作りたいと考えています。
今回も読んでくださってありがとうございます。

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