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Blooming fin ヘッドドレスについて
Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。
今回はBlooming fin ヘッドドレスについての記事です。
生成りをベースにお花の飾り、少し落ち着いたトーンのリボン、スパンコールを飾ったヘッドドレスになります。
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名前の「fin」は軽やかなチュールのフリルからベタ(魚)のヒレを連想したことが由来で、昨年秋に発売したFallen finヘッドドレスと姉妹シリーズのように扱っています。
ベタは私が独身時代にペットとして飼っていたこともあり、今回のシリーズが増えたことによって仲間が増えたかのように感じ、より楽しく製作に取り組むことができるようになっています。
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今作のきっかけもFallen finと同じく材料への一目惚れからです。(しかもちょうどFallen finヘッドドレス計画をしながらの一目惚れという運命でした!)
独特な配色のリボン。ちょっとわかりづらいのですが透明なラインの部分に色がついていて、グリーンは赤、ブルーは黄色、オレンジは青になっています。透け感の強い部分に補色に近い色味が使われているさりげなさが気に入りました。
軽やかなのに滑らかな質感、縁取りの線は光沢がしっかりしていてとても綺麗で「どうやって使う…?」と材料屋さんへ行くたびに悩んでいました。
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数ヶ月悩んだ結果、このリボンをまずはなるべく折らずに使いたかったこと、Fallen finヘッドドレスの飾りリボンと幅がほぼ同じだったことから同じ形のヘッドドレスとして製作することにしました。
カラーバリエーションはオレンジ、ブルー、グリーンの3色。アイテム内で使用するカラーはこのリボンの特徴的な配色にならっています。
飾りのリボン
Fallen finヘッドドレスのリボンは素朴な色味でしっかりした厚さのある綿サテンを選んでいたため、少しあたたかみのあるハーフリネンの生地とリボン刺繍のお花のデザインがぴったりでした。
今回のリボンはつやのあるオーガンジーのため、素朴さやあたたかさよりも、このリボンの魅力だと思う部分の「透明感」や「軽さ」を活かせるようなアイテム・飾りにしたいと考えました。
いつものような刺繍は少しあたたかすぎるかも。いつものようなビーズ刺繍は逆に重厚感が強いのかも。いろいろ悩んだ結果スパンコールをメインに使用することにしました。
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それぞれのリボンに使われている色のスパンコール(4弁花と亀甲型)、白い大きめの亀甲、同じく白い大きめの5弁花を使用しました。全てフランス製とのことで、作りながらテンションが上がります。
買い出し時はウキウキしながら選んでいたのですが、スパンコールだけで9千円近く買ってしまったので帰りは足取りが軽いんだか重いんだかよくわからなくなったという裏話もあります。
スパンコールと共にいつもの小さなグラスビーズを合わせています。
リボンのメインカラー・サブカラーに対応したものと、白いスパンコールに近い色味の白色ビーズ。全部いくつか前の記事で好きなように語ったトーホーさんのビーズです。
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スパンコールとビーズ刺繡のデザインはピンセットで実際に置いてみて、色の割合や大きさのバランスを見ながら決定していきました。
何かを意識したわけではなく、お花のスパンコールを中央に配置して縦横斜めのどこで切っても対照になるようにしたいと考えてこの配置になりました。ちょっといいホテルのロビーのふわふわした絨毯みたいな床の模様にありそうだなと思います。
4隅に当たる部分にはカラーの亀甲スパンコールの上に同色のカラービーズを乗せているのですが、光の反射によってうるうる・ちゅるんと見えるのが個人的なときめきポイントです。
今回も刺繍部分がコロンと可愛く目立つくるみボタン型で作っています。スパンコールを縫い付ける生地はサテンやシャンタン生地も候補にありましたが、飾りが浮かないように、スパンコールの模様がなるべく目立つように、と考えて気合いでこのリボンを下地にしました。
やり方はちょっと企業秘密なのですが、手芸の”作り”の部分では久しぶりに試行錯誤した部分でした。
リボンの模様の横線に対し、くるみボタンは90度回転して線の模様が直角に交わるようにしました。十字や四角に見えるスパンコールのモチーフと合わせてこうなっています。
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目立たない部分の色を考えるのもやっぱり楽しいです。
くるみボタンの周りはFallen finと同じくチェコビーズで囲んでいます。こういうビーズの囲み作業をする際には私はフェルトを下地にして縫い付けることが殆どです。色や発色を大切にしたいと考えていて、しっかり厚みのあるフェルトをはさむことでビーズの色味がはっきり見えるようになるためです。
今回は発色よりももっと「透明感」を大切にしたいと考えているため、リボンに直接ビーズを縫い付けることにしました。くるみボタンにした時のようなテクニックは必要ありませんでしたが、薄いリボンにビーズを縫い付ける作業は緊張してちょっと変なところの筋肉が鍛えられそうです。
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いつものようにリボンにはブローチピンをつけています。
薄いリボンに折り目がついた時はリボンを取り外し、裏側からスチームアイロン(弱)の蒸気を当てて指で整えると綺麗な形が復活しやすくなります。
(スパンコールにアイロンが直接当たると熱で溶けるおそれがあるので裏側からが良いです。芯を入れようか迷ったのですが、この薄さが美しさの1要素だと思ったのでこのまま素のまま使っています)
ヘッドドレス本体
リボンの好きなところを活かした、透明感や軽さを感じる飾りができました。この魅力を引き立てるためにヘッドドレス本体は3色ともベーシックカラーの生成りをベースに作っています。
スパンコールがホワイトなので統一感を出すための白と迷ったのですが、落ち着いたトーンの少し冷たさを感じるリボン飾りと明るくて少しあたたかみを感じる生成りを組み合わせることでアイテム内に明度や温度感のギャップが生まれ、メリハリが生まれると考えたためです。
メインの布はFallen finでも使用したものと同じ、ナチュラルな風合いが魅力のハーフリネンを使用しています。
この上からレース生地を重ね、ナチュラルだけどクラシカル・エレガントの要素を強めています。
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実は当初はカラバリごとに使用するレースを変えようと企画していたのですが、このレース生地があまりに気に入りすぎて全部に使う事にしました。そしてまた出番がないかな、と考え続けています。
フリルもFallen finとものとほぼ同じでチュールのプリーツのフリルをぐるっと付けています。リボンやレースで軽い素材感の材料を選んでいるため、全体の印象が軽くなりすぎないよう2段になったフリルを選んでいます。細かいドット柄がアイテムに可愛らしさを足してくれています。
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レース生地とフリルの境目は今作でもお花のテープを縫い付けています。それぞれのカラーに対応するような色のものを選んでおり、このお花のおかげでアイテムが一気に華やかになりました。
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テープの端っこの切れ目がぱっと見でわからないように頑張る作業が好きで、腕組みするように交差させて縫い留めています。毎回「今回もよくできた!」と自画自賛しながら次の作業へ移っています。
着脱は今回もクリップタイプ。今回は春夏に使うケースが多いのではと考えたことからもちょうどいいなと思います。
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さいごに
以前からの発信と重複してしまいますが、10代の頃のロリィタ初心者の頃の私はヘッドドレスというアイテムに憧れながらもなかなかつけることができませんでした。華やかなヘッドドレスを自分がつけるには手持ちの勇気が足りてなかったのでした。大人になってロリィタを再度着るようになり、ブランド活動を始めながらやっとちゃんと"ヘドレデビュー"をしました。
人生なんだか後悔だらけ、でもおしゃれ人生くらいは後悔したくないなと思って作りはじめたのがヘッドドレス。そして過去の私のような憧れに挑戦するか迷っている方に小さなきっかけを作りたいと考えたことから現在のコンセプト「ちょっと控えめなヘッドドレス・気分が上がる小さな小さなドレス」が生まれました。
今回のものはプチエクランエトワールのヘッドドレスにしてはかなり華やかな仕上がりとなりました。ちょっと勇気がいる方の部類かも、なんて思ったりしています。
今までの活動でもし誰かに追い風をふかせることが叶ったのなら、一緒にさらにもう一歩先へ進むことができたなら、それはとてもとても幸せなことだろうな、と思ったことからこのままリリースすることにしました。
今回も読んでくださりありがとうございました。