「幸先がいいね」と彼女は言った
私はビニール傘が好きだ。
安いし、大きい。
なにより透明で見通しがよく、雨の日でも視界が明るい。
「幸先いいじゃん!」という、彼女の口癖を思い出す。
彼女とは私の幼馴染で、私にはない発想と、粘り強さと、明るさを持っていた。
なにか悲しいことが起きて、彼女に相談したとき、彼女はうんうんと聞いて
「確かにそれは悲しいな。でも、あの子がそういうことに怒る子やってわかったやん。見通しがよくなったし、なんなら幸先いいって。」
視野が狭かったあの頃には、彼女の慰めはうまく理解できなかったが、今ならわかる。
社会には多くの人間がいて、性格も違い、合う合わないが明らかに存在する。
その人が自分と合わないなとわかったり、そういう性格なんだなとわかることは、今後の人づきあいの見通しがたって、生きやすさに一歩近づいたね、幸先いいね、とこういうことなのだ。
今でも人間関係について悩んだ時には、彼女の言葉を思い出す。
今日も視界は良好、幸先の良い人生を。
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