音楽って難しいなと思った

昨日サカナクションのライブツアー、「SAKANAQUARIUM 2019 (834.194) 6.1ch Sound Around Arena Session」の大阪城ホール2日目に行った。

サカナクションのことは、「バッハの旋律を夜に聴いたせいです。」を演奏する彼らがMステに出ていて、それをみて初めて存在を知って一気に好きになった。今調べてみたら2011年の話なのか。今が2019年だから、もう8年前になるのか。8年前って私は、ギリギリ中学生だった。指折り数えてみてびっくりした。

まぁそんな頃からサカナクションのことは好きで、けれど最近はそうでもなくて、新曲を特に追いかけることもなく、サカナクション好きの友人が「一郎さんが〜」と話すのをうんうんと聞いていた。

サカナクションの比較的昔の音楽は、夜に似合うものがとても多いと私は思っていて、眠れない時に、WALKMANの音量を1にして、目をつぶって聞くことがたまにあった。それが私の中のサカナクションの一番綺麗で鮮明な思い出だった。

サカナクション好きの友人がファンクラブに入っているため、一緒にチケットを取ってくれた。ファンクラブにでも入らないとチケットを取るのが難しいアーティストのライブは、やっぱりチケットが手に入るタイミングに行くべきだと思うし、今回は友人に感謝して行くことにした。最近のサカナクションあんまり知らないけどなぁ、と思いながら。

大学の実習があって、とてもギリギリになってしまったけれど、なんとか開演前に着くことができた。

ライブが始まって、オープニングの後は「アルクアラウンド。」
あ、ごめんなさい、ネタバレになってしまうかも。曲名を書くのはこれくらいなので許してほしい。

アルクアラウンドは昔から好きで、特に大好きというわけではないけれど、聴けてよかった。歌詞がグイグイ入ってきて、

「悩んで 僕らはまた知らない場所を知るようになる 疲れを忘れて」

という歌詞に、あぁと思って少し涙ぐんだ。歩き出したり歩き続けたりすることはいつも怖くて、でも本質にあるものはきっと明るい、と思って泣いた。多分。

その後からは正直あまり覚えていないのだ。サカナクションは演出にとてもこだわりを持っていて、満員御礼のライブをしても大赤字になるという話を聞いたことがあったけれど、それも納得ですわ、と思うようなライブだった。煙でできたシャボン玉なんかも出てきた。レーザーに届いていた手は、赤く染まって綺麗だった。

なんというか、私としては音楽というより芸術であった。
芸術、アート、アトラクション、アドベンチャーみたいな、そういう言葉がしっくり来るような夜だった。

もちろんとても楽しかった。

とても自由に体を動かして、光の集まるステージに手を伸ばして、妖艶なベースやザクザクしたギターに歓声をあげて。

すごく楽しかったんだけれど、なんだか残っていない。

もちろん最近のサカナクションの音楽をきちんと追えていなかったから、なんとなくフレーズを知っていてノレても、どの曲か判別できずに、覚えられなかったということはとても考えられる。

飛び跳ねて、乳酸が溜まったふくらはぎに意識を持っていかれそうになりながら、帰り道にぼんやりと考えていた。

今の私はサカナクションのライブを十分に最高に楽しめるわけではなかったのかな。もっと最近の曲をちゃんと聞いてから行くべきだったのかな。

うーんうんと考えていたら、ある言葉を思い出した。一郎さんが言っていた言葉で、踊りながらも沁みるという言葉。サカナクションが目指す音楽らしい。

よくよく考えたら、私にとってサカナクションは沁みる音楽だ。

ライブでは踊れたけれど、それはただその場の雰囲気の中で踊りたかっただけで、違ったんだな。
心から、このライブで、踊りたいんじゃなくて、私は私の心に沁みた音楽に染み込むように聴きたかったのかな。

でも一郎さんは何度も「まだ踊れる?」「新曲だけど踊れる?」と問いかけてくれて、私たちはそれに歓声で答えて、十分に体を揺らして踊ったけれど、私はそうしたかったんじゃないのかも。違ったのかも。

音楽を楽しむことって、すごく難しいのかもしれない、と思った。
今の自分がどんな風に音楽に向き合いたいのか、瞬時に知ることは難しい。

ライブで全く体を動かさない人、手を振らない人、拍手すらしない人をみてはなんとなく嫌な気持ちになっていたけれど、そんな風に思っていた自分を恥じた。恥ずかしい。

今まで私、ライブに行って目の前で作られていく音楽にちゃんと向き合っていなかったのかもしれない。

それは素晴らしく、観客のことを考えて設計されたライブだからこそ、こんな風に、ちゃんと自分が心から求めているものに向き合う気持ちになったんだろう。

サカナクションのライブに行く人、もしくはすでに行った人がもしこの文章を読んでくださっていて、気を悪くされたなら申し訳ない。

サカナクションのライブは、完璧に近くて、というか完璧を追い求めて走っているようなライブで、ものすごかった。そんな中で、今までちゃんとライブに向き合っていなかった私の反省文です。

サカナクションの音楽が大好きです。


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ぺちこ
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