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ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患 その2 ストルバイト結石
はじめに
前回の「ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患 その1」では、ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患の概要や、下部尿路疾患の症状などについて解説しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1698914582335-ytguJymE2z.jpg?width=1200)
今回は、ねこさん・わんちゃんの尿路結石の中で、よくみられる結石について、ちょっと詳しく解説します。
ねこさん・わんちゃんでよくみられる結石は、「ストルバイト結石」と「シュウ酸カルシウム結石」の2種類です。
この2種類の結石は、いろいろな性質が真逆と言ってもいいくらい違うため、どちらか一方の結石の対策をしすぎると、もう一方の結石ができやすくなることがあるため注意が必要です。
今回は、この2種類の結石のうち「ストルバイト結石」についてお話します。
pH について
ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石について解説するときに、どうしても避けて通ることができないのが「 pH 」のお話です。
そこでまず pH について、できるだけ簡単に解説しておきます。
みなさんは「 pH 」を何と読みましたか?
「ペーハー」と読んだ人が多いのではないかと思います。
僕もそう習いました。
でも近ごろは「ピーエイチ」に統一されています。
「pH」を「ペーハー」と読むと、何かしら「ペーハー」なるものがあるように思ってしまいますが、そうではありません。
「ピーエイチ」と読むにしても、本当は「ピー・エイチ」と分けて読んだほうが「pH」の内容をより正しく表わしています。
化学の世界では、p〇という表現がよく出てきます。
小文字の p は一般的に「〇についての指数(基準になるものに対しての値)」を表します。
つまり「pH」というのは「Hについての指数」という意味です。
ですから、何かしら「ペーハー」や「ピーエイチ」というものがあるわけではなく、単なる記号です。
じつは「ペーハー」は pH をドイツ語で発音したものです。
このような学術用語は国際的に英語に統一されるようになったので、日本でも英語読みの「ピーエイチ」に統一されたのでした。
意外にも、読み方が「ピーエイチ」に統一されたのは1957年(昭和32年)と、けっこう前のことのようです。(※)
ただ、理科の教科書の表記がすべて「ピーエイチ」になったのは2012年のことだそうです。(※※)
※※ https://otonanswer.jp/post/77553/ を参照
読み方はともかくとして、 pH は何を表しているのでしょうか。
pH は液体が酸性なのか、アルカリ性なのか、そのどちらでもない中性なのかを0~14の数字で表したものです。
まず、ちょうど真ん中の7が中性です。
そして7よりも数字が小さければ酸性で、数字が小さくなるほど酸性が強くなります。
逆に7よりも数字が大きければアルカリ性で、数字が大きくなるほどアルカリ性が強くなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1698949544613-5vzG18QXsv.jpg?width=1200)
では、 pH の値は何によって決まるのでしょうか?
まずは何かよくわからなくても、「酸性の素」があると思ってください。
「酸性の素」が多くなれば酸性になるし、「酸性の素」が少なくなればアルカリ性になります。
簡単ですね。
で、その「酸性の素」の正体が「水素イオン」です。
酸性の素である水素イオンが多くなると酸性になって、水素イオンが少なくなるとアルカリ性になります。
ところで、水素の元素記号は「H」ですよね。
だから「 pH 」を「水素イオン指数」あるいは「水素イオン濃度指数」といいます。
「〇〇イオン」というのは、「〇〇が水に溶けた状態のもの」くらいに思っておいてください。
ですから「水素イオン」というのは、「水素が水に溶けた状態のもの」だと思ってもらえば大丈夫です。
「酸性の素である水素イオンが多くなれば酸性になる」というのはいいとしても、「じゃあなぜ、水素イオンが多くなると pH の数字は小さくなるんだ?」と思われるかもしれません。
これを説明してもきっと幸せにはなりませんから、ここはひとつ、「そういうもん」だと思っておいてください。
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