ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患 その1
はじめに
今回は、ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患について解説します。
下部尿路疾患は、ねこさんでは品種を問わず非常によくみられる病気で、わんちゃんでも比較的多くみられます。
わんちゃんの中では小型の品種に多くみられ、とくにミニチュア シュナウザーさんは下部尿路疾患になりやすい犬種として知られています。
また、ねこさんの下部尿路疾患はフードとの関係が深く、治療にも多くの場合で療法食が使われます。
逆に言うと、普段の食事を工夫することで、ある程度は予防できる病気でもあります。
ねこさん・わんちゃんの下部尿路疾患がどんな病気なのか、食事ではどんなことを気をつければよいかについて、数回にわたって解説してきます。
下部尿路疾患とは
まず尿路とは、おしっこが作られてから捨てられるまでの経路のことで、腎臓・尿管・膀胱・尿道が含まれます。
このうち、腎臓・尿管を上部尿路、膀胱・尿道を下部尿路とよびます。
下部尿路疾患は、名前のとおり、この下部尿路、つまり膀胱・尿道におこる病気の総称です。
具体的には、膀胱炎・膀胱結石・尿道結石・尿道閉塞などです。
下部尿路疾患の症状
下部尿路疾患になると、下のチェックシートにあるような症状があらわれます。
上のチェックシート1~4の症状がみられる場合は、尿道がふさがっておしっこが出ない「尿道閉塞」をおこしている(あるいは、おこしかけている)可能性が高く、非常に危険な状態です。
この状態が続くと、腎臓が障害を受けて急性腎不全に陥る恐れがあり命にかかわります。
チェックシート3の「下腹部に固いかたまりがある」というのは、膀胱がパンパンになっている状態です。
むやみに押したりすると、最悪の場合、膀胱が破裂する恐れもありますので、気になっても決して押したりはしないようにしてください。
1~4の症状に加えて、元気・食欲がない、吐くなどの症状がみられるようだと、すでに急性腎不全に陥っている可能性があり、極めて危険な状態です。
すぐに動物病院に連れていってあげてください。
チェックシート5は、おしっこが出にくくなっている可能性が高く、できるだけ早く動物病院に連れていってあげましょう。
チェックシート6~10は下部尿路で炎症がおきている可能性があります。
チェックシート11は、おしっこにミネラルの結晶が混じっている状態です。
元気や食欲があっても、なるべく早く動物病院に連れていくようにしてください。
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ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師のペットフード講座
2頭のねこさんと暮らす、ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が、ねこさん、わんちゃんの健康と栄養学、ペットフードの本当の中身について、…
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