「ペットフードにはヤバイ原材料が使われている?」 ペットフードの都市伝説 その1
はじめに
ペットフード選びに迷ったときなどにネットやSNSでペットフードについて調べてみると、ウソか本当かわからない怖い話に出会うことがあります。
そんな、ちまたにあふれるペットフードについての真偽があやしい噂話のようなものを、僕は「ペットフードの都市伝説」とよんでいます。
このような情報にふれた飼い主さんの中には不安を感じる人も少なくないだろうと思います。
そこでこれから、ときどき「ペットフードの都市伝説」について解説します。
中にはどうしても断言できないこともあるのですが、ペットフードに対するみなさんの不安をできるかぎり取り除くことができるように努めていきます。
参考のためにこちらの記事もぜひご覧ください
・「ペットフードの都市伝説」を語る前に 「正しい」とはどういうことか
ペットフードには「ヤバイ原材料が使われている!」って本当?
「ヒトの食品と違ってペットフードを規制する法律がないので、ペットフードにはヤバイ原材料が使われている!」といったような話をみたり聞いたりしたことはありませんか?
これは昔からある都市伝説です。
とくに「ペットフードには、病気でしんでしまった動物の肉など(4Dミート)が使われている!」といった話をよく見聞きします。
「実際のところどうなの?」と気になっている人もいるのではないでしょうか。
ペットフードに長年たずさわってきた者として、これは「間違っています」とはっきり言っておきます。
そんな怪しい肉は法律上、ペットフードの原材料には使えません。
それをこれから詳しく解説していきますね。
まず、ペットフードを規制する法律はいくつもあって、きちんと安全性について配慮されています。
そのひとつである「ペットフード安全法」という法律の名前を聞いたことがある人は多いと思います。正式には「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」という名前の農林水産省と環境省が共管する法律です。
その第一条にこの法律の目的が書かれています。
法律というのは、わざとかどうかは知りませんが、とにかくわかりにくく書かれているもので、これも一読しただけではピンとこないかもしれません。
ここに書かれている「愛がん動物用飼料」というのが「ペットフード」のことです。
つまりこれを日本語(?)にすると、「ペットフードの製造方法を規制して、ペットフードの安全性を確保することで、ペットの健康を守り、動物愛護に役立てることがこの法律の目的です。」ということです。
そして第七条には次のことが書かれています。
ここには「有害な物質を含み、又はその疑いがある」ペットフード、あるいは「病原微生物により汚染され、又はその疑いがある」ペットフードは「製造、輸入又は販売を禁止することができる」と書かれています。
病気でしんでしまった動物の肉などは、有害な物質を含んでいたり、病原微生物に汚染されていたりすると断定することはできませんが、すくなくともその疑いはありますから、法律上ペットフードの原材料として使うことができません。
さらに2として、この法律にふれるようなことがあった場合は、そのことを公表することも義務付けられています。
つまり、この法律に違反した場合、俗に言う「闇から闇に葬られる」こともない、ということです。
ペットフード安全法について、飼い主さん向けにわかりやすく解説した資料もありますので、気になる人は一度ご覧になってみてください。
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2頭のねこさんと暮らす、ペットフード会社に25年以上勤めた獣医師が、ねこさん、わんちゃんの健康と栄養学、ペットフードの本当の中身について、…
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