世界のスタートアップスタジオ事例(1) prehype | ペット向けD2Cブランド「Bark」を創業
おそらく日本で最も海外のスタートアップスタジオをスタディしている筆者。日々メモっている各社のトピックや特徴に関して皆さんと共有していく「世界のスタートアップスタジオ事例」シリーズです。今回はprehype。
prehype
筆者が最も好きなスタジオ。NYを本拠地とし、サンフランシスコ、ロンドン、コペンハーゲンにも拠点があります。
理由はNY出張前にスタジオに関わるいろんな人に会ってみたいと思いLinkedInの有料契約をしてコールドメイルを送っていたところ、創業者のHenrikが快く引き受けてくれてオフィス案内など快く調整してくれたからという極めて個人的且つ主観的なものが一部。残念ながら当日は彼は出張で不在になってしまいましたが、他のパートナー2人が対応してくれて意見交換をしました。その後は日本に遊びに来てくれたり飲みに行ったりと交流が続いています。
ちなみに最近Henrikがスタートアップスタジオに関する書籍「The Acorn Method」(読了。内容としてはコーポレートイノベーションに関して知見を溜めたい人向け)を出版したので興味ある方はぜひ。
驚異的なペット向けD2C「Bark」ブランド
前置き長くなりました。個人的且つ主観的なものと表現しましたが実態も特筆すべきです。何よりのトラックレコードはPrehypeが創業した「Bark」(Barkの分析だけでめちゃくちゃおもしろいので追って共有しようと思います)。犬向けのD2Cサブスクリプション「BarkBox」が主力事業です。2011年のスピンオフから急成長を遂げ、FY2019で定期購買者は驚異の135,000人、ARRは$250M(予測)というお化けサービス。インスタのフォロワー数も166万人という数字を見ればそのファンの多さは驚異的です。他にも犬用ガムの「Super Chewer」、オーラルケアの「Bright」、パーソナライズフードの「BarkEats」などを展開しており北米のペットD2Cブランドの先駆者であり、代表格です。
Barkはオフィスも素敵
PrehypeのNYオフィスはチャイナタウンの近くにありペットフレンドリーな素敵な空間でしたが、オハイオにあるBarkのオフィスもこんな感じで同様に素敵です。
Barkは上場間近というニュースも見聞きするので、今後日本での知名度も増すと思います。
大企業へのExit、大企業との共同事業
ウェブで彼らの実績を見てもらうとわかりますがAmazonやFacebookやMicrosoft等大企業へ数多くのExit経験があり、また、大企業との共同事業にも取り組んでいます(Dow Jones、LEGO、Coca-Cola、GE、他)。自社事業のみ展開するスタートアップスタジオもありますが、最近はエンタープライズやSMBsと共同事業を推進するスタジオが増えている印象です。スタートアップスタジオという手法が世界に浸透してきている証左でしょう。
アントレプレナーシップ教育
彼らの哲学や成功モデルを体系化して、企業のマネジメント層向けに、そして、大学生向けに、教育機会を積極的に提供しているのもPrehypeの特長です。「Applied Entrepreneurship」と銘打っており、日本語だと「応用起業学」みたいな感じでしょうか。一定の成功体験を積み重ねたシリアルアントレプレナーは後進の教育へという流れはどこも同じですね。
ビジネスケースの題材にも
PrehypeはスペインのビジネススクールIESE監修のCaseの題材「Start-Up as a Service: The Prehype Model」にも登場しているので興味ある方は購入して分析されると良いかもしれません。
NYの起業家エコシステムの活用
PrehypeはNYでの起業家コミュニティに深く入りこんでいて、EiR(Entrepreneur in Residence)が有効に活用できるため、Prehypeの社員は0人と聞いて驚きました。驚きつつ、起業家であれそれを支えるエンジニアやデザイナー等のスタジオメンバーであれ、優秀な人は仕事を掛け持つものなので、もうこの時代には自然な流れなのかもしれませんね。
と、こんな感じで次からも紹介していきます。