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海外ペットテック スタートアップニュースまとめ#16(D2CドッグフードJinx)
海外のペットテック、ペットに関連するスタートアップやビジネストレンド、新サービス等々に関する最近のニュースをまとめてご紹介していくシリーズ。早速みていきましょう。
D2CペットフードJinxが"Text-to-Buy"での販売を開始
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Text-to-Buyとは
・2019年に設立されペット向けDigitally-Nativeスタートアップとして、サブスクリプション型のD2Cペットフードを手がけるJinxが「Text-to-Buy」での販売を開始。Text-to-Buyとは読んで字のごとくですが、既に人向けのさまざまな商品で展開されているようにオンラインでもアプリでもなく、スマホのテキストメッセージ(SMS)で商品を購入できる、パーソナライズされた顧客体験のこと。手軽でスピーディーですよね。ブランドとしても顧客と直に触れ合えてフィードバックも得られそうなので、若い世代向けの顧客体験としては合点がいきます。
・Text-to-Buyの今回のロンチ時点では購買体験が円滑に完結する基本的な機能のみを実装しているようですが(発送日や到着日時の案内、追加購入の確認、定期購買を中止の確認等)、順次アップデイト予定とのこと。
既存投資家とのシステム共同開発
・この取り組みの特徴的な点として、このText-to-Buyプラットフォームは、Jinx設立時から出資を行っているVCのInitialized Capitalとの共同開発であるということ。多様なD2Cブランドの支援に携わってきたInitialized CapitalパートナーのOhanianも「I’ve spent a lot of time looking at the DTC e-commerce space and as a product-builder my whole career, realized I could build a better system for all the companies in our portfolio and that there’d be no better partner to launch it than Jinx, who have consistently been at the cutting edge of the industry. 」と言及しているように、彼らの投資先ポートフォリオでも応用出来うるシステムをロンチさせる最善の投資先/共同開発パートナーがJinxであったと。それだけJinxにかける期待が高いということですね。
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Jinxの特徴
Jinxは特徴的なスタートアップなので簡単に紹介しておきましょう。創業メンバーの3人は、人向けのマットレスD2Cブランドで成功しているCasperのメンバー。旧態依然としてディスラプション機会豊富なペット産業で新たなビジネスを仕掛けようとJinxを共同設立。初期の投資家は話題性抜群で、 著名なD2Cブランドを支援してきたVCの他にも、エンジェル投資家として俳優のWill Smith(あの実写アラジンのジーニーのウィルスミス)、元NFLスター選手のMichael Strahan、Youtuber元世界最高収入のLilly Singhらも入っています。
現在展開している主な商品は以下のような犬向けのカリカリやトリーツ。原材料にこだわっているブランド。
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コロナ禍でのJinx
Jinxは設立以来、毎月40-100%の成長継続、定期購買者は全体の66%という状況のようですが、コロナもあり事業環境が目まぐるしく変化する中で、先月には大手ECのPetcoで販売することも決定(D2CペットブランドがオンラインのPetcoで販売するのは初ということ)。マーケティングプランも当初計画より大幅に変更しているようで、Uberが買収し話題になったオンラインフードデリバリーのPostmatesを活用したり、ホームワークアウトを展開するBarry'sと共同キャンペーンを実施したり、等々。
アメリカではコロナ禍においてペットにかける支出が過去最高の$99bn(10兆円強)に達する予測が報道されていましたが、D2Cでの成功体験やデジタルに強みのある彼らにとってはチャンスのようです。