ペットxスタートアップ海外事例 D2Cサブスクおもちゃ「BarkBox バークボックス」
海外のペットテック、ペットに関連するスタートアップやビジネストレンド、新サービス等々に関する最近のニュースをまとめてご紹介していくシリーズ。2020年12月16日付で大きなニュースが飛び込んできました。
BarkBoxがSPACであるNorthern Star Acquisition Corpとの合併に合意、2021年に上場予定。
最も成功しているペットスタートアップの一社、最も成功しているD2Cスタートアップの一社、と言って差し支えないでしょう、「BarkBox」の上場に関してです。上場間近と言われていましたがようやく情報開示されました。アメリカにおける上場の手法として急増しているSPAC(Special Purpose Acquisition Company = 特別目的買収会社)との合併を通じた上場のようです。日本では馴染みのない手法なので後ほど少し説明します。BarkBoxについては過去にも簡単に説明しているので以下も併せてご確認いただければ。
BarkBoxの会社概要
"The World's Most Dog-Centric Company"(世界で最も犬中心の会社!)と称されるBarkBoxの会社概要は以下です。補足として、BarkBoxは犬に特化するために猫を含む他の動物向けの商品は展開していないのと、ちなみに「Bark」とは犬の吠え声のことです。
私は2017年にニューヨークのオフィス(チャイナタウンの近く)に訪問したことがありますが、Dog-Friendlyで犬に関するいろんなギミックも効いていて、とても素敵な空間がデザインされていました。
Barkブランド
BarkBoxはBarkが展開する複数ブランドの一つで(他にはオーラルケアやパーソナライズフード等がある)、定額課金/サブスクリプション型で毎月のテーマに沿っておもちゃ・トリーツ・ガム等が定期発送される商品。契約期間によって異なりますが一月あたりの金額は$35。現在はスヌーピーとタイアップしたクリスマス仕様になっている様子。もともとECのみでしたが現在はオムニチャネルでの展開を重視しておりamazonや、また、Target・Petco・PetSmart・Costcoを含む23,000以上の小売店舗でも販売を行っています。単純なD2Cブランドの領域は超えています。
数字でみる現在のBarkBox
以下のように大成功を遂げているブランド、スタートアップです。
・2012年の創業から8期目。
・今回の合併時における企業価値は$1.6B(=約1,660億円)。
・定期購買者は去年から58%増加して2020年12月現在で約100万人。
・売上は2021年3月期で$365M(=約375億円)の見込み。
・粗利率は約60%(Chewyは25%なのでかなりの高水準)。
上場後の海外展開
BarkBoxは上場後には海外展開によるグローバルブランド化を目指しているよう。それを見越して2020年9月にはManish JonejaがCEOに就任しています。彼はAmazonでグローバル展開を率いていた人物。報道をみる限り、BarkBoxの海外市場展開はまずAmazonを活用して各地域の需要を観察することから始める様子。その後にD2Cのサブスクで売っていくと。そのうち日本のAmazonでもBarkBoxが購入できるようになるのだと思います。
SPACとは
従来型のIPOに対する批判が渦巻く中で、代替手段として最近脚光を浴びているSPAC。英語だと「blank-check company」と呼んだりします。要はただの箱。ググってもらうと早いのですが、要はざっくり、先に箱(事業を行っておらず買収することを目的にしたSPC)だけ上場させて、その箱が有力な未公開企業を買収/合併して、結果としてその未公開企業が上場する、というものです。日本ではまだ認められていないスキーム。以下に今回の事実が書かれているForm 8-K(日本でいう取引所の適時開示資料/当局向けの臨時報告書のようなもの)の一部を抜粋して掲載しておきます。
以下チャートの通り2020年はSPACを介したIPOは急増した1年でした。
ちょうど最近ソフトバンクグループもSPACを活用することが報道されていました。日経の記事は以下の通り。
個人的には共同創業者の一人を知っているので、BarkBoxの今後の展開にも引き続き目が離せません!
(参考記事)