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世界のペット市場 データ/ファクト/トレンド1/4(増加するペットとその背景)

ペット市場でビジネスをするにあたり、そもそも今の世界のペット市場ってどうなってるんだっけ、ざっくり把握したいんだけどな。そんなあなたに。全4回で紹介します。今回は1回目。

Global State of Pet Care」を出典として現在の世界のペット市場のデータやトレンドがどうなっているかを見ていきましょう。ベルギーに拠点を置くHealth for Animalsが発行したレポートです。

国別の飼育ペットの頭数 

要点

・世界で飼われているペットは数十億(正確な数値を測ることは無理なので参考値)。
・ペット文化が発達している米国、ブラジル、EU、中国の世帯だけで5億以上の犬や猫が飼われている。
・世界の世帯の半数以上が家庭でペットを飼っていると推定される(犬は1/3、猫は1/4の世帯で飼育しているというのが概算値)。
・ペットの飼育率は世界的に上昇しており、特にミレニアル世代(2000年以降に社会に出た世代。20代後半〜30代前半)の世帯が飼育を加速させている。この背景にあるのは、小家族化、晩婚化。
・新興国においては、中産階級の拡大がペット人口の増加を牽引。

<主要国のペット飼育頭数。犬猫別>

どのぐらいの人がペットを飼育しているのか

市場としてはアメリカと中国がペット大国と言える(EUには複数国含まれるのでいったん除外)。アメリカにおけるペット飼育世帯は、2016年には68%、そして、パンデミックを経て2021年では70%に増加。

飼育ペット頭数 / EU, China, USA

<その他の国の飼育頭数>

ブラジルが、犬と猫ともにアメリカと中国に続く。メキシコも多い。猫に関してはイメージ通り?ロシアが4番手。

飼育ペット頭数 / 国別

ペットの頭数が増加し続ける背景

なぜペットを飼う人が増えているのか、に対する回答はこう。

なぜペット飼育者が増えるのか?

・人口動態の変化、所得水準の向上、それらによる中産階級の人口増加(主要市場における可処分所得の増加)、そして最近ではパンデミックによる生活様式の変化が、ペット飼育者の増加につながっている。
・ペットの飼育は可処分所得と大きく関係している。そのため、アジア諸国や東欧のような今後の成長が加速する国では、ペット飼育がさらに増加する。そしてペットと共に暮らす文化が形成される。
・英国ではパンデミック期間中に200万人以上がペットを飼い、また、オーストラリアではパンデミックの最盛期に100万匹以上のペットが新たに飼われ出した。
・中国のペットは2014年から2019年の間に113%増加したが、これは飼育制限の緩和と出生率の低下と重なる。
・ペットは、単身世帯、子供のいない家庭、子供が成長して実家を離れた夫婦にとって、ますます重要な役割を果たすようになっている。

パンデミック下で増加するペット飼育

ペット飼育を加速させているのはどの世代か

・ペット飼育の動向は、世界的な人口動態の変化と密接に関係している。
・20代前半から30代後半のミレニアル世代は、晩婚化、在宅勤務、ハイブリッド勤務、高収入・高学歴化が進んでおり、これがペット飼育者数がさせている。
・米国では、ミレニアル世代がペット飼育者全体の1/3を占め、全世代の中で最大の割合を占めている。
・ミレニアル世代の夫婦は、初めて自分の意思でペットを飼う層である。子供を持つ前にペットを飼うことが親になるための練習台と考えていることも多い。
・ミレニアル世代よりも若いZ世代は、その若い年齢にもかかわらず、ペットを所有する層が増加しており(米国では14%)、ペットブームをさらに加速させる可能性がある。
・中国の都市部で飼われている犬や猫の半数は、1990年代に生まれた人々によるものである。
・英国では、ミレニアル世代の35%がペットを飼っているか、近い将来に飼う予定であると報告している。
・高齢者層は、コンパニオンアニマルがもたらす交友関係や健康上のメリットを求めてペットを飼う傾向が強まっている。

ミレニアル世代のペット飼育の増加

ペット増加に伴い顕在化する課題

・より多くの人々がペットがもたらす恩恵を認識し、享受しているが、同時に動物の健康問題に直面する。
・ペットが増えるということは、獣医を含め専門的なケアの必要性が高まるということ。最近の91カ国を対象にした調査では、動物病院の約半数が診療件数の増加を報告している。
・ペットの増加は獣医師とその診療所により大きな負担をかけることになり、最近の調査では、獣医師の精神衛生に大きな打撃を与えていることが示されている。
・需要の高まりは、供給を増やすために無責任な繁殖を行う危険性も生み出す。
・ペットの遺棄もまた継続的な課題。米国では毎年800万匹もの動物がシェルターに保護されている。

特にアメリカで深刻な問題となっている獣医師の不足と過労
コロナ禍でシェルターでの保護犬が急増

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