歌手や俳優など世界的スターや人気アスリートが出資するペットテックスタートアップ
海外ではセレブリティによるペットテックスタートアップへの投資も盛んです。日本でもたまにエンジェル投資家として誰々が参画したという事例も見かけますが、海外の著名人の方が投資やビジネスには関心が高いように思います。例えば、テニス選手のアンディ・マレーやセレーナ・ウィリアムズ、俳優のレオナルド・ディカプリオ、歌手のマドンナやNas等々、投資家としての活動も世間を賑わしています。そこで今回はペットテックスタートアップにおける"Celebrity-Backed startups"を紹介します。
Sia(シーア) x Bond Pet Foods
世界的なセレブリティ、グラミー歌手であるシーアが投資家兼アドバイザーとして関わるのは、Bond Pet Foods。
Bond Pet Foodsはペットフードやその原材料を提供するスタートアップ。具体的には酵母の技術を活用して代替タンパク質を開発。少し前までは自らがオリジナルのフードブランドを開発して製造販売しようとして実際に犬向けのトリーツを展開していましたが(その際に書いた記事はこちら)、ここ最近ピボットした様子。今はペットフードを手掛ける大企業向けに(実際にHill’s Pet Nutritionなどと業務提携している)、原材料としての代替タンパク質を供給するビジネスモデルを採用しています。消費者向けのD2Cブランドをビジネスとして成立させて継続するには数多くのハードルがあるため、健全なビジネスモデルを追求した結果かと推測します。
人間向けのフードテック企業と同様にBond Pet Foodsのミッションにおいてもサステナビリティを重視しており、動物をあやめることのないペットフードを目指しており、この点で、これまでも動物愛護を中心にチャリティ活動に精力だったSiaと手を取り合うことになった、という背景です。
Chris Evans(クリス・エヴァンス) x Jinx
アヴェンジャーズ/キャプテン・アメリカを含むハリウッド映画で人気を博している俳優クリス・エヴァンスが投資家兼クリエイティブアドバイザーとして関わるのがJinx。クリス・エヴァンスは保護犬と共に暮らし愛犬家としても知られています。
Jinxは昨今人気の犬向けD2Cフードスタートアップの一社。ペット市場におけるトレンド、「Humanization」=ペットは家族であり人間と同様に扱うべきだという考えから、「Personalization」=ペットの個性を尊重して個々の体質や性格にあわせた商品を与える、その過程で「Premiumization」=価格を気にしない消費者を対象にした商品の高価格化、を反映した犬向けのプレミアムフードをサブスクリプション型で展開しています。
Jinxはクリス・エヴァンスの他にも著名アスリートなどを投資家として迎えています。売上規模を大きくするためにはやはりブランドの認知度向上、そのためのマス向けのマーケティングは非常に重要であり、一方で投下できる費用には限度があるために、効果的なマーケティング且つメディアカバレッジを取れるPR施策としてのセレブリティ投資があるのだと再認識します。
Chris Smalling(クリス・スモーリング) x The Pack
現在はイタリアのサッカーリーグセリアAのASローマで活躍するクリス・スモーリングや、イギリスでビーガンシェフとして有名なヘンリー・ファースとイアン・テアスビーのデュオらが投資家として加わっているのが、ビーガンドッグフードを展開するThe Pack。
もともと肉食の犬がどこまで野菜ベースのフードが適しているのかは、個人的には疑問が残りますが、現在、サステナビリティを重視するペットフードのトレンドの一つとして、動物の肉をつかわないNon-Meat Foodの人気は徐々に高まっているようです。動物をあやめなくて済むこと、また、動物の飼育には必要な水資源を中心に多大な地球資源を消費せずに済むこと、等が背景にあります。"サステナビリティ"、カッコ付きのサステナビリティは、セレブリティのブランディングの方向性としても増えていますね。
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