ペットに関する消費行動の調査データ(byアメリカの保険会社PetsBest)
今回はアメリカの大手ペット保険会社のPetsBest社によるアメリカのペット市場調査データ「Pet Parenthood Today」を紹介します。ペットとの過ごし方、ペットケアに関する経済的ストレス、ペット飼育の世代間相違など、さまざまなデータが明らかになっています。
日本でもアニコム社による調査データ(ペット一頭あたりにかける支出額内訳など)が参考にされることが多い印象ですが、調査対象が顧客(保険加入者)に限られます。一方で、この調査データはペット保険に加入していない人も対象にしています。早速みていきましょう。
調査対象の内訳
「Pet Parenthood Today」調査では、全米の若いZ世代から中年のベビーブーマー世代までの1,420人の回答者を対象に実施された。
・ペット健康保険に加入していない回答者が71%。
・ペットの健康保険に加入している人は29%。
・今回の調査では、回答者のうち1,069人が犬の飼い主で、保険に加入している犬が347人、保険に加入していない犬が722人でした。
・猫の飼い主は789人で、保険に加入している猫が218人、保険に加入していない猫が571人でした。
・調査参加者の平均は2匹のペットを飼っており、71%が5年以上の飼育歴があることがわかりました。
主なTakeaways
・ペット保険に加入することで、ペットの親はより活動的になり、ペットとより深く関わることができる。
・ペットと一緒に暮らすことで、人はより幸せに、より穏やかになれる。
・ペットの飼育に関しては、世代によってやり方が異なる。
・ペットの親は、ペットの飼育を重視する雇用主のもとで働きたいと考えています。
・ペット保険は、ペットの飼い主が経済的なストレスを感じるのを大幅に減らすのに役立つ。
以上の点を具体的に確認していきましょう。
ペット保険に加入している飼い主は、よりペットに気を配っている
・ペット保険に加入していると、ペットのそばでリラックスしたり、ペットともっと仲良くなったりする可能性が高いことが明らかになった。
・ペット保険に加入している親は、1日平均8.5~9.5時間、ペットと一緒に過ごしている。
・ペット保険に加入している人は、加入していない人に比べて、ペットと一緒に休暇を過ごす可能性が1.5倍高く、ペットと一緒に活動したり運動したりする可能性が1.2倍高い。
・ペット健康保険に加入している飼い主は、加入していない飼い主に比べて、毎月ペットをグルーミングに連れて行く確率が1.7倍、オーガニックフードを与える確率が2倍、ドギーデイケアに連れて行く確率が3.5倍、公園に連れて行く確率が1.8倍高い。
・ペット保険に加入している飼い主は、ペットのために遠隔医療サービスを利用する可能性が4倍高くなる。
ペットは私たちの生活を豊かにしてくれる
・調査に参加したペットの親たちは、ペットとの暮らしが、喜び、幸せ、仲間、忠誠心、完全性、リラックスといったポジティブな感情につながると報告した。
・83%のペットの親が、ペットの親になることでより幸せになったと答えた
・ペットを家族として見ている、ペットに愛されていると感じる、ペットがいると落ち着く、などのテーマも、調査の中でペットの親に挙げられており、ペットを飼っている人の79%が「人生でペットがいないことは考えられない」と回答。
人の世代は、ペットとの接し方やケアに影響する
・Z世代、ミレニアル世代、X世代、ブーマー世代がどのようにペットの世話をしているかを調べたところ、それぞれの世代でペットの子育て方針が異なることがわかった。
・Z世代(34%)とミレニアル世代(36%)は、ペットを飼う費用を捻出するためにペット健康保険を利用する可能性が高い世代の上位にランクインししている。
・ペットを飼っている世代は、ペットの世話にかかる費用の扱い方にも影響を与えており、例えばブーマー世代はペット関連費用をクレジットカードに計上する傾向が強く、Z世代はペット専用の貯金口座を持つ傾向が強い。
・ミレニアル世代は、ブーマー世代に比べ、万が一に備えるためにペット保険を利用する割合が3倍高い。
ペットに優しい職場が求められている
・競争の激しい今日の雇用市場では、従業員は健康保険や401kプログラムなどの標準的な福利厚生に加え、さらなる特典を求めている。具体的には柔軟な働き方、キャリア開発支援、育児支援、スポーツジムの会員権などの福利厚生を望んでいる。
・今回の調査では、ペットを飼っている親にとって、ペットに優しい企業/Pet-Friendly Companiesで働くことは企業選びの上位に挙げられている
・実際、調査回答者の57%が「ペットの飼育に配慮している企業で働きたい」と答え、23%が「ペットが仕事の意思決定に影響を与える」と回答
・ペットの飼育数が増加傾向にある中、米国の2300万世帯以上がペットを飼っている。一部の企業はこれに注目し、従業員が新たにペットを飼い始めた際に"pawternity leave"(maternity leave=産休と掛けている。paw=肉球の意)、つまり有給休暇を提供する企業もある。
・ペットの健康保険を福利厚生として提供している企業もある。
ペット保険は、ペットの飼い主が経済的なストレスを感じるのを大幅に軽減
・ペット保険に加入しているかどうかに関わらず、5人中4人の飼い主が、ペットの世話にかかる費用について何らかの不安を感じていると回答
・しかし、ペット保険に加入している飼い主は、経済的なストレスはあるものの、ペット保険があることで、物事をうまく処理できるようになったと感じている
・ペットが保険に加入している人は、様々な動物医療費の支払いに不安を感じていない
・ペットに保険加入者は未加入者に比べて、250ドルから1,000ドル以上の動物病院代の支払いに対する不安が少ないと感じている
・ペット保険に加入している飼い主は、加入していない飼い主に比べ、5倍以上の確率でペットのWellness Plan(予防医療の払い戻しもカバーされるサービス)に加入していると報告されている。
・ペット保険に加入している飼い主は、ペット関連のクレジットカードを利用する傾向が2倍、ペット専用の貯金口座を持つ傾向が2倍、ペットケア費用を通常のクレジットカードで決済する傾向が低いという結果ある
・ペットに保険をかけている人も、かけていない人も、ペットの世話にかかる費用を飼育における最大の心配事として挙げており、81%の人がペットの飼育にかかる費用に不安を感じていることがわかった
・「動物病院での急な診察に対応できるかどうか」という不安も上位に挙げられている。
・その他のストレス要因としては、高齢化したペットのケア費用、日常のペットケア費用、ペット飼育にかかる全体的な費用、失業した場合のペットの世話の仕方、ペットが必要とする種類のペットフードを購入できるかどうかなどが挙げられている
・ペットケア保険に加入している飼い主は、ペット費用をカバーする方法として、Wellness Plan、柔軟な支払いプラン、ペット薬局の割引、ペット専用の貯金口座を持つなどの方法に頼る傾向があると回答
・一方、保険に加入していない人は、ペットの治療費をクレジットカードで支払う、家族や友人に資金援助を頼む、低料金のクリニックとで治療費を支払うなどの方法をとる傾向が強い
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