【映画の中の詩】『フィラデルフィア物語』(1940)
『フィラデルフィア物語』(1940)ジョージ・キューカー監督。
キャサリン・ヘプバーン。
ケーリー・グラント。
ジェームズ・スチュワート。
この映画は『上流社会』(1956)として、後にミュージカル化されています。
グレース・ケリー、ビング・クロスビー、フランク・シナトラ主演。
登場人物は始終酒を飲んでいるし、プールが重要な舞台装置の役割をしているしで、観ていると溺れそうな気がしてくる映画。
酒に酔って水面の月をつかまえようとして乗っていた船から落ち、溺死した詩人というのは、月と酒を愛した李白。
芭蕉の『奥の細道』の冒頭の「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」の一節は李白の「春夜宴諸従弟桃李園序」の「夫天地ハ万物ノ逆旅光陰ハ百代ノ過客」に由来しています。李白を敬愛した芭蕉の、
〈名月や池をめぐつて夜もすがら〉
の句は月をつかまえようとして溺れた李白に思いを馳せた本歌取り、という考察も目にしました。
参考リンク:
西浦大輔「芭蕉発句試論」 https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/record/26664/files/CLC_11_005.pdf
『李白における「捉月」説話』松浦友久 https://core.ac.uk/download/pdf/286947438.pdf
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?