【映画の中の詩】『未完成交響楽』(1933)
わが恋の永遠に終らざる如く
この曲もまた、終ることなかるべし
シューベルトの交響曲第7番ロ短調はなぜ未完成なのか?
シューベルトと伯爵令嬢カロリーネの叶わぬ恋の物語。
昔々、確かNHKの名画劇場かなにかで観て、内容はほとんど忘れていたのに、ラストのアベ・マリアのシーンのシューベルトのアップだけはなぜか印象深く憶えていて今回観返してみました。
胸打つ悲恋物語・・・なのですが事実かどうかは別の話となります。
シューベルトがエステルハーツィ伯爵家のカロリーネの家庭教師を務めていたこと、彼女に捧げた曲が残っていること、は事実なのですが、二人の恋物語は31歳で独身のまま亡くなったシューベルトの生涯をなんとか彩ろうと後世の伝記作家たちが話を膨らませたフィクションのようです。
曲が未完成になったのもこの曲に限らずシューベルトは途中で作るのをやめてしまい、別の曲を作り始める、ということがあったので、その一つの例にすぎない、という身もフタもない説も・・・。
音楽好きの方なら見逃せないのは「菩提樹」はウィーン国立オペラ合唱団、「野ばら」はウィーン少年合唱団が、そして一番の聞き所「セレナーデ」と「アベ・マリア」は伯爵令嬢カロリーネ役のマルタ・エッゲルトが実際に歌を披露してくれていることでしょう。
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