【映画の中の詩】『恋の情報網』(1942)
神、そらに知ろしめす。
すべて世は事も無し。
『恋の情報網』(原題Once Upon a Honeymoon)。1942年。
ジンジャー・ロジャース、ケイリー・グラント主演。
戦時中の反ナチス・ドイツ映画ですがコメディ仕立ての展開の作品になっています。
朗読されるのはロバート・ブラウニングの長詩『ピッパが通る』のなかの一節。
上田敏が訳詩集『海潮音』で取り上げ、日本でもよく知られています。
『ハムレット』第一幕 第三場からの引用は名言集向きのセリフですね。
最後のはアーヴィング・バーリンのポピュラー・ソング「Don't wait too long」の歌詞。
アーヴィング・バーリンはアステア=ロジャースの『トップハット』(1935)の音楽を担当。フレッド・アステアが歌い、ジンジャーと踊る「チーク・トゥ・チーク」は映画史に残るワンシーンで、ウッディ・アレンの『カイロの紫のバラ』(1985)のラストでも引用されていました。まさに「甘い悲しみ」といいたくなるような映画ファンの胸を打つエンディングでした。
参考リンク
「定本上田敏全集 第1巻」
https://dl.ndl.go.jp/pid/12565917/1/72
「新修シェークスピヤ全集 第27巻」坪内逍遥訳 https://dl.ndl.go.jp/pid/1237660/1/30