詩|わたしは魚
わたしは魚
水槽の魚
重いからだを引摺る
乾いた肌を化粧で誤魔化し
混雑に詰め込まれ踏み潰され吐き出されながら
同じ景色の中運ばれる
毎日
わたしは魚
逃げられない魚
嫌なこと 腹ただしいこと
全部 見ないふりをしている
消えてほしいと願っていると
なぜか自分が消えたくなる
忘れていた
酸素がなければ 死んでしまうこと
忘れてしまう
わたしには 二本の足が生えていること
蹴り壊す勇気は
どうしてもまだ出ないけど
夜の闇の中 そっと水槽を抜ける
本当はどこにだってゆける
(写真:2019年8月、カリブ海沖にて撮影)
2020.8.31 改訂
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