その翼を折らないで
性被害やセクハラに遭ったと目の前の人に相談されたら、
あなたは何と声をかけますか?
また、内心どのようなことを感じますか?
今月18日、伊藤詩織さんが東京地裁にて民事訴訟に勝訴しました。
どちらの主張が正しいかというのは、
今回の地裁にて判決が下り、引き続き高裁・裁判所にて明らかにされていく事と信じてますので、今回の記事のトピックではありません。
(わたし個人としては、伊藤さんの主張が信頼できると思っています。)
刑事訴訟としては不起訴となってしまったこと、
日本の刑法・判例における不備、
捜査における被害者への配慮の不足など、様々な課題が挙げられています。
それら様々な問題について社会として取り組んでいく必要がありますが、
今回は性犯罪・性的ハラスメントを受けた被害者に対する「声」に焦点を当てようと思います。
伊藤詩織さんは実名・顔を出して自らが遭った被害について訴えてきましたが、
「ハニートラップ」「枕営業」など疑われネット上等で多くの人から罵られました。
また、「男性と二人でいるときにそんなに酔う方が悪い」といった声のように、詩織さんの「隙」を非難するような反響も少なくありませんでした。
被害者(と推定される人物)になぜこれだけの非難が向けられるのか??
それこそが、性犯罪の被害者が声を挙げることを阻んでいる大きな要因とわたしは推定します。
わたしは、男性も女性も性自認も関係なく、
性別によってその人が持つ可能性を狭められたり、
自由を制限されたり、傷つけられたりすることがない社会を実現するべきと考えます。
お互いの生きづらさを軽減するべきです。
だから、この記事では、自分自身が直面してきた「セクハラ」の経験も踏まえて、
感じていることをお話ししたいです。
わたしは部で初めての女性総合職だった
わたしは新卒として東京で採用され、入社し、
2年半前、地方都市にある支社に配属されました。
配属されてすぐに知ったのは、支社には100名以上社員がいる中で、
片手で数えられるほどしか総合職の女性社員がいないこと。
そして、わたしは所属する営業部(20数名程度)で初めての女性総合職だったことでした。
就活中や内定者として出席した説明会・懇親会、また研修を通して、
女性もたくさん活躍している会社だと考えていたので、
これは大きな衝撃でした。
3ヶ月東京で研修を受けてからの配属でしたが、実際に現地に向かって出社するまで、一切そのような説明はありませんでした。
わたしは高校・大学を通して相対的に女生徒の方が多かった環境で育ってきたこともあり、圧倒的に男性が多い社会というものを経験するのは初めてでした。
また、スポーツ競技等の生物的な違いが生じる種目以外、例えばプレゼンテーションや企画立案等の仕事・勉強において、性別による能力の差は生じないと当たり前に信じて育ってきました。
しかし、部内のわたしのシマ周りは、一般事務業務をしてくださる女性が一人いらっしゃる以外は全員男性。
客先や社内で会議をすれば、40〜50人出席者が集まる中で
わたしだけが女性だということも何度もありました。
今でこそ、それが当たり前と慣れてしまって何も感じませんが、
当時はかなりショックでしたし、居心地の悪さを感じました。
データ等何もないので、推定でしかありませんが、
客先で「初めて見た」「今までに他社で一人しか見たことない」と言われることばかりなので、わたしは業界内では、他社も含め、県で二人目の女性営業だった様子です。
インフラ系の業界なので女性が少ないことは想像つくはずなのですが、
世間知らずのわたしは、ここまでとは想像できていなかった。
配属後2週目の木曜日に起きたこと
このような状況で、わたし自身も、周囲の同僚も、
一緒に働くのにものすごく苦労するだろうことは読者の皆様もお分かりでしょう。
わたしは初めての社会人生活、初めての赴任地に加え、
想像していなかった状況にかなり戸惑っていました。
また、受け入れる部の側も、初めての試みに、「女性営業」をどう扱っていけばいいのか相当気を揉んでいたと想像しています。
すごく気を使ってくれてきたと思っています。
それでも、あまりにお互いの立場や考え方、これまで接してきた環境が違いすぎて、歩み寄ろうとしても届かない部分が見えてきました。
それはあまりにも早く、配属2週目の木曜日、7月6日に起きました。(今でも覚えています)
それは、隣の技術部に催してもらった歓迎会でした。
個人の行為を批判するための記事ではないため、詳細は割愛しますが、
わたしは十数名の男性社員の方々に飲みに連れて行って頂きました。
女性はわたしだけでした。
その場で、手を触られたのですが、明確に性的な意図を持って触られました。
それに対してキャバクラを揶揄するコメントが飛んだり、
他の話題の時にも複数人から「セクハラ」と感じる言動がありました。
また、他の女性社員の悪口も耳にしました。
自分のために開催してくれたから、と思い、二次会まで出席しましたが、
一次会の途中で一度、トイレに退席して泣いたのを覚えています。
我慢して愛想笑いをし続ける自分がすごく辛く、惨めに思えました。
家に着いた瞬間、自分でもびっくりするくらい涙が止まらなくなりました。
自分の中にある大事な尊厳みたいなものを踏みにじられたような、壊されたような感覚がありました。
手を触られたこと自体の嫌悪感よりも、
自分は性別関係なく対等に働く「同僚」として入社したはずなのに、
「女性である」というだけで、キャバクラという性的サービスと結び付けられるという「発言」に深く傷ついたのを覚えています。
(※キャバクラを否定しているわけでは一切ありません。
全く関係ないはずの「会社」という場で、「女性である」だけで「期待される役割」を強制されたことに傷ついたのです)
また、その場に課長級の職位の人も複数名いたことに、ショックを受けました。そして出席者のほとんどが40歳以上の社員でした。
そんなに責任ある職位や年次の人ばかりなのに、誰も本気で止めてくれなかった。人によっては傷に塩を塗るようなコメントをしてた。
一気に会社に対する不信が募り、会社で誰を信じていいのかわからなくなりました。
怖かった。ここでこれから、とてもやっていけるとは思えなかった。
自分でも驚くくらい涙が止まらず、涙腺が壊れてしまったようでした。
泣きながらうとうとと浅く眠り、朝方にシャワーを浴びました。
出社するから、目も腫れるし、早く泣き止まなきゃと思いましたが、全く涙を止めることができなかった。
(次の記事に続きます)