美濃囲い
どうやら真夏にマイナビ出版からこんな本が出るらしい。メインターゲットである『有段者』ではないが、この本を読んで私は『美濃囲い』になりたいと思っている。
『美濃囲い』と言えば、『振り飛車党』党とは切っても切り離せない関係性にある囲いだが、私と『美濃囲い』の付き合いは、かれこれ4年くらい続いている。
それは私が『振り飛車党』だからという安易な
理由では断じてない。むしろ、その逆である。
『美濃囲い』にしたいから、『振り飛車党』に
なったと言っても過言ではない。
いや、それはさすがに言い過ぎかもしれない。
私がウォーズ4級だったか、3級だったかの頃、
『囲い』という概念をあまり理解していなかった。というのも、自分も相手も『居玉』のまますぐに殴り合って、何やかんやで勝ったり負けたりする事が少なくなかった。だが、それでは上にいけない、強くなれないことを誰かから学んだ。
その頃の私は『居飛車』と『振り飛車』という概念すら興味はなく、とりあえず飛車先の歩を進めて、飛車の近くにいる方の銀をズンズン進めていく攻撃型スタイルしか知らなかった。
なんか、こんなエフェクトがよく出ていた。
仕方なく『囲い』というものをやってみる事にしたが、まず何から覚えていいのか、よくわからない。物覚えの悪い私にとっては、どの囲いも手順を覚えるのが大変だった。まずオススメされたのが、『船囲い』だった。比較的、横からの攻めには強いが、短手数で囲える分、守備力は弱いとのこと。
いやいや、全く手順が覚えられないし、何と言っても形がしっくりこない。しかも弱いのかよ。
こちらとしては、とりあえず攻めたいのよ。
もっと良さげな囲いはないものか。
居飛車の代表的な囲いといえば『矢倉』だが、
手数が長すぎる。論外。絶対覚えられない。
そんな時、最も堅い囲いがあるという噂を入手した。みんな大好き『穴熊』さんだ。
それなりに手数はかかるが、最終的に目指す形が覚えやすいので、手順を間違えても自分を見失う心配があまりない。しかも強い。これしかないと思い、この囲いを採用することにした。結果、
全く勝てない…
まずくませてもらえない。これはくまった。
組めたとしても、リソースをほとんど囲いに投入しているので、攻めに使える駒が少ないし、躍動させるほどの棋力がない。
しばらく自分に合う囲いを模索していた私だったが、棋風に合いそうなものは見つからなかった。
そんな私に朗報が届いた。なんと、対局開始して間もなく、飛車を左に動かすという奇妙な戦法があるらしい。どの筋に動かすかは好みのようだが、人はそれを『振り飛車』と呼んでいた。
どうやらこの『将棋』という競技には、
『きのこ』派と『たけのこ』派のように、
長年の因縁がある二大勢力の存在を
知ることになる。ちなみに私は無所属だ。
『きのこ』だろうが、『たけのこ』だろうが、
食べればどちらもただのチョコレートだ。
試しに飛車を振ってみた。初心者にオススメは、
『四間飛車』らしい。先手の場合は、6筋に…
は?なんで6筋なのに四間なの?と思ったが、
後手の場合は4筋だから、まぁいいやとしておいた。採用してみたが、やっぱりしっくりこない。
次は7筋に動かす『三間飛車』、は?あ、はい。
そして8筋に動かす『向かい飛車』…はい。
どれもなんか違う。最後に残ったのが、5筋。
これはもう先後どちらでも『5間飛車』でしょ。
…という訳で『中飛車』にたどり着いた。
美しいよね。なんかバランスよくない?
戦法は決まったが、居玉は良くない。
『居玉は避けよ』、『さけるチーズはさかなくても美味しい』という格言もある。(今作った)
なんと、振り飛車と絶対的に相性の良い囲いを発見してしまった。それが『美濃囲い』だ。
まず、形が美しい。そして手数もかからず、
それなりに堅い。そして何と言っても、
『まだ変身を2回も残している』のだ。
中飛車の場合、『片美濃囲い』になってしまうのが少し悩ましいところだが、そこは『中飛車の税金』だと割り切り、妥協することにした。
写真には映らない美しさがあるから。
『美濃囲い』の第二形態、『高美濃囲い』
他にも色々と派生はあるらしいが、書くのが
めんどくさいので割愛する。
そして『美濃囲い』の完全体(かどうかは知らない)『銀冠』、私が一番好きな囲いだが、採用して勝った記憶はほとんどないので、あまりやらない。『穴熊』同様に、強い人は使いこなせるのだろうが、個人的には観賞用だと思っている。
ここまでの話をまとめると、
『美濃囲いって素敵やん』ってこと。
堅いかどうか、勝てるかどうかは別にして、
アートなのだ。これが組めれば勝ちなのだ。
芸術点で勝っているのだ。玉が詰もうが、飛車を取られようが、角の利きをうっかりしようが、
『美濃囲い』にした時点で勝ちなのだ。
じゃあ、『左美濃』はどうなの?って話になると思うが、アレは美濃であって、美濃じゃないよね。美濃の形をした別の何か。なんて言うか、
飛車振ってない時点で違うよね?って話。
中飛車だと左にも囲えるよね?って聞かれると、
たしかにそうなんだけど、左の美濃は美濃じゃない。どうせ左に囲うなら、『穴熊』か、
今流行りの『elmo』がいいよねって話。
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