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キャラソン日記 2024年10月編

こんにちは、私的音楽同好会です。

今回は、2024年10月分の #キャラソン日記 をまとめました。
ぜひ皆さまも、紹介文を読みながら曲を聴いてみていただければと思います。

10/5 バカ(略)

歌唱:まーちゃん
発表年:2009
作品名:嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん

『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』に登場する御園マユによる一曲。ライトノベル原作である『みーまー』ではイメージアルバムが制作されており、岩井俊二監督の『リリイ・シュシュのすべて』を想起させる不安定で儚い曲が多い中で、御園マユによるキャラソンも収録されている。リコーダーや木琴などによる無邪気な伴奏に乗せて、「ばーかばーかみーくんのばーか」や「やっほー」といった歌詞を散りばめた曲になっている。この曲の大きな特徴は、彼女の声をサンプリングするだけでも、キャラソンが成立してしまっている点であろう。キャラソンの元ネタになる彼女自身が”壊れて”しまっているからこそ、整然と順序立てられた言葉を並べるよりも、断片的に繋ぎ合わされた形の方が彼女らしい歌になっているのかもしれない。

10/9 ナゾーの歌

歌唱:ボーカル・ショップ、島宇志夫
発表年:1967
作品名:黄金バッド

昭和初期の紙芝居を原作とするアニメ『黄金バッド』に登場するナゾーのテーマソング。ナゾーは、主人公である黄金バッドの適役である科学者であり、「おれには こわいものはない」と威嚇しながら、「でたな黄金バッド 負けるものか」と宿敵である黄金バッドに攻撃していく。本曲は、このような戦闘シーンを想起させるスリリングなアレンジになっており、初期のアニソンで多く活躍していたボーカル・ショップによるコーラスの合間にナゾーの歌が入るという構成も相まって、2人の戦闘シーンを題材にしたミュージカルを聴いているようだ。当時は特撮アニメのキャラソンは珍しいため、先駆的な取り組みだと考えられるかもしれない。

10/12 ふたり少女

歌唱:てこぴかり(茅野愛衣&鈴木絵理)
発表年:2016
作品名:あまんちゅ!

伊豆でのダイビングを楽しむ高校生の生活を描いた『あまんちゅ!』に登場するてことぴかりによるデュエット。引っ込み思案で緊張しいな大木双葉(てこ)と、明るくマイペースな小日向光(ぴかり)が伊豆の海で出逢い、二人の日常が動き出す。「出逢えたね ありがとう」と歌うてこに、「何度でもまた廻ろう」と返すぴかり。そして二人のハーモニーを、ARIAから受け継いだヒーリングサウンドが優しく包み込んでいく。素敵に溢れたこの曲を聴くたびに、目の前が伊豆の海に変わり、心地よい潮風の香りがしてくるだろう。彼女たちは「素敵な二人になろう 一緒にいよう」とお互いを思っているからこそ、デュエットによるキャラクターソングがよく似合うのだ。

10/16 ヒデバロ・ソング

歌唱:高橋和枝
発表年:1968
作品名:あかねちゃん

『あかねちゃん』に登場する北小路秀麿の声優が歌った一曲。秀麿は主人公である上条茜と同い年の10歳であるが、鼻たれ小僧である上に滑舌が悪いため、本曲では曲名や歌詞を含めた全ての言葉がカタカナやアルファベットで表記されている。そのため、上条茜に話しかける時も「カビジョウアカレ アソボウヨ」となっており、曲名にもなっている自分自身の名前でさえ”秀麿”ではなく”ヒデバロ”と表記されている。北小路秀麿の声優である高橋和枝は1929年生まれであるため、彼女自身の言語能力に合わせたとは考えにくく、童心を持って歌うように演出することを突き詰めた結果なのではないだろうか。

10/19 Especially call

歌唱:芹澤直子( CV.瀬戸麻沙美)
発表年:2016
作品名:ハルチカ

高校内外で発生する事件を解き明かしていく『ハルチカ』に登場する芹澤直子が歌うキャラソン。裕福な家庭に生まれたものの、両親は複雑な事情を抱えており、芸術の道で自立して生きていくことを決めた芹澤直子はクラリネットを始めた。気の強い彼女は、小学校の頃から厳格な訓練に打ち込んでいたが、ブラスバンド部のチカとの出会いをきっかけに入部することになり、「無意味だと蹴飛ばしてきた 誰かとの帰り道」も、「くすぐったくて優しい時間」に変わっていく。そして、彼女は難聴であるため、心の中の照れくささを隠しながらも、コップ越しの「Especially Calling」で思いを伝えていく。各所に散りばめられたクラリネットの音色が、芹澤直子のか細い歌声を優しく包み込み、耳元で囁かれているように心地よい一曲。

10/23 カツオくん(星を見上げて)

歌唱:高橋和枝
発表年:1970
作品名:サザエさん

磯野一家を取り巻く日常を描いた『サザエさん』に登場する磯野カツオが歌う一曲。典型的な昭和のヤンチャ坊主であるカツオは、いつもは怠惰で楽しいことを優先しがちだが、重要な時には機転を効かせる世渡り上手な少年である。そのため少し自惚れており、本曲では「どうして僕だけ 頭がいいのかしら」と自分自身の魅力を憂い、自分の素質に気付いていない周囲に対して「いつか来るさ カツオの時代が」と豪語するのだ。曲調もカツオにしては大人びた歌謡曲風であり、小学生らしく拗らせている様子がなんともカツオらしいではないか。

10/26 Dedicate

歌唱:奥村雪男(福山潤)
発表年:2012
作品名:青の祓魔師

サタンに立ち向かう祓魔師の戦いを描いた『青の祓魔師』に登場する、奥村雪男が歌う一曲。彼はサタンの双子の弟として生まれたことを背景に、育ての親である養父に祓魔師になることを勧められ、「さずかった天命を 果たす時まで」必死で努力し、「誰かにうちあけたい思いを 隠して」生きてきた。しかし、彼の心は出自に対する不安によって拗れており、「自我を抑制」しながらも「隠せない激情」を抱えて生きているのだ。そんな彼の葛藤が、禅問答のようなヒリついたラップに乗せて吐露されており、生真面目で不器用な生き方の辛さが痛いほどに伝わってくる。


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