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キャラソン日記 2024年11月編
こんにちは、私的音楽同好会です。
今回は、2024年11月分の #キャラソン日記 をまとめました。
ぜひ皆さまも、紹介文を読みながら曲を聴いてみていただければと思います。
11/2 Helpless World
歌唱:エレン・イェーガー(梶裕貴)
発表年:2017
作品名:進撃の巨人
巨人を取り巻く壮絶な闘いを描いた『進撃の巨人』に登場するエレン・イェーガーが歌う一曲。エレンの人生は悲劇的である。巨人侵攻によって母親を失い、”巨人を駆逐する”ことを目指して調査兵団に入隊するものの、巨人との生死を彷徨う戦闘の中で「傷つくたびに生き残るたびに 無力さを知る」ようになる。その後、戦いの末に壁の向こうの世界を知ってしまい、「憧れた自由は 蜃気楼」であるという現実まで突きつけらてしまう。そして、自分自身が巨人化できることが判明した末に、人類とも一緒に過ごすことも叶わなくなってしまい、「孤立という檻の中 理解されることなどない」と嘆くのだ。こんな惨状であれば、“行き場のない世界”として彼の目に映ってしまうのは当然であろう。
11/9 世界に拳を突き上げろ
歌唱:鬼川ナツ(CV:田辺留依)
発表年:2021
作品名:六本木サディスティックナイト
六本木の事件を解決して行くサスペンスアプリ『六本木サディスティックナイト』に登場する鬼川ナツが歌う一曲。空手の天才だがぶっきらぼうな彼女にとって、六本木は「目眩がするフェイクを重ねた世界」であり、周囲の大人たちに「汚い手で触らないでよ」と吐き捨てる。そんな環境の中でも、「壊れるくらい傷付いても 自分が信じる道で戦え」と自分を叱咤激励して、六本木を牛耳っている悪へ立ち向かって行こうとする。この曲では彼女が抱く「闇が視界奪っても見失わない 確かな想い」が、暗闇を振り払うような疾走感のあるオルタナティブ・ロックに乗せて歌い上げられており、彼女の芯の強さを聴くことができる。六本木といえば東京有数の夜の繁華街であるが、そんな街にもキャラクターが生きており、私的な歌を歌っていることが驚きであった。
11/16 カラカラ
歌唱:結束バンド
発表年:2022
作品名:ぼっち・ざ・ろっく!
『ぼっち・ざ・ろっく!』に登場する山田リョウが歌う一曲。山田リョウは結束バンドの中でも下北沢が最も似合うサブカル系バンドマンであり、飄々と振る舞いながらも、自らの服装や音楽に強いこだわりを持っている。“個性捨てたら死んでるのと一緒だよ”という彼女の発言からも分かるように、その趣味は目立つことが目的なのではなく、自分らしさを大事にしていることに起因している。当然「愛された方が確かに無双的」だと知りながらも、「どうせどこかの誰かみたいに生きれない」と割り切って我が道を歩んでいるのだ。このような山田リョウの秘めた激情が、tricot作曲のマスロックの変拍子に乗せて歌われており、本編では語られる場面が少ない彼女の内面を聴くことができる一曲。
11/23 宇宙人ピピ
歌唱:中村メイコ、コロムビアゆりかご会
発表年:1965
作品名:宇宙人ピピ
実写とアニメーションを組み合わせた日本初のSFコメディドラマ『宇宙人ピピ』に登場する、宇宙人であるピピが歌う一曲。ピピは宇宙から地球に来た「いたずら坊主の宇宙人」であり、地球人である俊彦と良子の兄妹と共に過ごすようになり、次第に「いつでもどこでも ぼくらの仲良し」になっていく。曲調や歌い方は童謡らしく、「ピーッピーッ ピピピ」とキャッチーなメロディーは当時のCMソングのようで、TVアニメ黎明期の音楽がどのような影響を受けていたの考えられる良い材料ではないだろうか。
11/30 STARS
歌唱:高木さん(CV:高橋李依)
発表年:2018
作品名:からかい上手の高木さん
中学生の男女による"からかい"を描いた『からかい上手の高木さん』に登場する高木さんが、中島美嘉「STARS」をカバーした一曲。『高木さん』のEDでは、2000年代のJ-POPを中心に高木さんがカバーした曲が使用されており、アップチューンからバラードまで幅広くカバーしている。歌っている高木さんは、西方という同学年の男子中学生をからかえるほど精神年齢が高いため、ベタで初々しい他のラブソングよりも、大人びたビターなバラードである「STARS」の方が内心好きなのでは、と考えてしまうのは私だけだろうか。そして、本曲が収録されているアルバムのジャケットはカラオケに行っている風景であるため、西方をからかうためにラブソングを選曲しながらも、密かに愛聴している曲を登録して、「最後に大事なのは 喜びを分け合える 愛しさよ」と歌っている姿を想像してしまう。憂いの中に芯の強さを感じる中島美嘉という人物像も相まって、大人びた高木さんの内面を想起させる一曲。