自殺相談、新型コロナの事態を受けて考えたこと
令和元年度10月から半年間、鹿児島県の地域自殺対策強化事業を受託したのをきっかけに、令和2年度も自主事業として「自殺対策総合相談事業」を続けています。
毎日のように、鹿児島県内の方の相談だけでなく、全国からもLINE相談や電話相談を受けていますが、そのほとんどの方が「身近に相談できる人がいない、、、」と話されています。
今回の新型コロナ感染拡大防止を受けて、学校休校や外出自粛などで自宅で過ごす期間が長くなりました。そのことによる親子間や夫婦間の歪みが表出し、誰にも相談することができず「死にたい」といったSOSを、最後に自分の声が届けばと私たちに発信されたのです。
生きづらさを抱えながらもギリギリのところで日々を過ごされてる方は多く、今回の事態によって自殺相談につながった方々は、生活の変化によってギリギリのラインにしがみつくことが耐えられなくなった方々なのです。
私たちはこの機会をそのままやり過ごすのではなく、決して自己責任や家族内だけの責任で考えずに、生きづらさを抱えている方が、ギリギリの領域から安全な領域にいつまでも移ることのできない今の社会のあり方を見直していく機会にしていかなければならないと考えています。
特に3月末から相談が多かったのは、小学生から高校生の子どもたちからと、その世代の子どもを持つ親からの相談でした。偶然、親子から別々に受けた相談もありました。
どの相談も、それぞれ皆さんの生きづらさからきてる悩みでした。普段から、学校や家族、職場の仲間、身近な大人たちの寄り添いがあれば、ここまで悩まなくても済んだのにという相談もあります。
皆さんに今だからこそ考えていただきたいのは、「あなたの身近な人が悩んでるとき、あなたに相談してくれるのでしょうか?」ということです。
そのような思いを胸に、人と人とのつながりを大切にできる地域社会になれば、悲しい決断をされる方を一人でも減らすことはできるはずだと、私たちは考えます。
私たちの仕組みだけではまだまだ十分とは言えません。ここ、鹿児島県大隅地域は東京都や大阪府くらいの広さであるにもかかわらず公共交通機関がほとんどなく、家族の送迎が無ければ支援に繋がることができません。特に、一人親や困窮家庭で支援が必要な方のために送迎の仕組みを充実していきたいです。