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院内見聞録 新しい病院に行く

2022年1月13日
エキスパンダーとパッドの入れ替えの手術は今の病院ではできないので、紹介してもらったとある大学病院へ行く。主治医曰く、すごく仕上げが上手な先生らしい。1時半の予約だったが呼ばれたのは結局3時前。大学病院あるあるか。おかげで「かか」を読み終わった。字も大きいし、薄いしすぐに読めるかと思ったが、やはりあの文体が読み下しにくくて時間がかかった。むしろその前に読んでいた「身分帳」のほうが厚さに反してするする読めた。

かか弁に関して作者の意欲は感じたが、これは普段使っている言葉じゃないなという思いが先に立つ。やっぱり普段使っていない言葉だからか、どうしてもそこだけ地の文から浮いてしまうのだ。その浮いてる部分が多いせいで常に脳がバグってる感じ。たぶん、わたしに少なからず方言警察(*1)のところがあるせいだと思う。映画や小説、漫画など創作物内の方言にはうるさい。「パチンコ」も日本編は大阪弁が使われていたが、訳者がネイティブじゃないためにどうしても座りが悪く、キャラクターの階層と使ってる言葉がちぐはぐな感じがした。

閑話休題。診察のときに担当の先生に「すごくお上手だと聞きました」と言うと、「まあ、わたしはこれしかやってないからね」と言われる。年間にどれぐらいの数の手術を担当しているのかは分からないが、おそらく圧倒的な数に裏打ちされた自負を感じ、こういう謙遜もしないけれど、かといって必要以上に大きくも偉くも見せない人、好き!と思う。女性の先生だけにやはり仕上げの形に心を砕いている様子がうかがえ、見せてもらった他の患者さんの写真を見ると、途中経過ではちぐはぐな胸が左右対称に(下垂があれば、同じような下垂に)なっていた。そしてわたしの写真も未来の誰かが見るんだろうな。(自分でも経過写真を撮っているぐらいなので、他人に見られることについてはまったく問題ございません)

先生曰く、元の胸の形に対して入っているエキスパンダーの形があっていないらしい。しかも少し角度がずれているし、さらに中央に寄り過ぎているし、食塩水を入れる管の辺りが折れ曲がって入っているとのこと。

その指摘に関しては思い当たることがいくつかあった。まず、術後の入院中に気胸になったこと。これはエキスパンダーを奥に押し込み過ぎたせいでは? 最初に食塩水を入れたとき数日は肺が広がらない感覚があり、呼吸しづらくなっていたこと。これは皮膚がパツパツなので仕方がないと思っていたけど、もう少し外側にあればもう少し息がしやすかったかもしれない。

また食塩水の量が増えるにつれ、胸の膨らみ始める位置が中央に寄り過ぎている気はしていたが、パッドを入れるときに調整すればいいのだろうと思ってそんなに気にしていなかった。しかし皮膚はエキスパンダーの形で伸びているので、そんなに簡単な話じゃないらしい。何だってーーー! 

さらに350g以上組織を取ったのに入っているエキスパンダーは300㏄用。事前の説明では取ったの同量、むしろそれ以上に大きくしてから手術すると聞いていた。切開したら皮膚が縮むことがあるかららしい。「正直言って、●●先生(主治医)からは難しい宿題を渡された気分です」と言われる。つまりきれいに仕上げるためには、事前の土台作りから始まっているということだろう。

赤みと熱を持っていることに関しては、やはり炎症を起こしているとのこと。もし膿が溜まっているようなら切開が必要になり、もし切開するなら、そのついでに中のエキスパンダーを入れ替えたいと言われる。そうなるとまた入院かぁ、仕事の段取りをどうしようか。できればしないほうで進むといいんだが…と思う。膿がないかエコーで見てもらうと、現時点ではなし。もし、この熱と赤みが長引くようなら受診するようにとのことだった。その場合、どちらの病院に行けば? と聞くと、まずは主治医に診せろとのこと。

一応、5月に手術日の予約を取るが、本当に手術できるかは次回の診察のときに決めさせてほしいと言われて診察終了。
診察代 1,910円


  1. 自分になじみのある方言だけじゃなくて、「ドライブ・マイ・カー」の手話に対しても同様のことを思った。ただし、失語症という設定だったので、手話ネイティブではないから別にいいのか? と自分を納得させた。ちなみに普段から手話を使っている人の演技は「ザ・トライブ」で見られます。今となってはトライブというとEXILEのことしか考えられない人になってしまいましたが… 作者が作った架空の言語という意味で成功していたのは「彼岸花の咲く島」。これは本当にこの方言を使っているように読めたので、李琴峰さんが多言語を操る翻訳者でもあることが関係しているような気がする。


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