今日はピクニックに行こうか。
4月から新しい職場で勤務し出して私生活がバタバタしている。
心に全くと言っていいほど余裕がない。
しかも、疲労のせいなのか、毎日帰宅すると荒波のようにぐわんぐわんと押し寄せるとてつもない睡魔に襲われ、座ったまま寝てしまう。
そんな余白の無い日々をただやり過ごしていたら、心の落ち着きなんてあったもんじゃない。
今まで大切に過ごしていた恋人との時間も、勉強と睡眠、その他家事に費やしていたら、あっという間に一日が終わってしまう。
一日が24時間なんて、あまりにも短すぎる。
◇
荒波のような日々をやり過ごして、やっとこ迎えた休日。
せめて恋人との食事の時間くらいは大切にしたい。なんて言ったって、私たちは食べることが大好きなのだから。
『今日のお昼は何が食べたいですか?』
『ラーメンかピクニックがいいです。』
、、、ピクニック????
今年35歳になる恋人の口から放たれたまさかの言葉に頬が緩んだ。
『海沿いか、川沿いがいいな。レジャーシート持って行ってもいいよ。お弁当は買っていきましょう。』
背丈も大きく(確か178センチ)、7つも上の恋人。そんな彼が願うこんなにも可愛らしいお願い事を叶えない理由はない。
よし!今日はピクニックにいこう!!!!!
◇
まずはお弁当調達から。
私たちの住んでいる大田区にはロケ弁でも好きな芸能人が多いことで有名な『鳥久』が何店舗かある。昼時はいつも並んでいてあっという間に売り切れてしまうほどの人気だ。
ここの唐揚げが美味しいのなんのって、、!
自分でも再現しようと試みてみるものの、ここの味は家庭ではどうも再現できないのだ。並んで買う価値のある素晴らしい唐揚げなのですよ。
幸い今日は平日だし、好きなものを買えるだろう!と鳥久でお弁当を買うことにした。
私はどうしても肉まんが食べたかったので、お惣菜の唐揚げだけ買ってコンビニで肉まんを買うことに。あと、少々のお酒もね。
◇
食料もピックアップしたところで、自転車をかっ飛ばして近くの人工海岸へ。
天気も良く、時々吹く風に髪の毛を煽られたりはするものの、気温もちょうど良くて過ごしやすい気候。
この簾屋根が海の家感を醸し出していて、気分はすっかり夏モード。
プシュッ!と音を立てて開くハイボールの缶が更に気分を高揚させた。
横にはガサゴソと音を立ててお弁当を開ける恋人。
『美味しそう〜。』
そう呟く姿を見て、自然と笑みが溢れた。
そんな恋人の隣で私も唐揚げを頬張る。
この純白のドレスを身に纏った唐揚げを見て!
程よい塩味と、冷めても脂っこくならずに適度なジューシーさを兼ね備える最強の唐揚げ。
一つが結構ボリューミーだから二個も食べれば大満足。
お腹も心もすっかり満たされてからは、海辺で遊ぶ子供や鳥、お散歩する老夫婦たちを眺めながら今まで猛スピードで流れてしまった時間を取り戻すかのように、他愛もない話をしてただただのんびりと過ごした。
季節はもうすっかり春。
ひしめき合いながら咲き誇るたんぽぽが可愛くて何枚かシャッターを切った。
あぁ〜、なんでこういう日に限ってカメラを忘れてしまったのだろう!
やっぱりポケットに入るサイズのコンデジが欲しい。片時も離さず持ち歩いて目に映った美しいものを形として残したい。iPhoneでいいじゃん!とよく言われるんだけど、それはなんだか違うんだよね。
私は"カメラで写真を撮る"という行為が好きなんだろうなぁ、、、
◇
別に高級なレストランなんて行かなくても良い。ブランド品もデパコスにも興味がない。
美味しいものに、美しい景色。それにコンビニで買えるアイスとお酒。
そして、穏やかな心を持った大切な恋人。
これだけあれば私はきっと日々を幸せだと感じられる気がする。
この人と一緒なら、世間が思うような贅沢な暮らしなんてしなくても、ありふれた毎日にちょっとした彩りがあるだけで幸福になれるのだろうと、改めてそう思った。
『この人と一緒に過ごせる時間、一秒一秒大事にしていこう。』
そう強く心に決めた、よく晴れた春の午後のお話。
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