#49 歩み過ぎた結果
平日毎朝、仕事前に1時間5000歩程度の散歩をするように、私は日常的によく歩く。
気候さえ良ければ1駅どころか3駅も隣の町まで歩いて行くこともあるし、ハイキングなども好きでたまに行く。
昔、新宿で終電を逃して、当時住んでいた大田区の家まで2〜3時間かけて歩いて帰ったこともあるし、新宿で待ち合わせの時間前に六本木で用事を済ませてから、歩いて現地へ向かったこともある。
とにかく何かにつけて歩くのだ。
普段の仕事が完全在宅勤務であまり身体を動かす機会がないため、健康維持を意識して頻繁に歩くよう心がけているのもあるが、単純に歩くことそのものが好きでもある。
普段歩かない場所で、思いがけない気付きを得たり、魅力的な場所を発見できるのは楽しいし、普段歩いてるような場所でも同じような発見があるだけでなく、季節の移り変わりを感じられるのも楽しいのだ。
たまに、長期休暇で旅行などに出かければ1日2万歩なんてザラだし、ハイキングに出かければ5万歩歩くこともある。また、その達成感が気持ち良い。
少し前『匿名ラジオ』を聞いていたら、MCのダ・ヴィンチ・恐山さんが同じく歩くのが好きで、アプリで設定された1日の歩数ゴールの最大値である10万歩を達成するため、新宿から箱根まで歩いたという話をしていた。
ご本人曰く、後半は身体がバラバラになってるのかというくらいキツかったけど、またやりたいそうだ。同じことをやったら、多分私もそう思うだろう。近々やりたい。
普段は基本的に朝しか散歩をしていなかったのだが、時間に余裕があれば夕方にも外に出て朝と同じくらいの距離を歩いている時期があった。1日計1万歩。なかなかの達成感がある。
運動不足の解消をしていると思い込めるだけの歩数だ。
しかし、ある時期から右膝に鈍痛が出てくるようになった。膝の屈伸運動をした際に微妙な痛みがある。
生活に支障があるほどではなかったが、とりあえず行きつけの整体でマッサージを受けながらそんな症状を訴えてみた。
すると、整体の先生が言う。
「羽佐間さん、なにか最近運動しました?」
「いや、運動らしい運動はしてないんで、運動不足解消と思って1日1万歩歩いてます」
すると整体の先生が「それだ!」と叫び、あとに続けた。
「羽佐間さん、1万歩なんて歩き過ぎですよ!1日1万歩が健康にいいと言われたのは昔の話で、その後毎日1万歩も歩いた人から逆に体調不良を訴える話があったんです。で、結局1日の適正歩数は5000〜8000歩くらいって話に今は落ち着いていますよ」
皮肉な話じゃないか。
健康に気を遣って1万歩歩いたらこのざまだ。
まぁ、先生曰くたまにハイキングなどで1万歩以上歩くのはOKらしいが、日常的に歩き過ぎるのは良くないという。
なので、今は適正歩数を守るためにムーブゴールの数値も落とし、夜の散歩は控えている。
その結果、膝の痛みはすぐに引いた。
やはり原因は明らかだった。
良かれと思ってやったことが裏目にでる。
人生ってそんなものだよね……とほほ。