#37 読書感想文『本を読んだことがない32歳がはじめて本を読む』
今日は日記というよりも、タイトルの通り読書感想文を。夏休みだし。
読んだのもこれまたタイトル通りで、かまど・みくのしん著『本を読んだことのない32歳がはじめて本を読む』です。
元々、Webメディアのオモコロも、YouTubeのオモコロチャンネルやふっくらすずめクラブも大好きでよく見ており、本著内の『走れメロス』を始めとした関連記事も読んで、いたく楽しめたと同時に衝撃を受けたので、これがよりボリュームアップして本になっただけで「買う!」という意思が固くなるというものだ。
で、買ってから数日のうちに読了したのですぐにでも感想を書きたかったのだが、なんだかそう簡単に綴るのが申し訳ないくらい、すっかり魅入られてしまい、また自分の過去の読書体験にも遠く思いを馳せたので少し時間がかかってしまった。
「読書」というのは、ずっと孤独を楽しむ行為の一つだと思っていた。
本好きな家庭に育った影響もあり、比較的早い段階から私はよく本を読んでいた。
絵本からはじまり、小学校低学年くらいでは『怪傑ゾロリ』や『少年探偵団』、少し学年が上がると『ハリー・ポッター』シリーズの大流行でそれを読んだりしていた。
しかし、本を沢山読む決定的なきっかけになったのは、映画『リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い』だ。海外小説の有名キャラクターが集まるアベンジャーズみたいな映画で、何故か分からないが子供の私はこれにすっかりハマってしまった。
トム・ソーヤーやネモ船長、ジキル/ハイド博士、透明人間など、魅力的なキャラクターたちを知るにつけ、原作を読みたいと思い、青い鳥文庫の海外小説から原作を読みまくった。
しかし、同年代でこうした小説を好んで読む生徒はいなかったので「これが面白かった」「これはよく分からなかった」と語れる仲間もなく、中休みや昼休み、通学電車の中ではずっと一人で冒険の世界に浸っていた。
たまに来るのは露出狂だけだ。
だから、みくのしんさんの隣にかまどさんという親友がいて読むという状態が、とてつもなく素晴らしく、羨ましいと感じた。
本を読んで感じたこと、分からないこと、驚いたこと……すべてをストレートに発信するみくのしんさんの言葉を受け止めつつも、自分の意見を押し付けずに彼の感じ方を尊重するなんて、なかなか出来ないことだ。
何故なら、その本や物語を素敵だと思うと、私たちはどこが素敵か言いたくなるし、それを友達に共感されないと不満を感じるエゴを持ってしまいがちだからだ。
でも、身を捩ってダイナミックに物語の世界に没入するみくのしんさんの読書を、かまどさんは面白いと思いながら、みくのしんさんなりの物語への理解や楽しみ方に脅威と敬意を抱いているのが読んでいても伝わる。
本当にいい友達だなぁ。
これまでの「読書は孤独」という私の中の固定観念が覆され「読書ってこんなに楽しかったんだ!」という新しい気づきを与えてくれた、本当に素晴らしい本だと思った。
また、日頃Web記事を書いているからこそ、読書をしない人でもスルッと読めるような作りになっているところも憎らしい。
文字サイズでメリハリをつけたり、みくのしんさんのリアクションを捉えた写真やイラストが入っていたりするので、本を読み慣れてる人からしてもストレス無く読める。
(いや、マジでさ、海外文学の翻訳物の文庫本とか、なんであんなに文字小さいんだよ。マジで途中から読んでる列がズレてどこ読んでるか分からなくなること多すぎ)
それに、みくのしんさん自身の物語の捉え方が本当に素晴らしく、ご本人の素敵な人柄が如実に感じられるような感想が景気良く飛び出てくるので「あぁ、この人は愛される人だなぁ」と納得してしまう。
登場人物は皆架空の人なのに、彼らの苦悩や歓喜と同調し、ときには応援し、ときにはツッコミ、熱く熱く物語と向き合う中で、ふと出てくる独自の価値観や捉え方が、なんだかとても人間讃歌に溢れてて美しいのだ。
そのうえで、こうして物語を読む中で感じた気持ちをストレート発するからこそ、ハッとさせられる部分もあった。
雨穴さんの書き下ろし小説を読む場面で、少しショッキングなシーンが出て来た時のみくのしんさんの反応を見て「物書きとしての責任を感じる」と雨穴さんがポロっとこぼすシーンがあった。
あらゆる作品において、万人を傷つけないために表現を工夫したり、努力することは可能だが、しかしそれを100%実現するのは不可能だと思っている。それはセンセーショナルな内容に挑めば挑むほど、茨の道になりがちだ。
私もまだまだアマチュアながら、物語を書く人間ではあるので、日々執筆をする中で忘れがちなこのことに改めて気付かされたことも大きな宝だと思うのだ。
「この2人は次どんな物語を読むのだろう、一緒に読ませて欲しいな。どんなに長くてもいいから」
読み終わってからこう感じたので、続編も強く待ち侘びている。
まだまだ、世界には2人に読んで欲しい本が沢山あるんだ。