豪雪地帯の暮らし その1
昨日は東京でも10Cmの積雪があったとかで、ニュースでもその話題で持ち切りでした。
僕は青森市に7年住んでいた事があります。
皆さんご存じの通り、青森は日本でも有数の豪雪地帯です。
テレビのニュースやドキュメンタリーなどで、大雪の映像というものを皆さんも見た事があるかと思いますが、そういう情報を持っているので、2mも雪が積もるんですよという話を聞いても、まぁ雪国ならそうだろうね、程度にしか思わないのではないでしょうか。
また、実際に住んでいる人は慣れっこになってしまっていて、当たり前だと思っているために、特に雪にまつわるエピソードもあまり聞きません。
そんなわけで、雪の無い土地で生まれて青森市で暮らした事のある僕が、もっと日常的な雪にまつわるリアルな話を書いてみたいと思います。
多分長くなるので、何回かに分けて書いていきたいと思います。
窓が割れる
最近の住宅は、屋根に雪を溜めて融かす仕組みになっているところも多いようですが、僕が住んでいた頃はそんな家はありませんでした。
雪は基本的に、自然に落ちるのを待ちます。
そのため瓦屋根の家は一軒もなく、全てトタン屋根です。
人が住んでいる家は暖かいので、屋根に降った雪は解けます。
でも寒いのですぐに凍って、その上に大量の雪が積もります。
大量に降ると言っても、一日で1mとか積もるわけではなく、20Cmぐらいずつ毎日積もっていく感じです。
そして、上に積もった雪の重みで下の雪は圧縮されて、固い氷のようになっていきます。
5~60Cmぐらいになると、自重を支えきれずに、屋根から雪が滑り落ちるわけですが、これが凄いです。
バキッ!ミシッ!というような音が聞こえたと思うと、震度3ぐらいの揺れが続き、ザダダダダ!と氷の塊と化した雪が屋根を滑り落ちて行きます。雷と地震が同時に起きたような感じです。
当然屋根の下に山ができるわけですが、半分氷の塊のような状態で落ちて来るので、ちょっと跳ねると窓に当たって、真冬なのに窓が割れるという悲惨な状況になります。吹雪がダイレクトに部屋に入ってきて悲惨です。
うちでも何回か割れていました。予め窓を塞いでしまう家もあります。
でも割れる恐れがあるのは最初のうちだけです。いずれ一階の窓は完全に雪に埋もれますので、割れる心配は無くなります。
窓が開かない
窓は当然ながらひどい結露になります。そして寒いので、朝になると凍り付きます。
サッシのレールも溜まった結露がガチガチに凍ってしまい、冬の間は窓が開けられなくなります。
たまに氷を割ったりして、無理やり開けてみる事もありました。
すると目の前は雪の壁になっていますので、そこにみかんやジュースを刺して冷やす事もできます。
ジュースはすぐに飲むからいいのですが、数日後にみかんを食べようとすると、地殻変動を起こしていて見つけられなくなっています。
春先に腐ったミカンが溶けた雪の中から現れるのは、あるあるです。
そんなわけで、冬の間は部屋の中に日が差さなくなります。
巨大ラップ現象
屋根の雪はそれはそれは重いものです。圧縮された氷の塊なので、トン単位の重量ではないでしょうか。
それが一気に落ちるとどうなると思いますか?
しばらくの間、家じゅうの柱がバキッ!とかベキベキッ!と鳴り続けます。
半日ぐらいはこのラップ音が続きます。
木の柱が元に戻ろうとするのです。古い家が良く雪の重みで潰れてしまいますが、さもありなんです。
雪かき
大雪のニュースがあると雪かきの風景が流れますが、木の棒にプラスチックの板がついたような雪かき棒では無理です。
湿り気のある重い雪なので、基本はスノーダンプ。固い雪を切り崩すのはスコップという事になります。スノーダンプはこんなやつ↓
一回に10kgぐらいある重い雪をスノーダンプで切り出して、どこかに移動させます。
これが大変な重労働。土を一輪車で運ぶのとなんら変わりません。
しかもどこもかしこも雪なので、捨てる場所に困ります。
融雪溝と言って、雪を流すための用水路みたいなのがある場所もあります。
そういうところはそこに流せばいいので楽ですが、毎年のように人が落ちて亡くなるので危険です。
大体、町内に一か所ぐらい空き地があるので、そういうところが雪捨て場になります。
最初こそ雪が捨て放題ですが、やがて踏み固められ、二階の屋根の高さぐらいにまでなります。
そうなると、もう上まで雪の入ったスノーダンプを押していく事は難しくなります。
一回の雪かきが終わると、動きたくなくなるぐらい疲れますが、3時間もすると雪かきをしないといけない、そんな日々が3か月は続きます。
長くなったので今日はここまで。
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