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椿屋四重奏、夢か現か幻か(2023)
「こんばんは、椿屋四重奏です。」
2000年結成、2003年デビュー、2011年に解散を発表した椿屋四重奏。
2023年のいま、ひと夏限定で再集結し椿屋四重奏二十周年と題して4公演を行った。
その公演のうちのひとつ、8月27日に行われた東京公演を配信で観ました。
アーカイブが9月14日21時まで販売中。繰り返し観てます。
私が椿屋四重奏と出会ったのは2012年。
偶然「恋わずらい」を耳にした時だ。
そうだ、そうなのだ、その時彼らは既に解散した後だったのだ。
最高にかっこいい音楽と巡り逢えたという喜びと、彼らのライブに行くことはこの先叶わない、新曲を聴くことはできないという悲しみが同時に訪れた。
居ても立っても居られず、片道1時間ほどかけてTSUTAYAまで自転車をかっ飛ばし、あるだけの椿屋のアルバムを借りてきて、彼らがのこした曲たちを一曲一曲大切に聴いた。
確かその日は一晩中夢中で聴いていたような記憶がある。
夜中に、母親に「アンタいつまで起きてるの!」と怒られ呆れられたが、「ごめん、ちょっと今大事な時だから、やめらんないから。ほっといて。」と適当にあしらって聴き続けたとかそんな感じだ。
そんな青い若々しい出会いを経て、椿屋の解散とともに流れた時間の分だけ私も年をとり、当時思春期の盛りだったガキは今では一応世間でいうところの大人といわれる年齢になった。
2023年に椿屋四重奏として再び音を鳴らしてくれるなんて思いもしなかったな。
(実は2021年にも中田裕二ソロライブのアンコールで一夜限りの再集結はしていたのだが)
ちなみに私は2017年に中田さんソロ活動のバンド編成ライブと、弾き語り中心の「謡うロマン街道」の公演を観に行ったことがある。
タイムマシンがあったら過去の自分に教えてあげたい。
椿屋をずっと好きでいて良かったね、よくやった!って。そのまま好きで居続けてね。
↓以下はセットリスト等ネタバレを含みます。
主にセットリストから、特に好きな曲と凄すぎる歌詞たちの紹介もします。
セットリスト、ほんとうに名曲しかないな。
どの曲もイントロクイズみたいな感じになっているので、曲が始まった瞬間に「○△※〜!?!?」というような歓声をあげてしまう。
『プロローグ』
一曲目はこれしかない。イントロと歌詞が特に好きな曲。
確か眠らせたはずの胸の鼓動
時計の針を合わせて 身支度は軽く済ませ 目覚めた夢は助手席に座らせて
血の通った言葉だけ 熱を持った君の肩にだけ 触れていたいから
あの続きをまた始めるよ ポケットの鍵を探しながら
これで始まるんだから最高のプロローグだ。胸が高鳴ってくる。
…ちょっと待って、このペースで進めていたら日が沈んでまた昇ってまた沈んでしまうね。できるだけ駆け足でいこう。
きれいな心とか あきらめたら 楽になるから
夜の底で鳴り響いた 言葉をちぎって ひとつずつ空へ逃がして
人一倍 夢見ていたわ 人一倍 恐れていたわ
似通った色合いの 思い出を持ち寄って
床一面に敷き詰めた 日の暮れるまで
恋と呼ぶには あまりに救われない気がして仕方ないんだ
丸めて捨てられない恋が すり切れたままに転がった
吹き出しの中にしようか 外にしようか 口に出すか やめるか
「幻惑」「共犯」「ランブル」セトリ外では「シアトリカル」「熱病」「MU DA BO NE」「思惑と罠」
全編が文学的エッチなので載せられない、このnoteは全年齢対象なので。
「椿屋四重奏 ○○(曲名) 歌詞」で検索してください。曲も聴いて。あ、電車の中でおもむろに見るのはやめた方がいいです。
そして悶えてくれ。日本語の表現ってほんとすごいし椿屋もほんとうにすごいので。
改めて聴いて今最もけしからんと思うのは「思惑と罠」、おまわりさん、こいつです。ほんとけしからん程にいい曲。
椿屋の歌詞は小説っぽいって言われたりするけどほんとそうだ思う。
アルバムの歌詞カードをめくっているとなんだか短編集を読んでいるみたいな感覚になってくる。
まああたし、日本恋愛大学浪人生だし人生経験に乏しいから大人になっても言葉の深い意味は正直よくわっかんねーけどさ…
でも椿屋の歌詞を見ていると日本人で良かったと思える。椿屋を聴くと日本語が豊かになる。
歌詞中には、
【一人称】私 僕 俺 余(よ)
【二人称】君 お前 其方(そなた)
色々呼び方が出てくるけど、(余や其方はかなり初期だが)その使い分けを昔考察していた。あー、この曲では”僕”だけど、こっちでは”俺”なんですね…いいですね…ほんとうまいなあ…
今回のセットリストに入ってないところだと、『CRAZY ABOUT YOU』と『red blues』 は特に好き。
過去は過去でくずかご
韻の踏み方も意味合いもセンスの塊だ。
歌詞もそうだけどそもそも曲自体が最高にかっこいいんだよね。
最初に聴いた「恋わずらい」も、もちろん歌詞を見て好き度が増した曲のひとつだけど、第一印象は、なんだこのメロディーラインは…だったもんな。
私は音楽的に詳しいことはわかんないけど、複雑なつくりの曲をボーカルもギターもベースもドラムもばっちり合わせてるっていう感じがする。
そういえば、椿屋の曲はノリにくいから…ってMCで自分たちでも言っていたね。
途中『不時着』『フィナーレ』が凄すぎて一旦再生を止めてしまった。
アンコールでベースの永田さん(音楽活動から離れていた)も登壇し、中田さんと小寺さん、3人揃って始まったのが『群青』と『かたはらに』
『群青』のイントロが始まったところで客席が映ったけど、両手をあげて顔を俯かせぐっと至高の感情を噛み締めるお姉さん、思わず両手で顔を覆うお姉さんたちを見ているとああ、わかる、わかるよ…この人たちみんな椿屋のファンなんだ…ってすごく嬉しくなった。
そして最後の最後の『君なしじゃいられない』で笑顔で締めるってさ……まいったね、こりゃね。そういうとこよ、あたしが好きなのは。
自分の言葉でこの熱をとりあえず記録に残したので、これから音楽ライターさんとかお客さんのライブレポとかいっぱい読みます。
中田さんソロの方でもつくる曲たちをこれからも聴いていきます。この世の哀愁を一手に引き受ける男…
今回こういう活動をしてくれて本当にありがとう。夢だったけど、夢じゃなかった!
「ありがとうございました、椿屋四重奏でした」