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国内初の民間気象予報衛星!ALE新プロジェクト「AETHER」 -中編[葛野 諒]

人工流れ星 などの「Sky Canvas」事業で知られる株式会社ALEが先月発表した民間気象衛星で「自然災害」に挑む産学連携プロジェクト「AETHER(アイテール)」について株式会社ALEチーフサイエンティスト 舩越 亮 様にSpace Seedlings葛野がお話を伺ってきました。 

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【取材時の様子】左上:SS葛野  中央:ALE舩越さん


科学と社会をつなげる!AETHERの産学連携とは
S.S.葛野:今回の事業はALEさんだけでなく、様々な機関と連携して進められるとのことですが、いったいどのような連携なのでしょうか?

ALE舩越さん:はい、本事業は理研(理化学研究所)、NTT(日本電信電話株式会社)、国立天文台と共同で行う産学連携で進められます。民間初の気象予報衛星を実現するには高度でレアな要素技術を持っている研究機関の存在が必要不可欠です。

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理研は世界最高性能(2021年10月取材時)のスーパーコンピュータ「富岳」を保有しており、取得データを気象情報に変換する役目を担います。今回は理研の気象分野の第一人者である三好 建正先生が興味を持ってくださったことで連携する機会を迎えられました。

国立天文台は、電波天文学という分野で遠くの星の電磁波を観測する技術に非常に長けています。今回のように産学連携で天文台と協力することは非常に大きな意義があると私は考えています。

NTTは携帯やスマホなどの通信分野でマイクロ波周波数帯域のデバイス小型化に関する技術をたくさん持っています。それを活用してマイクロ波サウンダーの核になる部分を作っていただきます。

S.S.葛野:なるほど!ではALEの役割はどういったところになるのでしょうか?

ALE舩越さん:我々の大きな役割は全体統括と宇宙に関する要素技術の提供です。まず、各機関の担当箇所をまとめ上げて宇宙に持っていき、運用することがALEの重要な役割になります。また、ALEではこれまでの流星源放出機構や、小型衛星用のデブリ化防止デバイスの開発で培われてきた宇宙空間における機械駆動部の開発技術や高密度実装技術を提供することもALEが担う役割となります。

S.S.葛野:ありがとうございます!AETHERは今どのような段階にあって、今後どのようなスケジュールで進んでいくのでしょうか?

ALE舩越さん:はい。まずは商用化をゴールと見据えています。そこに向けて大きく3つの段階に区切って開発を進めています。フェーズ1では地上実証を行います。要素技術をある程度形にした後、航空機などを使った模擬試験を地上で行います。このフェーズ1は2年から2年半かけて進められる予定です。フェーズ2では宇宙実証を行います。これはプロジェクト開始から5年以内を目途としています。その後衛星数を増やしつつ商用化するフェーズ3に移る予定です。

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AETHERに込められた想いと今後の展望
S.S.葛野:今から5年以内に宇宙実証なんですね!とても楽しみです!最後に、AETHERに対する舩越さんの想いを聞かせていただけますか。

ALE舩越さん:はい。実は僕、元々科学者になりたくてアカデミックに長い間いたんです。そういったバックグラウンドもあり僕にはチーフサイエンティストという、ちょっと変わった役職がついています(笑)大学・ポスドク時代はヨーロッパで素粒子物理や反物質について研究していました。

S.S.葛野:反物質!とても難しそうですがかっこいいですね。

ALE舩越さん:素粒子や反物質って何だって思われるかもしれませんが、宇宙の始まりの状態やなぜ物に重さがあるのか調べるような分野で、学問領域としては壮大で非常に面白いんですが、やはりどうしても何の役に立つんですか、社会にどう影響するんですかって言われてしまうんです。それはもう基礎科学の宿命で、社会実装から距離が離れてしまうのは仕方ないのですがそこに携わっていた者としてはやはり忸怩たる思いがありました。

そんな折にALEと出会い、ALEが科学を大事にしようとしている会社であることに共感して、2年前に入社しました。今は自分が逆に産業サイドで社会実装を進める立場なので、自分が持っている科学知識や経験を使って少しでも社会貢献をしたいと考えています。

AETHERは先ほどもご紹介したように研究機関や企業の基礎研究所がチームに加わってくださって進められるので、ここで世の中にちゃんと役に立つような、センサーをきっちり作ってちゃんと気象予報に役立つ仕組みを作りたいと考えています。

SDGs的な視点から来る気候変動に対策できるデータをきちんと取って、実際の生活の中で防災・減災に貢献できる商品をなるべく早く提供できたら嬉しいです。また、もうちょっと先まで話すと、そこで終わるだけはちょっと物足りないと思っています。もちろん防災・減災という直近の社会課題から取り組むんですが、気象って実はいろんな産業に深く関わっています。例えば小売で気象に関わる商品なんていくらでもあるし、船の航路や飛行機の高度も気象に多かれ少なかれ影響します。建設現場も、天候によって作業内容が変わったりします。このように産業と気象の関わりは深いですが、中々有効活用できていない側面があります。

最終的にどこまでできるかわからないですが、気象情報の有効活用を社会にもっと浸透させられたらすごく面白いことになるんじゃないかなって思っています。

S.S.葛野: AETHERの先にはもっと大きなスケールの未来も見えてくるかもしれないのですね。貴重なお話ありがとうございました!
今回のAETHERの産学連携のお話や、舩越さんの想いからは共通して「科学と人類の発展に貢献する」という理念が強く感じられ、とても熱い気持ちになりました。今後もAETHERを応援させていただきます!

次号はALEが展開する大気データ事業の更なる全貌に迫ります!

【出典】
宇宙スタートアップ企業ALEが、NTT、理研、国立天文台と 産学連携プロジェクトAETHER(アイテール)を発足 ~民間気象衛星の宇宙実証を目指す日本初のプロジェクト~ - News & Activity -ALE Co., Ltd. (star-ale.com)

AETHER(アイテール)発表 記者会見 - YouTube
ATMOSPHERIC DATA - ALE Co., Ltd. (star-ale.com)

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舩越 亮(ふなこし りょう)
株式会社ALEチーフサイエンティスト。東京都出身。 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了。修了後は日本学術振興会特別研究員PDを経て、日本電子株式会社に入社。その間、日米欧で反物質を用いた物理学の基礎研究や、半導体製造装置(電子ビーム描画装置) の技術開発に従事。2019年、ALEに入社。ALEでは大気データ取得の新規事業企画に参加。科学的知見をベースに、技術検討、開発計画立案、協力研究機関との産学連携体制構築、などを担当。
宇宙・科学以外のcuriosity: サッカー、旅行

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葛野 諒(くずの りょう)
東北大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻 博士前期課程1年
【専門・研究・興味】
宇宙エレベーター/宇宙テザーなど宇宙空間における柔軟構造物の研究
Space Seedlingsの活動を通して、皆さまの「宇宙」が広がるお手伝いができれば幸いです。
【活動】
SELECT(宇宙エレベータークライマー製作)
Tohoku Space Community
復興応援団
Flexible Spacecraft.jl



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