【バレエ留学】どこにいくか〜留学先
娘が留学をしたいと言い出した当初、親としては「バレエで留学ができたとしても、その先バレリーナになれるかは別の問題」と考えていた。
バレエを仕事にせずに他の道に進む場合も考えて、英語を身につけられる語学留学としての側面もあったほうがいい。そう思って、英語圏への留学がいいのでは、と勝手に考えていた。
バレエの留学先として、クラシックバレエの本場といえばロシアが真っ先に浮かぶ。ほかにも、オペラ座バレエ学校のあるフランス、ロイヤルバレエ団のあるイギリス、モナコ、ウィーン、ドイツなど、ヨーロッパには名門校がたくさんある。また、アメリカンバレエシアターのあるアメリカや、カナダ、オーストラリアなども選択肢だ。逆に、「なぜ日本にはこうした環境がないのだろう?」と疑問に思うほどだった。
でも英語圏となると、英語圏に絞ると選択肢はアメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどに限られる。イギリスはとにかく学費も生活費も高いという印象。イギリスは特に学費も生活費も高額で、ロイヤルバレエ学校に通うとなると年間の学費と生活費で500〜600万円が必要だと聞いた。
さらに長期休みの往復航空券代を含めると700万円ほどかかる計算だ。
たとえスカラシップ(奨学金)をもらえたとしても、生活費は自費負担となるし、翌年に奨学金を得られる保証はない。
学費が払えなければ卒業どころか帰国するしかない。
こうしたリスクを考えると、奨学金がなくても通える範囲の学校が現実的という結論になった。
結果として、英語圏はほぼ全滅だった。
学費も生活費も高額で、奨学金前提でしか選べない状況だったのだ。
ちなみに、娘はロシアを最初から候補から外していた。
ロシアのバレエは特に古典を重視し、体型基準も厳しいとされる。
身長160cmにも満たない当時の娘は、体型面で不利だと自覚していたのだ。仮に入学できたとしても、その先の道が見えない、と冷静に判断していた。
必然的にヨーロッパがターゲットになった。
ヨーロッパだからといって明るい未来が保証されているわけではないが、娘は当初からなぜかヨーロッパに強い憧れを抱いていた。理由はよくわからないけれど、自分で調べて何か魅力を感じたのだろう。
私が調べたところ、ヨーロッパの国立バレエ学校は意外と学費が高くない。ただし、物価が高い国も多く、生活費の負担は無視できない。
そこでたどり着いたのがドイツだった。
国立の学校が多く、ドイツ国民には学費が無料だが、留学生の場合でも他国に比べて学費は安い。物価も日本とさほど変わらない。
さらに娘曰く、ドイツはコンテンポラリーダンスが強い印象があるという。コンテンポラリーで褒められることが多かった娘は、体型面の不利をコンテンポラリーで補えるのでは、と考えていたらしい。筋肉質で柔軟性よりも運動神経が強めな娘らしい着眼点だ。
中学生ながら、なかなかの策士である。
最終的には、娘の進学した中高一貫から推薦で私大に進学させるくらいの金額でまかなえそうなヨーロッパの学校を目指す方針に決めた。