「公演に向けて思うこと」小林彩
私が初めて『斗起夫』の小説版を読んだのは、今年の夏、ワークインプログレスの稽古が始まる頃。読んだ第一印象は重い、暗い、ということ。私はこの物語を理解することができるのだろうか、ということ。
けれど今回の12月の稽古が始まり、台本になったこの物語を読んでいくうちに、印象は全く違うものになってきた。私が今、この台本からイメージするものは、万華鏡。くるくると回しているうちに、模様が次々と変化していく万華鏡。あと、お祭り!登場人物たちが斗起夫を囲み、一つの大きな輪をつくっている。そして、ぐるぐる回りながら思い思いに踊っている。斗起夫は輪の真ん中に立ち、その様子を見ている。そんな感じ。
なぜ、こんなに印象が変わったのか。それは、この物語が小説から台本になったから。朗読から演劇になったから。そして、一番大きいのは、稽古を通して、この物語の解釈が一通りではないことがわかってきたから。解釈、受け取り方は、この公演に関わる人の数だけ、俳優、スタッフ、お客さんの数だけ存在するのだと想像すると、ワクワクしてくる。だから、この公演に関わる人全員が納得できるような作品になるよう、稽古を重ねる。
小林彩
1995年生まれ。
好きなこと:本を読むこと。
特技:洋裁。らくがき。
ペペぺの会での呼び名:こばち。
(おっとりしているように見えるけれど、意志の強さを感じたり、その役を自分のものにしてしまう強さがある。・・・常に愛しい。編集:石塚より)
ペペぺの会 出演作
2021年12月『インスタント・レアリスム』
2022年10月『怒る人の気概』
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?