【ブログ】3
気持ちを伝え合って以来、私たちの会話の内容はどんどん甘いものになっていった。
「◯◯ちゃんがいないと俺もう生きていけないよ」
「私だってそうだよ。けんさんとずっと一緒にいたい」
「愛してる」
「私も愛してるよ」
そんなやりとりを裏でしていながら
私もけんさんもいつも通りブログは続けていた。
けんさん以外にも数人のママさんたちとコメントをやりとりするようになり
そのママさんたちもけんさんのブログにコメントしたり
けんさんからママさんにコメントしたり…
ブログ上で仲良しグループのようなものができていた。
ある日、けんさんがブログに初めて自分の顔写真をアップしていた。
「…」
私の脳内のけんさんとは似ても似つかない顔だった。
そりゃそうだよね。
もし、リアルに知り合っていたら…
たぶん
いや、絶対に好きにはならない顔…
それでも、何か感想を言わなきゃいけない。
その投稿のコメント欄を見ると、いつメンのAママさんがすでにコメントを残していた。
「パパさん、かっこいい!」
Aママさん、ほんとにそう思ってる?
私には嘘でもかっこいいとは言えない…
「想像してた以上に優しそう!」
そうコメントした。
他のいつメンママさんたちも、メガネが似合ってる!
だの、一重だったんだ(笑)だの、
思い思いのコメントを残していた。
けんさんからDMが届いた。
「こんな顔です。嫌いになった?」
「嫌いになんてならないよ。」
本心だ。
会う人ではない。
だから顔なんてどうでもよかった。
私の顔も見てもらったはずだけど
どうやったのかは覚えていない。
でも、けんさんは、かわいい、かわいい!と
いつも言ってくれていたっけ。
嘘でもかっこいいと言えなかった私に
けんさんは物足りなさを感じていたのかもしれない。
その日からけんさんは顔を出してブログを更新しはじめた。
そのたびにAママさんは「かっこいい!」とコメントを残す。
なんとなくモヤモヤした。
コメント上でもけんさんとAママさんがどんどん仲良くなるのがわかった。
嫉妬する自分がいる…
苦しかった。
けんさんに気持ちを伝えて1ヶ月ほど経った頃
私が親戚の結婚式に呼ばれ、けんさんの街の近くまで
行くことになった。
それを伝えると、「どうしても会いたい」
と言われてしまった。
会うだけならいい。
だけど、常日頃から
「会ったら◯◯ちゃんを抱きしめたい。絶対にキスする。そして離さない。」
「会ったら絶対に全部脱がせて俺のものにする」
そんなことを言われていたから、会うことにためらいがあった。
けんさんの中で、私と会う=セックスする、という
構図ができあがっている。
ただ、私も会いたい気持ちがあるのは事実だった。
顔はどうであれ、好きな気持ちに変わりはない。
抱きしめられたい。キスしたい。
そんな願望を持ってしまっていた。
会うか会わないか…
会えば不倫…
不倫だけはダメ。
なら会わないの?好きなのに?
やっぱり会いたい…
どうすればいいの…
不倫の壁は高かった。
超える決心をするまで半月ほど悩んだ…
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?