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私の映画鑑賞録2023(ネタバレ感想文)

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年間84本鑑賞(新作34本 旧作50本)。内再鑑賞26本、劇場鑑賞71本。新作ベストは邦画『春画先生』、洋画『バービー』。
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#映画鑑賞

映画『真夜中の虹』 マックイーンやイーストウッドに申し訳ない(ネタバレ感想文 )

カウリスマキの長編第5作。「労働者三部作」の2作目と言われる一品。 原題は「Ariel(アリエル)」。 最後に登場する船の名前がこのタイトル。 なぜこの邦題かというと、ラストで流れるのが「虹の彼方に(Over the Rainbow)」。『オズの魔法使い』(1939年)ですね。 私は『パラダイスの夕暮れ』(86年)(労働者三部作の1作目でもある)で、カウリスマキは「去る者(去ろうとする者)」の話が多いと書きましたが、去りゆく者が乗る船がタイトル(原題)であること、その先を「

映画『ゴダールの探偵』 ゴダールの「パルプ・フィクション」(ネタバレ感想文 )

70年代のゴダールは政治映画に傾倒していて、80年代に商業映画に戻ってきたんですよね。 当時大学生だった私は既にゴダール嫌いだったので、実は80年代以降のゴダール作品、つまり商業映画復帰後のゴダール作品を今日に至るまで1本も観たことがありません。 有り体に言って、今回の「追悼 ジャン=リュック・ゴダール映画祭」で観た本作が初鑑賞。 いやあ~、嫌いだわぁ(笑) タランティーノも好きだという『はなればなれに』(1964年)は画面に躍動感があったように思うんです。 ところが本