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私の映画鑑賞録2021(ネタバレ感想文)

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2021年新作映画のマイベストは『トムボーイ』。いや、日本公開が今年だっただけで本当は2011年の映画だけど。
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2021年11月の記事一覧

映画『ガメラ3 邪神(イリス)覚醒』 (ネタバレ感想文 )前田愛ちゃん超可愛い(<俺の邪心覚醒)

平成ガメラ3部作は、「序破急」だと制作サイドが言ってた記憶があります。伊藤和典が言ったのかな? しかしこの「急=終章」、私は納得しておらず、実は公開時以降再鑑賞していませんでした。 今回22年ぶりの再鑑賞。4K HDR版。HDRって何?(<もういいよ) 1999年という世紀末に作られた本作を、東日本大震災やコロナ禍という厄災経験を経て2021年に再鑑賞した結果、やっぱり納得できなかった(笑)。 納得できないと言うか、「特撮最高、ドラマが弱点」というのが正直な感想です。 特

映画『アンドレイ・ルブリョフ』 (ネタバレ感想文 )タルコフスキー君、まだ青い。

タルコフスキーの長編2作目。私は今回初鑑賞。 タルコフスキー34,5歳頃の作品なんですが、完成まではスッたモンだあったとかで、実は企画を始めたのは29歳か30歳頃だったとか。共同脚本はアンドレイ・コンチャロフスキー。アンドレイがいっぱい。そういやコンチャロフスキーなんて『暴走機関車』(85年)しか観てねーや。 正直、この映画は難しかった。 タルコフスキー独特の難解さ以前に、人物・歴史が分からない。 1400年頃のロシア史も知らなければアンドレイ・ルブリョフという人も知らない

映画『エターナルズ』 (ネタバレ感想文 )セルシはクロエ・ジャオ。

今年は3人の素晴らしい女性監督に出会いました。 『17歳の瞳に映る世界』(2020年)のエリザ・ヒットマン。 『燃ゆる女の肖像』(19年)、『トムボーイ』(11年)のセリーヌ・シアマ。 そして『ノマドランド』(20年)のクロエ・ジャオ。 アメリカ、フランス、中国と、それぞれの国籍は異なりますが、40歳代前後の(映画監督としては)若い世代の彼女たちは、女性らしい視点で今という時代を切り取る監督たちだと思っています。 マーベル映画を(たぶん)観たことがない私が映画館に足を運んだ

映画『ガメラ2 レギオン襲来』 (ネタバレ感想文 )大人の国防映画。

これも4K HDR版で鑑賞。HDRって何? でも綺麗でしたよ、水野美紀が。てゆーか、スカート短すぎない? 映画早々、言うわけですよ。 「制動?あまり気持ちのいい話じゃないな。」 もう泣いてますよ(<何故?)。 仙台から飛んできて勢い余ったガメラ横すべり火球3連発。号泣ですよ。 何度観ても痺れる。何度観ても好きすぎて泣く。 可哀そうに、勢い余ったガメラ横すべりで足利市壊滅です。 あしかがフラワーパークなんか怪獣の足の下ですよ。 そういやあしかがフラワーパークの近くに栗田美術

映画『惑星ソラリス』 (ネタバレ感想文 )ソラリスはいい塩梅。

デジタルリマスター版で再鑑賞。約30年ぶり(<最近そんなのばっかり)。 私は、タルコフスキー好きッ!とか言ってる監督至上主義のいわゆる「シネフィル」系の嫌な野郎なんですが、巨匠・名匠と呼ばれる監督を神格化するのもどうかと思っています。 いや、それも自分が年齢を経たからだな。 若い頃はやっぱりタルコフスキーを神格化していたよ。 『惑星ソラリス』(72年) 製作時、タルコフスキー40歳。俺より全然年下。あいつ小難しいこと言って年下のくせに生意気なんすよ。 てゆーか、タルコフスキ

映画『ストーカー』 (ネタバレ感想文 )科学・芸術・宗教の珍道中

配信で倍速鑑賞しても遅いし眠い(だろう)でお馴染み(?)タルコフスキー。全7作の長編映画のうちの5作目。亡命以前のソ連時代最後の作品。 これも30年ぶりくらいの再鑑賞。 私はこの映画を、最も黒沢清っぽい作品(黒沢清が影響を受けたであろう作品)だと思っています。タルコフスキーを理解するのに黒沢清を媒介にするのもおかしな話なんですけどね。 タルコフスキーに心酔する黒沢清(最近は顔まで似てきた)は、常に「この世界は不安定である」ことを描いていると思うんです。 この『ストーカー』

映画『鏡』 (ネタバレ感想文 )タルコフスキーの自画像。

私がこの映画に出会ったのは30数年前。 当時大学生だった私はタルコフスキーに熱狂し、この映画もテレビ録画のビデオ(VHS!)で何度も観たものです。 何度も観ましたよ。だって途中で寝ちゃうんだもん。 タルコフスキーは『サクリファイス』(86年)完成直後に亡くなったので、新作=遺作公開と共に特集上映や関連本の出版など、1987年の日本(の一部)はちょっとしたタルコフスキーブームでした。 その時が私のタルコフスキー初体験。タルコフスキーは「体験」と呼ぶのが相応しい。私も眠い眠い言

映画『ガメラ 大怪獣空中決戦』 (ネタバレ感想文 )顔で見せる防衛シム映画

公開時以来約4半世紀ぶりの劇場鑑賞。今回は4K HDR版。HDRって何? でも綺麗でしたよ、中山忍が。俺も怪獣のいない東京を案内したかった。 平成ガメラシリーズ大好きなんです。 今にして思えば、当時は『シン・ゴジラ』(2016年)級の衝撃でした。ただそこは「ゴジラ×庵野」ほどお茶の間全国区の知名度でないので、マニア界隈の熱狂でしたけどね。いいえ、私は特撮マニアではありません。その筋には大変な先輩諸氏が大勢いらっしゃいますから。 そもそもガメラには大きな「枷」があると思うん