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私の映画鑑賞録2021(ネタバレ感想文)

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2021年新作映画のマイベストは『トムボーイ』。いや、日本公開が今年だっただけで本当は2011年の映画だけど。
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2021年3月の記事一覧

映画『トムとジェリー』 ヒット・ガール、猫と鼠を手懐ける(ネタバレ感想文 )

何でお前こんな映画観に行ってんだ?って話ですけどね。クロエちゃん目当てだったことをここに告白します。こんなにクロエちゃんの膝を拝める映画は他に無いですよ! もっとも、彼女を観るのはアサイヤスの『アクトレス』(14年)以来ですけどね。もうクロエちゃんって年齢じゃないな。クロエ嬢。当然声も聞きたいわけですから字幕版で鑑賞。 で、字幕版で鑑賞したから気付いちゃったんですけど、翻訳って難しいですね。あ、いきなり脱線しますね。 「守秘義務がある」と言いながらも行き先を教えるシーンがあ

異邦人<デジタル修復版>

イタリアは国を挙げてヴィスコンティの修復保存活動に努めているのか、おかげでここ数年、ヴィスコンティ作品<デジタル修復版>の劇場鑑賞機会に恵まれている。ありがたい。それにしてもこの作品、都内でも上映館が僅か1館とは扱いが低いこと。 デジタル修復版の公式サイトによれば「日本初公開は1968年9月、以降は短縮日本語吹替版がTV放映されたのみ」だそうだ。実は私、このTV放映を観ているんです。たしか大学生の頃。その際の感想を、後に思い出しコメントとして「若い頃観た時はやたら衝撃だった

映画『あのこは貴族』 新時代の「細雪」(ネタバレ感想文 )

とてもいい映画です。 いい映画なんですけど、胸に何かが引っかかってモヤモヤムカムカするので早く吐き出したい(笑)。 原因は分かってるんです。私が男であり、東京で暮らす地方出身者であり、上の世代であるから。薄々感じていたのに見て見ぬふりをしていた現実を、目の前に突き付けられた嫌悪感かもしれません。 岨手由貴子という監督の作品を観るのは初めてなのですが、実は『BUNGO ~ささやかな欲望~ 見つめられる淑女たち』(12年)というオムニバス映画の1本「乳房」という作品の脚本で出会