令和6年 司法試験予備試験 論文再現答案 行政法 評価B

 行政法は一番勉強がしんどかったです。嫌いではないのですが、処分性に行きつくまでの勉強のところが「自分で考える」要素が少なく、判例の暗記、という勉強が多くならざるを得ないために重問を回すのがしんどかったです。
 テストでは、それなりに自信があったのですが、終わった後見落としがいくつか見つかってしまいました。そのため、Bかな、と思っていたのですが案の定でしたね。
 あてはめ重視の問題という印象でしたが、令和4,5と比べると書きやすかったかなと思います。
 憲法の方がササっとかけたのでそれなりに時間を割くことができました。

 今日のワンポイントアドバイス!!僕の勉強法はいずれまとめますが、お勧めの勉強法は問題を解くごとに自分が工藤北斗になったつもりで自分の言葉で問題を解説し、それを録音することです!あんまりこれやっている人はいないと思うので、僕独自ですね。自分の言葉にする、というのは基本ですが、加えて寝る前とかに録音した自分の声を聴くんです。そうするとすっと入ってくます。ぜひ、やってみてください。

 では、以下再現答案です。

第一 設問1
 1取消訴訟が主観訴訟であることに鑑みると、「法律上の利益を有する者(行政事件訴訟法9条1項)」とは自己の権利若しくは法律上保護された権利を侵害され、必然的に侵害される恐れがあるものを言い、そして、当該処分を定めた行政法規が不特定多数者の具体的利益を専ら一般公益に吸収解消させるにとどめず、不特定多数者の具体的利益としてこれを保護する趣旨を含む場合にも法律上保護された利益といえる。
2Xが主張する利益は畑を営業する営農上の利益と住宅の浸水から住宅を守るという財産上の利益であることが考えられる。では、この利益は個々人の個別的利益として保護されているか。
法5条に基づく処分の要件においては4号で「膿瘍用排水施設の有する機能に支障を及ぼす恐れがあるとき」や「周辺の農地に係る営農条件に支障を及ぼす恐れ」とされている。
そして、本件要件に違反して処分がなされた場合には周辺に住む住民に上記排水設備の機能障害による営農上の不利益が生じることは明らかであり、そして、それは隣地に住む住民ほど被害を受ける可能性が高く、また、被害の程度も隣人ほど重大かつ著しくなる。よって、それらの住民ンお利益を上記条項は個々人の個別的利益として保護していることが窺える。
3そして、Xは甲土地を有しており、本件処分の対象たる乙土地の隣の土地に畑を有しており、上記利益を必然的に侵害されるか、又はその恐れがあることは明らかである。
以上のことから、Xの原告適格は認められる。
 
第2 設問2(1)
1まず、国家賠償法1条1項の「違法」と「過失」について、結果基準だと公務員の職務に委縮効果が生じてしまうため、公務員が職務上尽くすべき義務を尽くしたか否かで判断するべきである。その意味で、「違法」の要件を満たせば、「過失」の要件も満たすという一元的に考えるべきである。
2では、本件では「違法」ないし「過失」は認められるか。
Xは本件処分により本件造成工事が行われたことで本件畑の排水を改善するために本件畑に盛土をしてかさ上げするなどの必要性が生じ、そのための費用分を請求している。

 そして、Y県の担当者Dは一応令和5年11月15日のXの申し出に応じ、B及びCに排水設備への配慮をするよう行政指導しており、それに応じてBは丙土地上に畑の南西方向から西に向かう水路を設ける等しており、一定の改善措置が取られたといえる。
しかし、DはBの行った上記措置についても目視しただけで詳細にわたる調査をしていない。排水設備の調査をするのであれば専門的知識を有する者を伴って行うことや実験棟を行い少なくとも一定期間その実用性を調査する等の対欧が必要とされることからDはやるべきことをしていないと評価すべきである。また、仮に上記調査をしていれば本件損害を回避できた可能性は大いに認められるし、そのことを予見することは可能だった。また、本件処分を急がなければならない緊急の必要性もなかったため、上記調査を行うことに期待可能性も認められる。
3以上のことから本件処分について「違法性」ないし「過失」は認められる。
 
第3設問2(2)
1前段について
(1)「第三条第六項第一号」につき、法51条に基づく措置命令に処分性が認められることは明らかであるし、裁判所が判断可能な程度に特定されている。また、以下のように「すべきである」といえ、それが「されていない。よって、これを満たす。
(2)「重大な損害を生ずるおそれ」につき、本件処分がされないと現在の甲畑の営農上の不利益が生じている状態が継続し、更に損害の性質上日々その被害は反復継続し累積加重的に増大していくものである。また、金銭賠償による回復が難しく、事後的回復も困難である(同条2項)。よって、「重大な損害が生ずるおそれ」がある。
(3)「他に適当な方法がないとき」につき、法にはこれに代わる救済手段が法定されていないので、これを満たす。
(4)原告適格(同条3項)につき、Xは処分の名宛人ではないので当該処分がされないことにより自己の権利を害される者には当たらない。しかし、処分の根拠法たる法51条ではその要件として「土地の農業上の利用の確保」を挙げている。そして、上記の通り、近くに住む住民は法51条に基づく処分がされないことにより、隣接地に畑等を有する住民の利益は直ちに害される。よって、当該処分がされないことにより害される恐れのある損害として隣接地の畑の所有者の利益は個々人の個別的利益として保護されているといえる。そして、Xは上記の通り、隣接地の住民であるから、Xの営農上の利益は個々人の個別的利益として保護されていると解する。いじょうから、原告適格も認められる。
2後段について
(1)   まず、上記の通り、原罪Xの土地について冠水等の被害が生じているのであるから、「土地の営業上の利用の確保」のために必要であり、それは「関係人の利益」を衡量しても必要性が認められる。
(2)   1号事由
  4条1項若しくは5項に違反した者につき、本件では、確かに都道府県知事の許可を受けており、(5条1項)必要な要件はすべて満たしているので、これらの法令違反はないかと思える。しかし、「違反した」とは客観的に4条1項ないし5条の要件に該当しないことをいうところ、上記の通り、Xの畑に営農上の不利益が生じている。よって、「周囲の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれ」があるといえる。よって、法5条2項4号の要件を満たさない。そのため、「違反した者」といえるので、本許可は違法となり得る。
(1)   4号事由
 また、4号では「偽りその他不正の手段」によって、上記許可を受けたものをあげているところ、許可の申請の際に積極的欺罔を用いた場合にはこれに当たると解するべきである。本件ではBおよびCは申請の際に宅地として売り出すことが目的であるにもかかわらず、資材置き場としての名目で申請をしている。よって、正確な目的を意図的に示さずこれにより許可を受けているのであるから、本件申請は積極的な欺罔と評価するべきである。よって、これにもあたる。
                                            以上。

 いかがでしたでしょうか。見落とし等があるので他の方の答案もご確認くださいね。あくまで、Bはこのレベル、という程度にみてください。


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